MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【クレアチニンを下げる運動】腎臓病が改善 ネフローゼの尿蛋白の陰性例も

【クレアチニンを下げる運動】腎臓病が改善 ネフローゼの尿蛋白の陰性例も

私は、腎機能の衰えた慢性腎臓病(CKD)の患者さんに、この毛管運動を勧めています。毛管運動は、あおむけになり手足を上に伸ばし、小刻みに手足を動かす運動です。この運動を行うと、たちまち毛細血管の流れがよくなります。【解説者】渡辺完爾(渡辺医院院長)

毛細血管の血流停滞が臓器の機能を低下させる

多くの人は、太い動脈の血流には注意を払いますが、毛細血管の流れには無頓着です。
しかし、全身の臓器が健康に働くためには、毛細血管がなにより大事。

特に、毛細血管の塊のような腎臓では、それらの血流が腎機能を左右することもあるのです。
心臓から送り出された血液は、太い動脈から細い動脈へ流れ、毛細血管にたどり着きます。

そして、細胞へ酸素や栄養を届け、細胞から老廃物や二酸化炭素を受け取って細い静脈に入り、太い静脈を通って心臓に戻ってきます。
このように、毛細血管は動脈と静脈の間で、大事な物質のやり取りをしているのです。

もしこの流れが滞ってしまうと、細胞の活動は低下し、臓器の機能も落ちてしまいます。
また、私の治療の柱である西式健康法(故・西勝造氏が考案した自然治癒力を高める治療法)では、毛細血管こそが血流を促進する原動力で、血液を引き寄せて体のすみずみに送っていると考えています。

したがって、毛細血管の血流をよくすることが、健康を維持するうえで非常に重要なのです。
そのために、西式健康法で指導しているのが、「毛管運動」という体操です(やり方は下記を参照)。

私は、腎機能の衰えた慢性腎臓病(CKD)の患者さんに、この毛管運動を勧めています。
毛管運動は、あおむけになり手足を上に伸ばし、小刻みに手足を動かす運動です。

この運動を行うと、たちまち毛細血管の流れがよくなります。
二足歩行を行う人間は、重力の影響で、血液やリンパ液が足の下のほうにたまってきます。

これを心臓へ送り戻すのが、ふくらはぎの筋肉です。
歩いたり走ったりすると、ふくらはぎの筋肉のポンプ運動で下肢の血流がよくなり、心臓へ戻っていきます。

ところが、手足を使わず座ってばかりの生活をしていると、手足の末端の血流が滞り、老廃物や二酸化炭素が細胞にたまります。
老廃物が増えれば、血液をろ過する腎臓にも負担がかかるようになります。

そこで、あおむけになって手足を上げます。
こうすると、血液が心臓へ戻りやすくなります。

さらに、手足をブルブル動かすことで、毛細血管が刺激され、いっそう血流が促進されます。
手足の毛細血管の血流がよくなれば全身の血流もよくなり、血圧は安定してきます。

老廃物もスムーズに排出されるので、腎臓にかかる負担が減って、腎機能も改善してきます。

毛管運動のやり方

尿たんぱくが減り足のむくみも解消!

この毛管運動を中心とした西式健康法を行って、腎臓病が改善した例を紹介します。
5年前の6月、Aさん(73歳・女性)は足にけいれんとむくみが出現し、近くの総合病院を受診しました。

検査の結果、ネフローゼ症候群(尿中に多量のたんぱくが出て、血中のたんぱくが減少する症状)と診断され、即日入院してステロイド(副腎皮質ホルモン)の治療が始まりました。
入院当初9.36g/日あった尿たんぱくは、薬の効果で1ヵ月後には1.63g/日まで低下。

しかし、薬は飲みたくないと当院を受診。
食事療法や毛管運動などの運動療法を行ったところ、3週間後に尿たんぱくは0.62g/日まで下がり、足のむくみなどの症状もキレイに取れました。

Bさん(20代・男性)は、アトピー性皮膚炎で当院の治療を受けていた患者さんです。
症状は落ち着いていましたが、社会人になって仕事が忙しくなり、アトピーが再発しました。

当院で血液や尿の検査を行ったところ、アレルギーや炎症を示す数値が上昇していました。
尿たんぱくが606mg/dl(基準値は10mg/dl以下)、腎機能を示すクレアチニン値も1.56mg/dl(基準値1.04mg/dl以下)と高く、急性腎炎が疑われました。

入院して食事療法や、毛管運動などを主体にした治療を行ったところ、1週間でBさんのアトピーは劇的に改善。
腎炎においても、血尿や尿たんぱくが多少認められましたが、クレアチニン値が改善したため、退院してもらいました。

