おなかにできるコリは全身に悪影響を及ぼす
私の治療院に見える患者さんのなかには、重篤な病気や痛みを抱えているかたが少なくありません。
症状はさまざまですが、共通しているのは、おなかにコリがあることです。
このコリをほぐすことで、不調が改善したり、痛みが軽減したりします。
高血圧の患者さんも、おなかにしこりのようなコリがあります。
常に時間に追われ、ストレスの多い現代社会においては、原因となる病気がないのに血圧が上がる「本態性高血圧」の患者さんが増えています。
また、腎臓の機能が低下することで血圧が上がる「腎性高血圧」の患者さんも、少なからず来院します。
今回は、そのどちらのタイプの患者さんにも効果が期待できる「腹つまみ」をご紹介します。
腹つまみは、正式には「按腹法」といいます。
按腹法は、江戸時代にさかんだった家庭療法です。
肩こりという言葉はよく耳にすると思いますが、おなかのコリは聞き慣れないかもしれません。
しかし、コリは肩だけでなく、全身に生じます。
なかでも、おなかにできるコリは、内臓をはじめ、全身に影響を及ぼします。
おなかは人体にとって、特別な場所なのです。
五臓六腑という言葉を聞いたことがあるでしょう。
東洋医学で用いられる言葉で、人間の内臓全体を表します。
五臓六腑は、西洋医学における内臓のみならず、気力や精力を貯蔵する機能も持つとされています。
五臓六腑がバランスよく働くことで、私たちはエネルギーを得て活動することができます。
ところが、おなかにコリがあると、五臓六腑から出るはずの気(生命エネルギー)が滞り、心身に不調が起こるのです。
高血圧に効く「腹つまみ」のやり方

チクッと感じるところを重点的につまむ
私は現在、東洋医学の世界に身を置いていますが、大学時代は、植物の葉が受ける電磁波の影響を研究していました。
人体が受ける電磁波の影響を考え始めたのは、このころです。
ちょうどパソコンが普及し始め、電磁波にさらされる機会が急激に増えた時期でした。
電磁波を受けると、それがおなかにたまって帯電(電気を帯びること)します。
帯電している場所の皮膚や筋肉がかたく厚くなり、コリが生じるのです。
高血圧の人は、わきの下辺りから骨盤にかけてのわき腹が帯電しやすく、かたくなる傾向があります。
試しに、その辺りをつまんだり、なでたりしてみてください。
かたいコリや、痛む部分が見つかるはずです。
そのコリを解消できれば、気の流れがスムーズになり、五臓六腑の働きも回復して、高血圧が改善します。
高血圧を改善するための、腹つまみのやり方は、上の図解をご覧ください。
帯電しているところをつまむと、電気イオンの+と-が合わさって静電気が起こるため、チクッとした痛みを感じます。
チクッと感じるところを重点的に刺激しましょう。
皮膚は、ごく軽く優しくつまんでください。
つまんだあとが赤くなるようでは強過ぎです。
皮膚が厚かったりかたかったりしてつまみにくいときは、手でなでてもOKです。
ストレスがたまっている人は、胸にも帯電しやすくなります。
鎖骨中心からみずおちにかけて、手で10回さすりましょう。
その場で気分が楽になり、呼吸が深くなります。
腹つまみは、満腹時を避ければ、いつ、何回行ってもけっこうです。
高血圧のセルフケアとして、習慣にしてください。
解説者のプロフィール

宮原周
東邦大学理学部生物学科卒業後、鍼灸師免許を取得。都内の病院でガンの緩和ケアに携わったのち、南米パラグアイ共和国で10年間、治療活動を行う。帰国後、源義堂 宮原鍼灸治療院を開業。東洋医学、西洋医学、民間療法を融合した独自の治療に定評がある。