MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【大学教授が解説】レモン汁をミルクに加える「レモン牛乳」はダイエット効果大

【大学教授が解説】レモン汁をミルクに加える「レモン牛乳」はダイエット効果大

主要な栄養素の中で、日本人が特に不足しがちなのがカルシウムです。老齢人口の増加とともに、カルシウムの摂取不足から生じる骨粗鬆症の問題が、よく指摘されています。その問題を解決する一つの手段として、ぜひ役立ててほしいのがレモン牛乳です。【解説】横越英彦(中部大学応用生物学部教授)

「レモン牛乳」を勧める、横越先生

健康効果の高い「レモン牛乳」

 主要な栄養素の中で、日本人が特に不足しがちなのがカルシウムです。老齢人口の増加とともに、カルシウムの摂取不足から生じる骨粗鬆症の問題が、よく指摘されています。 
 その問題を解決する一つの手段として、ぜひ役立ててほしいのがレモンです。私たちの研究によって、カルシウムを含む食品にレモン汁を加えると、カルシウムの吸収率が格段に高まることがわかってきました。

 そもそもカルシウムは、吸収率のいいミネラルではありません。一般に野菜に含まれているカルシウムの吸収率は約20%、小魚でも約30%です。優秀といわれている牛乳でさえ約40%に過ぎません。牛乳でカルシウムを取っても、そのうちの60%は体内に吸収されず、排泄されてしまうのです。
 せっかくカルシウムを多く含む食品を取っているのに、半分以上は利用できないのですから実に残念です。ところが、そこにレモン汁を加えると、話は一転するのです。

 私たちはラットを使って、ある実験を行いました。
 まずラットを四つのグループに分け、①基本のエサだけ、②基本のエサにレモン果汁を配合したもの、③基本のエサに牛乳を加えたもの、④基本のエサに牛乳を加え、さらにレモン果汁を配合したもの、という四つの方法で4週間飼育しました。

 これらの実験食では、すべてカルシウム濃度を0.3%に統一し、加えたレモン汁は0.2%です。そして、カルシウムの吸収率を算出するために、ラットのフンに含まれるカルシウム量を測定してみました。
 すると、レモン汁を加えることで、明らかにカルシウムの吸収率が高まることがわかりました。先に牛乳のカルシウムの吸収率は約40%だといいましたが、私たちの実験では牛乳にレモン汁を加えると、1・5倍の約60%まで高まるのです。

カルシウムの吸収率の比較

吸収率だけでなく保持率も高める

 吸収率を見たら、次に保持率も調べる必要があります。保持率とは、カルシウムが体内に残る割合を指します。
 実は、たんぱく質や脂肪などの栄養素はエネルギーの元になったり、体を作る材料として利用されたりするため、そのまま便や尿などで排泄されることはまずありません。

 ところが、カルシウムは骨にとっても体の細胞にとっても必要なミネラルであるにもかかわらず、腎臓などから尿としてすぐに出ていってしまうのです。つまり、いったん吸収されても体の中で利用されずに、体外に出てしまうものが多いのです。いくらカルシウムの吸収率が高くても、それが体の中に残って、利用されないと意味がありません。
 この保持率を調べたところ、やはりレモン汁を加えたほうが明らかに高くなりました。

 さらに、より正確な吸収率を調べるため、次のような実験をしました。ラットに麻酔をかけ、腸管をくくってそこに直接①牛乳カルシウムのみ、②牛乳カルシウムにレモン汁を加えたものを注入して、30分後に門脈の血液中のカルシウム濃度を測ってみたのです。
 腸管内のカルシウムは、小腸の内壁にある絨毛という突起から吸収され、毛細血管を流れ、門脈という血管に集められ、肝臓に送られて利用されます。ですから、門脈中の血液のカルシウム濃度を測れば、実際に吸収されたカルシウムの率が明らかになるのです。

