医師から足の切断をほのめかされるほど悪化
主人の糖尿病が判明したのは2010年のことでした。それまで長年、健康診断を拒んでいましたが、たまたま受けたところ、発覚したのです。
血糖値は327mg/dl(基準値は、110mg/dl未満)、過去1~2ヵ月の血糖状態を示す指標であるヘモグロビンA1cは9.6%(基準値は、4.6~6.2%)と、かなり高い数値でした。
主人は以前より、かなりお酒を飲むほうでしたが、この前年に67歳で退職して以降、さらに酒量が増加していました。それでも、医師の治療をおとなしく受けたら、事態が好転するだろうと楽観視していたのです。
ところが、薬を飲んだにもかかわらず、症状は悪化の一途をたどりました。2013年には血糖値は450mg/dl、A1cは12.9%まで上がりました。
さらに恐ろしいことに、体重が急激に減り始めました。糖尿病の進行によるものです。かつて63kgあった体重は、2014年には48kgに減少しました。
また、糖尿病の合併症で網膜症を患い、左目が見えづらくなりました。かつては車の運転が得意だったのに、何度か車体をこすってしまったのです。
当時は服薬治療のみでしたが、もし通っていたのが大学病院のように大規模な医療施設だったなら、インスリン治療は避けて通れなかったでしょう。
主人の病状は、担当医が足の切断をほのめかすほど深刻でした。体はやせ細り、栄養失調状態に陥っていました。そこで私は、いろいろ調べた結果、「野菜の王様」であるタマネギを食べさせよう、と考えたのです。
主人と相談し、庭に家庭菜園を設け、タマネギを中心とした野菜作りを開始。その畑の世話役を、主人に担ってもらうことにしました。もちろん、こうしたことは、本人がその気にならないと、うまくいかないもの。私は長らく、「親業」のインストラクターとして活動しているので、そのあたりは、よく心得ています。
主人は退職後、生きがいがないと嘆いていました。きっと、この畑作りが、状況を打開するきっかけになる。そう説得すると主人は理解を示し、自発的に栽培に取り組むようになりました。そして、自分で精魂込めて作ったタマネギを収穫しては、せっせと食べ始めました。それが、2014年のことです。
網膜症で見えづらかった視力もすっかり改善!
苦味のないおいしいタマネギがたくさん取れるので、さまざまな食べ方で活用しています。鍋物に入れたり、肉料理に添えたりと、食卓に欠かせません。
タマネギは、大きめにカットして電子レンジで加熱した物を常備しておくと、使いたいときにいつでも料理に加えることができ、大変便利です。
また、丸ごとタマネギのレンジ蒸しもお勧めです。どこかで教わったレシピを参考にしました。タマネギは皮をむき、8等分に切れめを入れます。このとき、根に近い部分は、完全に分離しないよう残しておきます。
これを器に入れ、ラップをかけ、電子レンジで5~6分加熱。ハスの花のように開いたところに、カツオ節を散らし、ポン酢かしょうゆをかけていただきます。主人はこれが大のお気に入りで、毎日食べています。
こうしてタマネギづくしの生活を続けていたところ、主人はみるみる元気になっていきました。2016年5月に受診した際には、血糖値は119mg/dl、A1cはなんと、6.3%まで下がっていたのです。
この時点で、「タマネギを薬と思ってがんばろう」と通院をやめたので、最近の数値はわかりません。ただ、顔色などを見る限り、いい健康状態を保てているようです。体重も今は、54kg程度まで戻ってきました。
実は、タマネギを食べ始める2年ほど前から、アズキを加えて炊いた玄米を長時間保温しながら食べる、いわゆる「酵素玄米」も実践してきました。
これは現在も続けていますが、ここまで糖尿病がよくなったのは、やはりタマネギの効果だと思います。というのも、主人はタマネギを本格的に食べ始めた際に、薬を飲むのをやめたのにもかかわらず、これだけ数値が改善したからです。
おかげで視力もすっかりよくなり、もう車体をこするようなこともありません。
タマネギ生活は、窮余の一策でしたが、期待以上の成果でした。主人はタマネギに命を救われたようなものです。大地の恵みに、心から感謝しています。
体内の糖代謝を高め糖尿病の改善に力を発揮(クリニック真健庵院長・星子尚美)
血糖が高い状態が長く続くと血管に負担がかかり、まず最も細い毛細血管から損傷を受けます。目の網膜には毛細血管が集まっているため、糖尿病が進行すると網膜症を発症し、視力が低下してくるのです。
タマネギに含まれる硫化プロピルなどの含硫アミノ酸は、体内で糖の代謝を高めたり、インスリンの働きを助けたりして、糖尿病の改善に強い力を発揮してくれます。