あごのゆがみが耳鳴りの隠れた原因!
耳鳴りの症状は、いくら本人がつらくても、周りの人にはなかなか理解されにくいものです。頭の中で四六時中、音が鳴り響くために、うつ病や不眠症といった、精神的な疾患につながるケースも少なくありません。
病院で診てもらっても、原因がわからないことも多く、ひどいときには、「加齢によるものなので、あきらめてください」と医師から宣告されることもあるといいます。実際に、私のもとにも、複数の病院や治療院を渡り歩いている患者さんがよくいらっしゃいます。ほかの病院などで診察を受けたものの、薬も治療法も示されなかったために、わらにもすがる思いで来られるかたが多いのです。
私は、そのような耳鳴りに悩むかたの体を多く見ているうちに、ある共通点に気がつきました。耳鳴りやめまいを訴えるかたは、あごがゆがんでいることが多いのです。
仕事や人間関係などによってストレスが慢性化したり、悪い姿勢が習慣化したりすると、私たちの体は徐々にゆがんできます。全身のバランスがくずれて、しだいに顎関節も正しい位置からずれてきます。
あごの骨格がゆがむと、耳の内部に流れるリンパ液が滞り、耳たぶの後ろにあるリンパ節が詰まってきます。そのうえ、血流も悪くなり、耳の各器官に血液がじゅうぶんに行き渡らなくなります。
これらが原因となって、耳鳴りやめまいが引き起こされると考えられるのです。よって、症状の回復には、滞ったリンパ液と血液の流れを促すことが重要といえます。
そこで効果的なのが、耳を温めること。耳当てをつけたり、カイロを当てたりして温めてもいいのですが、最もお勧めの方法は、蒸しタオルです。

めまいがなくなり夜もよく眠れる!
タオルを水でぬらし、電子レンジに入れて、1分ほど温めます。それを、耳鳴りのするほうの耳に、5〜10分当てましょう。両方の耳に耳鳴りがある場合には、片方ずつ行います。
これを1日につき1回を目安に行ってください。いつ行ってもかまいませんが、より高い効果を期待するなら、血行がよくなっている入浴後から就寝までの間がお勧めです。
蒸しタオルの利点は、蒸しタオルから発生する蒸気にあります。実際に行ってもらうとよくわかりますが、温熱効果と蒸気によって、高いリラックス効果が得られ、耳が芯からじんわりと温まってきます。それにより、リンパ液や血液の流れがいっそう促されるのです。
私は、耳鳴りにお悩みの患者さんには、この蒸しタオル療法を積極的に勧めています。実際に症状がよくなった例を、いくつかご紹介しましょう。
40代の女性Aさんは、両耳に耳鳴りを感じていました。複数の病院で診察を受けたものの、いっこうに症状がよくならず、私の治療院に来られました。
体を見てみると、やはり顎関節にゆがみがあったため、施術に加えて、自宅で蒸しタオルで耳を温めるよう指導しました。毎日、きちんと行った成果があったのでしょう。1週間もすると、耳鳴りは聴こえなくなるまでに改善し、聴力も回復。その後も、再発はないようです。
80代の女性Bさんは、左耳の耳鳴りに加え、頭痛にも悩まされていました。蒸しタオル療法を勧めたところ、「とても気持ちがいい」と気に入ってくれました。それからは、毎日、朝と晩に耳を温めるようにしたそうです。
1ヵ月ほど続けるうちに、だんだんと頭痛が和らぎ、頭が軽くなっていきました。耳鳴りは完全には消えていないものの、気にならない程度にまで軽減したそうです。
最後に、50代の女性Cさんのケースです。Cさんは海外勤務が多く、いつもストレスを感じているようでした。ストレスがたまり、体調が悪くなってくると、両耳に耳づまりや、めまい、不眠などの症状が出てくるというのです。
蒸しタオル療法を指導し、毎日耳を温めること3〜4ヵ月。今では耳のこもった感じがなくなり、聴こえもよくなったと喜んでいます。めまいもなくなり、夜もよく眠れるそうです。
このかたがたのように、症状が改善したケースでは、自分で治そうという気持ちが強いかたがほとんどです。ですからすぐに効果が現れなくても、1週間は続けてみてください。
なお、耳鳴りに加え、耳に痛みを感じている場合は、耳の内部に炎症が生じている可能性があります。蒸しタオルで温める前に、一度、医師に相談するようにしましょう。
板坂浩志
三重県出身。行岡整復専門学校を卒業。柔道整復師。平成22年に、大阪市大正区にひろ整骨院を開業。妊娠中や出産後の女性を対象にした、マタニティー整体も行っている。