ホットパックで腰の深部まで温める
一昨年の夏、私は、たびたび腰痛に襲われるようになりました。
保育士という仕事柄、子どもを抱いて腰に負担がかかることも多く、若い頃から、常に腰の重だるい痛みはありました。とはいえ、腰痛のために歩けなくなることはありませんでした。
ところが、一昨年の夏は、職場までの10分の距離を歩くのにも、腰が痛くて5回ほど休まなければならなかったのです。
整形外科に行ったところ、「脊柱管狭窄症(背骨内部の神経の通り道が狭くなり、神経が圧迫されて痛みやしびれが出る病)」と診断されました。鎮痛薬を飲むと、しばらくはらくになりますが、やがて、また痛みが出るというくり返しでした。脊柱管狭窄症の痛みは、少し前かがみになると和ぐので、つらくなると、わざと腰が曲がったような姿勢を取っていました。
そのようにして、だましだまし過ごしていたところ、昨年の母の日に、離れて暮らす娘がとてもいいプレゼントを送ってくれました。それは、布袋に米ぬかと天然塩を詰めた「ホットパック」です。ホットパックは、電子レンジで温めて使います。鍼灸師の中野朋儀先生が、お尻の上辺りの仙骨を温めるために考案されたものです。
私は、最初、腰の痛む部分を直接、ホットパックで温めていましが、『安心』の記事などで仙骨を温めると腰痛によいことを知り、仙骨に当ててみました。
すると、確かに患部に直接当てるより、腰の深部から全身にわたってジンワリ温まるのが実感できました。『安心』では、うつ伏せになってホットパックを載せる方法が紹介されていましたが、私は夜、寝るときにあおむけになり、仙骨と布団の間に温めたホットパックを挟みます。すると、腰だけでなく全身が、まるで温泉に入ったときのように温まります。
同時に、入浴のときは、シャワーで30秒ずつ3回、仙骨を温めることも実行するようになりました。しかし、私のお気に入りは、なんといってもホットパックです。娘に余計に作ってもらって友達にもあげたところ、「朝も使うとすごくいいよ」と言われ、起床後も使うようになりました。
腰痛が出ても翌日に持ちこさない

起きるとすぐ、ホットパックを電子レンジで温め、仙骨に当てます。肌に密着するズボンの間に、ホットパックを挟めば、落ちることはありません。イスに座ってお茶を飲む間、こうして温めるだけで体がポカポカしてくるのです。
手軽にできるので、日中も、「ちょっと腰が痛いな」と思ったら、すぐホットパックで仙骨を温めるようになりました。すると、脊柱管狭窄症による腰痛が、どんどん軽くなり、気がつくと、鎮痛薬は、まったく飲まなくてもよくなっていたのです。
腰をまっすぐ伸ばした姿勢も取れるようになり、前はつらかった炊事もらくにできます。
また、以前は寒い季節になると、家でも使い捨てカイロをはっていました。しかし、ホットパックを使い始めてからは、常に全身が温かく、外出のとき以外、使い捨てカイロは使わなくなりました。寒い地方に住んでいるだけに、とても重宝しています。
腰痛が完全に出なくなったわけではありませんが、痛みが出た日は、ホットパックを使うと、その日のうちに痛みが消え、翌日に持ちこすことはありません。
また、昨年、保育士の仕事とは別に、半年くらい友人のカフェを手伝っていました。立ち作業が続くこういった仕事の後は、帰宅後、すぐにホットパックを仙骨に当てます。すると、腰痛を起こさず、翌日も元気に働けるのです。
さらに最近では、ホットパックを四つつなげた長いものも娘に作ってもらい、これを肩にも当てて寝ています。すると、ますます体が温かく、ぐっすり眠れるのです。
何人かの友人に、ホットパックやシャワーで仙骨を温めることを勧めました。すると、「冷えが取れた」「夜間頻尿が治った」「よく眠れるようになった」などの効果があったようで、みんな喜んでいます。
ホットパックによる仙骨の温めは腰痛に効きました。
多くの人に実感してほしいので、ぜひ試してみてください。
■継続することで症状の再発防止にもなる(陽だまり'はり・きゅう'治療室院長 中野朋儀)
須藤さんの使用している米ぬかのホットパックは、蒸気が発生する湿熱タイプなので、体の深部まで温めてくれます。
持病の脊柱管狭窄症は、仙骨を温めることで、腰周りの血流がよくなり、筋肉が緩和したことで、痛みが軽減され、腰が伸びたのだと思われます。
また、須藤さんのように、睡眠前に仙骨を温めておくと、全身の筋肉の緊張が和らぎ、血流もよくなるので、疲労が蓄積されない体になっていきます。
仙骨を温める回数は、目安として、ホットパックなら、朝、昼、晩の1日3回ほどでよいでしょう。仙骨シャワーも入浴時に簡単に行えるので、毎日行うのがお勧めです。仙骨の温めを継続することで、症状の再発防止にもなります。