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【ストレス対策】「男脳」と「女脳」でこんなに違う!1万人の脳波解析から判明!

【ストレス対策】「男脳」と「女脳」でこんなに違う!1万人の脳波解析から判明!

人間のあらゆる生命活動は、脳のホルモンから出される電気信号によって制御されています。「脳波」を見ることで人の心が読めるのではないかという仮説のもと18年前から脳波の研究を行ってきました。そして人間の感情をその場で数値化する「感性アナライザ」の開発に成功しました。【解説】満倉靖恵(慶應義塾大学理工学部准教授)

解説者のプロフィール

みつくら やすえ
2011年から、慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科准教授。2013年から、電通サイエンスジャム取締役最高技術責任者を兼任。生体信号、特に脳波を用いた感性認識や医工学連携の研究に従事している。「感性アナライザ」を活用した企業の製品開発や事業展開の監修を、数多く行っている。

ストレスを感じた脳波はうつ病患者の脳波と似る

 人間のあらゆる生命活動は、脳のホルモンから出される、電気信号によって制御されています。
 私は、この電気信号を計測した「脳波」を見ることで、人の心が読めるのではないかという仮説のもと、18年前から脳波の研究を行ってきました。
 その結果、人間の感情をその場で数値化する「感性アナライザ」という装置の開発に、世界で初めて成功しました。

 感性アナライザは、カチューシャのような簡易なヘッドギアで、おでこと耳たぶに接触させて基準電極を取ると、「ストレス度」「興味度」「好き嫌い度」「集中度」「リラックス度」の5指標が数値化されます。これらを応用すれば、「眠気」の有無や、「味」の評価なども可能です。

 例えば、「味」の場合、人によって好きな食べ物は異なりますが、おいしいと感じたときの脳波は同じ。ですから、食べているときの脳波を見れば、おいしいと感じているかどうかが判断できるわけです。

 すでにさまざまな企業で感性アナライザは活用されております。
 脳波には、感情が顕著に表れます。そういう意味では、人の気持ちはしょせん電気信号であり、感性アナライザを通せば、心を「見える化」することが可能なのです。

 なかでも、私たちの健康を左右する「ストレス度」は、最も注目すべき指標と言えましょう。
 実は、ストレスを感じたときの脳波の一部は、うつ病患者の脳波と一致します。

 つまり、ストレスは、うつ病の原因となることが明確であるため、一刻も早くリセットしなければなりません。

満倉靖恵先生が開発して製品化された「感性アナライザ」。

ヘッドギアを装着して脳波を計測し、そのデータを解析してタブレット端末に表示する

感性アナライザを使えばリアルタイムで心を「見える化」することができる

「感性アナライザ」で脳波を解析してわかるのは、「ストレス度」「興味度」「好き嫌い度」「集中度」「リラックス度」の5指標。

これらの自分の感情、いわば「心の状態」が、1秒後にグラフ化されて表示される

「1分間の大声」で男女ともストレス度が顕著に下がる

 ストレスを解消するには、男性と女性で効果的な方法が異なります。

「女性は、誰かと話して共感を得る」
「男性は、1人でじっと考え込む」
 このような男女差があるのは、脳の右脳と左脳をつなぐ脳梁という部分の太さが、男性と女性で全然違うからです。女性は脳梁が太いのに対し、男性は細いのが特徴です。

 脳梁が太いと、脳は複数の作業を同時に行うことができるため、女性は、おしゃべりをしながら頭で別のことを考えるのが得意。それだけに、ポンポン話題を変えながら、感情豊かにワ〜ッとしゃべることが、女性にとっては、効果的なストレス発散になります。

 いっぽう、男性は、脳梁が細いので、起きた出来事を1つひとつ理解しようとします。じっくり考え、「なるほど、そういうことか」と腑に落ちることで、スッキリ感が得られるわけです。

 私はこれまで何千人もの脳波を見てきましたが、こうした男女の違いは脳波にも表れています。

 感情豊かな女性は、脳波の変動が起きやすく、振幅も大きいのです。それに比べて男性は、脳波の周波数(1秒間に繰り返す波の数)は女性と同じでも、振幅は小さいです。

 ちなみに、男女に関係なくストレス発散に有効なのは、大声を出したりお風呂に入ったりすることです。
 研究室の学生たちと、高尾山(東京)の頂上で1分間ワ〜ッと大声を出したところ、ストレス度は平均10%減少。
 カラオケで1時間歌うことでも、13%下がりました。
 また、お風呂で湯船に15分つかると、平均8%下がります。

