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【ガムの効果】ガムを噛みながら歩いて認知症を予防!

【ガムの効果】ガムを噛みながら歩いて認知症を予防!

年を取ると転倒しやすくなってしまう原因としては、視力・聴力の低下、平衡機能の低下、変形性膝関節症、そして認知症などがあります。平衡機能の低下は、加齢によって、かむ能力が衰えることと大きく関連しているのです。【解説】石上惠一(東京歯科大学特任教授)

体の揺らぎがへりバランスが安定する

健やかな老後を送りたいと、高齢者のかたは願っていることでしょう。
しかし、それを打ち砕いてしまうのが、「転倒」による骨折です。

高齢者のかたが、転倒して大腿骨頸部を骨折し、手術・入院すると、筋力や心肺機能の低下を招きます。
そして、そのまま寝たきりになったり、認知症になったりするケースが非常に多いのです。

そうなれば、健康寿命とはかけ離れた、介護に頼る老後を送ることになってしまいます。
そんな転倒の防止に役立つ方法として、私が推奨しているのが、ガムをかみながら歩く「かむかむウォーキング」です。

年を取ると転倒しやすくなってしまう原因としては、「視力・聴力の低下」「平衡機能の低下」「変形性ひざ関節症」、そして「認知症」などがあります。

このなかでも、平衡機能の低下、つまりバランス能力の低下は、加齢によって、かむ能力が衰えることと大きく関連しているのです。

実際、私は、高齢者が入れ歯を装着すると、かむ能力が戻るだけでなく、体のバランス能力が回復して、しっかり歩けるようになるという例を、多く見てきました。

では、かむことと、バランス能力との間にはどういう関係があるのでしょうか。

人は直立したとき、5~6kgもある重い頭部を、重力に逆らい、首や肩の筋肉と頸椎で支えています。
この状態は、とても不安定で、いつ倒れてもおかしくありません。

それでもバランスが維持されているのは、背中にある僧帽筋のほか、咀嚼にかかわっている筋群(咀嚼筋)が、頭部の安定のために機能しているからです。

つまり、かむという動作によって、咀嚼筋がしっかり収縮することが、バランス能力の維持に欠かせないわけです。

その咀嚼筋を鍛えるのに、とても有効なのが、ガムをかむことです。

私の研究グループでは、ガムをかむと、いかに体のバランスが安定するのか、ということを実験しました。

実験では、人の体の揺らぎぐあいが測れる「重心動揺計」という機器を使い、ガムをかんでいるときと、そうでないときの被験者の体の揺らぎを比較しました。

すると、ガムをかんでいるときのほうが、体の揺らぎが明らかに少ないという結果が出たのです。
つまり、ガムをかむと体のバランスが安定することが、実験で確かめられたのです。

そこで、高齢者の転倒予防にも、ガムの咀嚼が役立つのではないかと考えたわけです。

骨が丈夫になる!認知症を防ぐ!

私は、どうすればこの実験結果を、健康度の向上に役立てられるかを考えました。
そこで出した答えが、ガムをかみながらしっかり歩くという運動です。

これにより、バランス能力が向上するとともに、筋肉の活動性も高まります。
この運動を行う際は、歯の健康を保つために、キシリトール入りのガムを使ってください。

そして、ガムをかみながら、背すじを伸ばした姿勢で、リズミカルに歩行しましょう。
のんびりと散歩するのではなく、後ろ足で地面をしっかりけりましょう。

ウォーキングをしているという感覚が大事です。毎日30分は、「かむかむウォーキング」を行うようにしてください。
重要なのは、太ももを上げること。そして、かかとから着地することです。

高齢者は、すり足になりがちで、それが転倒を招いてしまうからです。

ある医師が、転倒予防教室でこのかむかむウォーキングを行い、体験者にアンケートをとったところ、「リズムがとりやすくて歩きやすかった」「疲労感が少なかった」などの答えが多かったという報告もあります。

そして、太陽に当たりながらウォーキングをすると、体内でビタミンDが生成されます。
ビタミンDは、骨を丈夫にする代表的な栄養素なのです。

つまり、日光の下でかむかむウォーキングをすると、骨折を防ぐのにいいのです。
また、かむかむウォーキングは、咀嚼筋を鍛えるため、認知症の予防にも役立ちます。

健康長寿をかなえる健康法として、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょう。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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