その後、自宅で毛管運動などを続けた結果、クレアチニン値も正常値まで下がりました。
毛管運動は、朝晩2回くらい行うといいでしょう。

その際、両手、両足をなるべくまっすぐ上に伸ばしてください。
その状態で1分を目標に、手足をブルブルとゆらします。

1分がきつい場合、できる範囲で結構です。
両手、両足を同時に上げられない場合は、手と足を別々に行ってもかまいません。

この運動と並行して、食事にも気をつけてください。
食べ過ぎると胃腸に負担がかかり、血液中の老廃物も増加します。

これまでの食事量より2割ほど減らしてみる。
あるいは、朝食を抜いて1日2食にすると、老廃物が減って腎臓にかかる負担も軽減します。

解説者のプロフィール

渡辺完爾
1979年、独協医科大学医学部卒業。医学博士。幼少期より父(渡辺 正)の指導により西式健康法を実践。97年4月から渡辺医院副院長として、西式健康法を基礎に断食療法・生食療法・運動療法など自然療法にて、各種疾患の治療に当たっている。2011年より渡辺医院院長。
●渡辺医院
http://www.dr-watanabe.nakano.tokyo.jp/index.html

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
上咽頭の炎症が慢性化すると、自律神経のバランスがくずれ、血流障害が起こったり、血圧が上がったりします。口呼吸の人は、まず、口を閉じて食べ物をよくかむことを心がけましょう。口周りの筋肉やあごが鍛えられ、口呼吸のクセを直すトレーニングになります。【解説】堀田修(堀田修クリニック(HOC)院長)
更新: 2018-09-25 18:15:47
慢性腎炎には治療法がありません。塩分とたんぱく質を制限し、血圧を上げないように気をつけるだけです。腎機能が低下していると、ふだんから体がむくみやすく、とてもだるくなります。レモン酢を飲むようになって1週間くらいしてから、あまり体のだるさを感じなくなってきました。【体験談】星野久美子(仮名・主婦・71歳)
更新: 2018-09-25 07:00:00
腎臓病が進行して腎機能が著しく低下すると、通常、機械を使って血液をろ過する「透析療法」を始めることになります。透析療法には、ダイアライザー(透析膜)という装置を利用する「血液透析」と、自分の腹膜を利用する「腹膜透析」があります。【解説】金田浩(かもめクリニック理事長)
更新: 2018-05-16 16:30:00
症状に対応する臓器に関連する経絡上のツボを刺激すると、神経・脊髄・脳を介する生理反応により、その症状を軽減・解消できます。強く長く押し過ぎることのないように心がけつつ、ツボ刺激を、毎日の習慣にするといいでしょう。【解説】伊藤剛(北里大学東洋医学総合研究所・漢方鍼灸治療センター副センター長(鍼灸診療部長・漢方診療部長))
更新: 2018-05-15 16:22:18
慢性腎臓病(CKD)を悪化させないためには、尿毒素をためないこと、そして炎症を抑えることがカギとなります。そのために心がけることとして、食事で腸内環境を整えることがとても重要です。腸が喜ぶ食生活が腎臓にもいかによいか、おわかりいただけると思います。【解説】内山葉子(葉子クリニック院長)
更新: 2018-07-21 10:32:24
最新記事
ストレスに強くなり、うつを防ぎ・治す食事とは、特別なものがあるわけではありません。あたりまえのことですが、栄養バランスのよい食事を1日3食きちんと食べることです。ただし、いくつかのポイントがあるのも事実です。【解説】功刀浩(国立精神・神経医療研究センター神経研究所)
更新: 2019-04-24 18:00:00
βグルカンの精製をさらに進めたところ、それまでとはまったく別の物質を発見しました。これが「MXフラクション」で、今のところマイタケからしか発見されていない成分です。【解説】難波宏彰(神戸薬科大学名誉教授・鹿児島大学大学院医歯学総合研究科客員教授)
更新: 2019-04-23 18:00:00
骨盤底筋を鍛えるための体操は、現在多くの医療機関で推奨されています。しかし、やり方をプリントされた紙を渡されるだけなど、わかりずらく続けにくい場合がほとんどです。そこでお勧めしたいのが、おしぼり状に巻いたタオルを使った「骨盤タオル体操」です。【解説】成島雅博(名鉄病院泌尿器科部長)
更新: 2019-04-22 18:00:00
首がこったとき、こっている部位をもんだり押したりしていませんか? 実は、そうするとかえってこりや痛みを悪化させてしまうことがあります。首は前後左右に倒したりひねったりできる、よく動く部位です。そして、よく動くからこそ、こりや痛みといったトラブルを招きやすいのです。【解説】浜田貫太郎(浜田整体院長)
更新: 2019-04-21 18:00:00
現代人は遠くをあまり見なくなったせいで眼筋と呼ばれる目の筋肉が衰えています。食生活も乱れがちなので目の周りの血行もよくありません。これらが目の諸症状を引き起こすのです。一度身についた生活習慣を変えることは容易ではありません。そこでお勧めなのが目のエクササイズです。【解説】福辻鋭記(アスカ鍼灸治療院院長)
更新: 2019-04-20 18:00:00

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt