その場で10ミリは下がる!毎日続ければ安定する!
私は、一般的な鍼灸治療のほかに、手や指にあるツボを鍼などで刺激する「手指鍼」を取り入れています。
また、患者さんご自身ができる、健康に役立つ方法を研究してきました。
この数年、私が熱心に取り組んできたのが、「耳ツボ療法」です。
耳には、全身の縮図のように、全身に対応する多くのツボが密集しています。
耳には、全身の健康状態が現れています。
試しに、耳を触ってみてください。
かたいところやゴワゴワしたところがある人、耳をもんだりすると痛い部分がある人は注意が必要です。
それは、体の不調が、耳の異常として現れているからです。
耳ツボ療法は、こうした耳と体の対応関係を利用したものです。
鍼灸師は鍼を使って耳に刺激を与えますが、一般のかたも同様にできる方法はないものかと、私は考えました。
試行錯誤の末にできたのが、「耳輪ゴム」です。
耳輪ゴムは、どの家庭にもある普通の輪ゴムを使います。
その名のとおり、輪ゴムをグルリと耳に巻くだけでよいシンプルな方法です。
私は、手指鍼を研究するセミナーなどで、この耳輪ゴムの方法をご紹介し、多くのかたに試してもらいました。
その結果、耳輪ゴムが、高血圧の解消に有効だとわかったのです。
耳輪ゴムを試していただく際は、事前に首を回したり、肩を上下させたりして、肩の重さを感じてもらいます。
そしてその後、実際に耳に輪ゴムをしてもらうのです。
すると、即座に違いが実感できます。
事前の状態より首がよく回るようになり、それまで見えなかった角度まで背後が見えるようになったり、肩が軽くなったりするのです。
「重かった頭が軽くなった」「首や肩のコリがほぐれた」とおっしゃるかたも多いのです。
こうした効果が現れた段階で、すぐに耳輪ゴムによって、少なくとも10mmHg程度は血圧が下がっています。
皆さんも、耳輪ゴムをやる前とやったあとで、血圧を比べてみれば、その効果を実感できるでしょう。
耳輪ゴムをやると、確実に血圧は下がりますが、あくまでもその効果は一時的なものです。
ですから、耳輪ゴムを毎日継続して行っていけば、血圧を少しずつ下げて安定させていくことができるでしょう。
耳輪ゴムのやり方

9割を占める高血圧に効果が現れる!
高血圧のかたは、同時に、耳鳴りに悩まされていることが多いものです。
耳輪ゴムをすると、耳鳴りも改善していくケースがしばしばあります。
耳輪ゴムをすると、まず、耳の周辺から体がポカポカと温かくなってきます。
耳輪ゴムで耳の血流が促されると、それに伴い、首、肩などの血流が促進します。
首、肩のコリがほぐれ、関節の柔軟性も高まって、肩や首が大きく回せるようになります。
このとき、首や肩だけでなく、全身の血流がよくなっています。
それが、ひいては高血圧の改善や耳鳴りの解消へとつながっていくのです。
併せて、輪ゴムを耳に巻くことで、耳ツボへの刺激も効果的であることはいうまでもありません。
耳輪ゴムは、1分程度の短時間でも効果が現れます。
最初は多少痛みがあるかもしれませんが、我慢のできる範囲で試してみてください。
ただ、輪ゴムをする時間は長くても、数分程度にとどめましょう。
あまり長く巻き過ぎると、うっ血するので、注意が必要です。
輪ゴムの本数は、1~4本程度。即効性を求めたいかたは、多めに3~4本を巻いてみましょう。
輪ゴムの本数が多いときは、巻く時間は短くとどめます。
少し長い時間巻いておきたいかたは、1~2本にします。
いずれにせよ、個人差がかなりありますので、試してみて、自分に合う本数、時間などを調節してみてください。
高血圧は、腎臓病などの原因が明らかな高血圧と、原因が明らかでない本態性高血圧に分けられます。
高血圧の患者さんの90%以上は、後者の原因不明の本態性高血圧になります。
この耳輪ゴムは、高血圧の患者さんの大半を占める本態性高血圧にとても有効です。
耳輪ゴムは、どのご家庭にもある輪ゴムを耳に巻くだけ。
とても簡単な健康法ですから、気軽にお試しいただければ幸いです。
解説者のプロフィール

松岡佳余子
アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師