 この実験でも、レモン汁を加えると、門脈の血液中のカルシウム濃度は高くなり、レモン汁はカルシウムの吸収率を高める働きのあることが明らかになったのです。

 それでは、どうしてレモンと一緒に取るとカルシウムの吸収率が高まるのでしょうか。これについては、私たちにもよくわかりません。
 ただし、レモンに大量に含まれるクエン酸には「キレート作用」のあることが知られています。キレート作用とは、クエン酸がカルシウムなどのミネラル成分をカニのハサミのように挟んで、水に溶けやすいかたちにして、吸収を高める作用のことです。こうした作用が関係していると予想されています。

 いずれにせよ、レモン汁がカルシウムの吸収を高めるのは間違いないことですから、毎日の食生活で利用しない手はありません。牛乳を飲むときにレモン汁を加えたり、焼き魚にレモン汁をかけたりして食べるのは、食品をおいしくするだけでなく、その栄養をむだなく利用することになるのです。

 また、体調不良などであまり食べられない人や、少食の人、ダイエット中の人などが、少ない量からより効率的にカルシウムを摂取しようとする場合も、レモン汁は有効といえます。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この記事のエディター
関連記事
必ずしも4つの野菜だけで作る必要はありません。どんな野菜にもファイトケミカルが含まれていますから、そのときどきに応じて、他の野菜を加えるといいでしょう。【回答】髙橋弘(麻布医院院長・医学博士 ハーバード大学医学部元准教授)
ファイトケミカルは、植物が作り出す天然の成分で、従来から知られている5大栄養素にはない、抗酸化作用や抗がん作用、免疫の増強・調整作用があります。ファイトケミカルは野菜スープにすることによって、有効成分をムダなく摂取することがでます。【解説】高橋弘(麻布医院院長・医学博士・ハーバード大学医学部元准教)
食事療法は、内科の病気だけに有効なわけではありません。耳鳴りや難聴といった耳の症状に対しても、食事は大きな影響を与えます。ふだんの食生活を見直すだけでも、症状の緩和につながるでしょう。【監修】北西剛(きたにし耳鼻咽喉科院長)【料理・スタイリング】結城寿美江(料理研究家)
日本人は欧米と比較して食物繊維の摂取が少ない傾向にあります。加えて、その摂取量は年々減少しているのです。私は、ダイズやアズキなどの豆類や、玄米や麦・雑穀などの穀類を特に意識してとることを指導しています。【監修】岩瀬正典(白十字病院副院長・糖尿病センター・臨床研究センター長)【料理】金丸絵里加(管理栄養士・料理研究家)
私は18年前からバナナに注目して、さまざまな実験や研究を続け、病気の予防や改善に役立つ多くの健康作用があることを確認してきました。私自身、毎日バナナを食べていますが、10年ほど前からは、私のクリニックにいらっしゃる患者さんの食事療法としても、バナナを取り入れています。【解説】水谷剛(東浦和内科・外科クリニック院長)
最新記事
熱中症は7月8月の日中に最も多く見られます。熱中症は、乳幼児から高齢者まであらゆる年代で起こる病気です。なかでも高齢者は重症化する場合が多いのです。また服薬や持病のある方も熱中症にかかりやすいリスクがあるといえるでしょう。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
熱中症は私たちの日常生活の中での注意や工夫で予防することができます。たとえば、服装です。また、水分補給についても、実は「水分」だけを補給するのではいけません。そのほかに、エアコン等の空調の使い方のコツなどをご紹介します。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
手洗いの時間の目安は、おおよそ30秒。次のような手順で洗っていくと、少なくともそれくらいの時間が必要であることが実感できるでしょう。
新型コロナウイルスには、まだ特効薬やワクチンはなく、感染しないための予防法を徹底することが重要です。自分一人ひとりができる感染症対策のポイントをチェックしてみましょう。
コンブを水に漬けて冷蔵庫で10日ほど発酵させ、乳酸菌と酵母を培養する「コンブ酵母」が話題になっています。コンブ特有のにおいが軽減し、旨みが濃くなるので、そのまま飲んでも、料理に使ってもよし!食生活に取り入れる人が急増中です。コンブ酵母の作り方と、コンブ酵母の活用レシピをご紹介します!【レシピ】COBOウエダ家

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル