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【専門医】便秘薬の種類 初期にお勧めは酸化マグネシウム、長期使用NGの下剤はコレ!

【専門医】便秘薬の種類 初期にお勧めは酸化マグネシウム、長期使用NGの下剤はコレ!

重症の便秘に苦しむ人は、とにかく便さえ出せればいいと考え、便秘薬(下剤)に頼りがちになります。そして頼っているうちに、下剤なしでは排便できなくなっていくのです。排便力の衰えに拍車がかかると「食後の腹部膨満感(おなかの張り)」「ガスが溜まる(ガス腹)」といった症状が出てきます。【解説】松生恒夫(松生クリニック院長)

下剤の副作用と効果について

 「下剤を使わないと便が出ないため、毎日、薬を飲んでいる」「常用量を超えた下剤を飲んでいる」「薬で便を出さないと不安になる」…私のクリニックでは、こうした悩みを訴える人が少なくありません。

 どうしても出ないときに下剤を使うのは仕方ありません。
 ところが、重症の便秘に苦しむ人は、とにかく便さえ出せればいいと考え、下剤に頼りがちになります。そして頼っているうちに、下剤なしでは排便できなくなっていくのです。

 しかも、こうして下剤に依存するようになると、さまざまな悪影響が体に出ます。
 自然な排便が促されないため、腸自体はもちろん、肛門括約筋(排便時に肛門を広げたり縮めたりする筋肉)などの筋肉の働きも悪化します。
 排便力の衰えに拍車がかかると、「食事がおいしくない」「食後の腹部膨満感(おなかの張り)」「ガスがたまる」といった症状が出てきます。

 また、下剤を過剰に服用すると、下痢が起こります。下痢によって体の中の水分だけでなく、体に必要なミネラル分まで失う危険も出てきます。

下剤が効かない→腸内に便が溜まり腹部が膨張→お腹が痛くなる

 すべての下剤のうち、70~75%を占めるのが「アントラキノン系下剤」というタイプのものです。このタイプの下剤には、生薬のアロエやセンナ(センノシド)、ダイオウ(タデ科ダイオウの根茎)などが成分として配合されており、大腸、中でも結腸を刺激して便を出す下剤です。

 アントラキノン系下剤を長期使用していると、腸がその刺激に慣れ、一定期間を過ぎると通常量では効かなくなります。
 さらに、大腸そのものの形態に異変が起こる「大腸メラノーシス」(大腸黒皮症)を起こす危険性があります。

 大腸メラノーシスになると、大腸の粘膜が黒ずみ、伸びたゴムホースのようになります。伸びたゴムホースですから、便を先へと送り出す蠕動運動の力は当然、低下します。こうなるともう、下剤が手放せないという悪循環に陥ります。

 また、下剤に極度に依存していると、便意そのものがなくなります。

 便意が消失すると、直腸に便がやってきても、その指令が脳へ届きません。このため、腸内に便がどんどんたまり、腹部が膨張することになります。便意の消失とともに、腹部の膨満感やおなかの痛みなどの便秘に伴う症状がより強く現れるのです。これが苦しいために、また下剤を飲むという悪循環に陥ることになります。

 便意というのは、医学的には「内臓感覚」の一つです。例えば、空腹という内臓感覚が脳に伝わることで、私たちは食事を取ることができます。
 内臓感覚が健康かどうか、上の「内臓感覚チェックリスト」で、チェックしてみましょう。

アントラキノン系下剤(刺激性下剤)よりも酸化マグネシウム(塩類下剤)、カルメロース(膨張性下剤)がお勧め

 下剤を大きく分けると、二つのタイプになります。「刺激性下剤」と「機械性下剤」です。

 刺激性下剤は腸を刺激して排便を促すもので、アントラキノン系下剤はこちらの代表です。主成分である、ダイオウやセンナ、アロエは、もともと生薬であり、自然由来の成分です。自然由来と聞くと「安心」と考える人は多いかもしれませんが、そうではありません。アントラキノン系下剤は、初期の便秘の人は使用を控えたほうがいいでしょう。長期使用もできる限り避けましょう。

 もう一つの下剤である機械性下剤は、便のかさを増やしたり、軟らかくしたりして排便を促すタイプです。便を軟らかくする酸化マグネシウム(塩類下剤)や、かさを増やすカルメロース(膨張性下剤)などがあります。初期の便秘には、このタイプがお勧めです。

 もちろん下剤に頼る前に、腸活などのセルフケアを地道に行うことが先決です。
 それでもいっこうに状態が改善せず、下剤への依存が著しい人は、一度、便秘外来などの専門医に相談してください。

松生恒夫(松生クリニック院長)
1955年、東京都生まれ。東京慈恵会医科大学を卒業。同大学第三病院内科助手、松島病院大腸肛門センター診療部長を経て、2004年より現職。現在までに約4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた第一人者。『「排便力」をつけて便秘を治す本』(マキノ出版)、『腸に悪い14の習慣』(PHP新書)など著書多数。
●松生クリニック
東京都立川市羽衣町2-12-27
TEL 042-522-7713
https://matsuikeclinic.com/

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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