生理周期で「ストレス度」と「集中力」が激変

 ストレスのたまりやすさも、男性と女性とでは異なります。

 女子学生の脳波を取りながら、3年間にわたって生理周期を追ったところ、女性は月経に合わせて、1カ月周期でストレスのたまりやすい時期が訪れることがわかりました。

 最も「ストレス度」が高いのは、黄体期(排卵後から次の生理が始まるまでの期間)で、「ストレス度」の低い卵胞期(月経後、新たな卵胞が発育する期間)なら何でもないようなことでも、黄体期には悪く受け止めやすくなったりします。

 卵胞期と黄体期とでは、「ストレス度」は平均10%以上違いますが、なかには30%以上高くなるケースもあるほどです。
 そればかりか、月経期には、集中力も平均8%下がります。この時期に試験が重なったりすると、女性は実力を発揮しにくく、たいへんなハンディキャップと言えるでしょう。

 いっぽう、男性の場合は、3カ月ごとにストレスの数値が高くなる時期があります。
 その理由はまだ解明されていませんが、女性の月経が月の満ち欠けに影響を受けていると言われるのに対し、男性は木星や金星の影響を受けているのではないかというのが私の推測です。

なぜ、女性はショッピングがストレス解消になるのか

 なお、「ストレス度」の年齢差については、男性のほうが大きくなることがわかっています。

 女性の場合は、20代のグループと60代のグループで「ストレス度」を比較しても、その差はほとんどありません。

 ところが、男性は20代のグループと60代のグループを比べると、明らかに60代のほうが「ストレス度」は高くなります。

 この結果から、女性は年齢に関係なく、男性よりもストレスの発散が上手だと言うことができます。
 そして、その背景にあるのは、女性は「好き度」が上がると、「ストレス度」が減少するというメカニズムです

 例えば、女性は「わ〜、これかわいい!」と言うと、その瞬間に「ストレス度」がズドンと下がります。自分の好きなものに出合うとストレスの数値が下がるため、女性が買い物でストレスを発散するというのは、理論的にたいへんよくわかる話なんですね。

 しかし男性は、いくら「好き度」が上がっても、「ストレス度」は下がりません。その理由はわからないのですが、いずれにせよ、男性は女性のように簡単にストレスを発散させることができないわけです。

 ほかにも、涙には感情をリセットする働きがあるのですが、男性は泣くことを我慢する人が少なくありません。こうした気質も、ストレスを発散しにくい要因と言えそうです。

感性アナライザによる「男脳」まとめ

感性アナライザによる「女脳」まとめ

子の脳波は母親に同調する。父親には同調しない

 人間には、目の前にいる人と同じような脳波になる「同調現象」が備わっているのも、脳のおもしろいところでしょう。

 40〜50人のグループを調査したところ、「怒っている人のそばに行くと、近寄った人の脳波も怒りを感じたときの脳波になる」「楽しそうな人の近くでは、周りも快楽を感じたときの脳波になる」という結果が得られました。

 なかでも興味深いのは、母親と子どもの関係です。
 子どもは、母親が怒ったり笑ったりすると、それにつられて同じ脳波になるのですが、不思議なことに、母親だけにしか同調しないのです。母親以外の女性はもちろん、実の父親にすら反応しません。

 こうした関係性を見ると、いかに母親が子どものそばにいることが重要であるかがわかります。また、母親が子どもにしっかりと愛情を注げば、子どもは愛情豊かな子になると言われるのもうなずけるでしょう。

自分のストレスを知ることは心身ともに大きなメリット

 私たちは、「自分の感情は、自分がいちばんよくわかる」と思いがちですが、案外、自分の気持ちはわからないものです。
 特に、自分がどの程度のストレスを抱えているのかは、なかなか気づくことができません。

 その点、私は自分の脳波を毎日見続けてきましたから、脳波を見た瞬間に「今の私は、こういう感情なんだな」と全部わかるようになりました。おかげで、感情のコントロールがうまくなり、ストレス値が高ければ、自分で下げることもできます。

 人は誰しも、自衛反応を持っているので、冷静に「自分はこんなにストレスがあるのか」と知るだけでも、「ストレス度」はグッと下がります。自分の脳波を見るというのは、いわば、もう1人の自分が自分を見るようなものかもしれません。

 感性アナライザで、意識的にストレスを解消できれば、心身ともに大きなメリットがあります。
 それだけに、1日も早く、ご家庭で感性アナライザを使っていただけるよう、さらなる開発を進めたいと思っています。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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