【肩凝りの正体】実は初期の病気「頚椎症」の可能性 首の痛みに要注意

【肩凝りの正体】実は初期の病気「頚椎症」の可能性 首の痛みに要注意

肩こりは病気ではない、と捉えていませんか。確かに、「肩こり」は医学的な病名ではないのですが、その実態は、決して軽く見てよいものではありません。それどころか、肩こりは広い意味の頸椎症の始まりで、いわば「首の痛みの入り口」にあたる症状です。【解説】竹谷内康修(竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長)


首の痛みの入り口は「肩こり」

 「こり」とは、筋肉が緊張して硬さやこわばりが持続している状態を指します。一般的に、「こり」と「痛み」は別のものだと思われていますが、こりが高じると痛みが起こることからもわかるように、両者は密接な関係にあります。

 多くの人は、肩こりは病気ではなく、取るに足りない日常的な症状ととらえているのではないでしょうか。確かに、「肩こり」は医学的な病名ではないのですが、その実態は、決して軽く見てよいものではありません。
 それどころか、肩こりは広い意味の頸椎症の始まりで、いわば「首の痛みの入り口」にあたる症状です。頸椎症スペクトラムを先ほどの虹にたとえるなら、最初の赤色は「肩こり」なのです。

 なお、実際の肩こりは、文字どおりの肩のこりだけでなく、首から肩にかけて、さらに肩甲骨(背中の上部で左右にある三角形の大きな骨)付近を含めた広い範囲がこります。ここでいう肩こりは、そういった広い範囲のこりを意味すると思ってください。

 厚生労働省で行っている「国民生活基礎調査」では、症状別の有訴者率(自覚症状を訴える人の割合)を調べています。それによると、男性では第1位が腰痛で2位が肩こり、女性では1位が肩こりで2位が腰痛となっています(2010年調査)。

 これは、広い意味での頸椎症が、腰痛と並んで1〜2位を占めているといい換えることもできます。同時に、首の痛みを起こす予備群が、非常に多く存在することを意味しています。しかも、平成10年と比べて近年、肩こりを訴える人は増加する傾向にあります。

 肩こりが増加している原因としては、ここ数十年で、車や電車をはじめとした便利な移動手段の普及により、「歩かない生活」になってきたことが考えられます。さらに、ここ十数年で起こったパソコンの普及などにより、長時間、同一の姿勢をとる「動かない生活」になったことも考えられます。極端にいえば、人間が「動物」から「静物」に近づいていることが、肩こりの増加の原因と考えられるのです。

 とくに、座り続けて動かない生活様式は、近年、「セデンタリーライフスタイル」と呼ばれて注目を集めています。WHO(世界保健機関)では、セデンタリーライフスタイルが病気のリスクを高めると警告しています。セデンタリー(sedentary)は、「いつも座っていてほとんど体を動かさない」という意味の英単語です。そういう生活は、糖尿病や心臓病をはじめとした生活習慣病などと並んで、首の痛みのリスクも高めることを、ぜひ知っていただきたいと思います。

 そのほかに肩こりがふえているのには、精神的には緊張を強しいられる場面が多くなったことなど、現代人の多くに当てはまる社会的要因が深くかかわっていると考えられます。

 ここで、肩こりが起こるときの体の変化について簡単に説明しましょう。
 肩こりがある人は、首や肩が張って、肩が上がっています。肩がこるのは、何かに夢中になって取り組んだり、フォーマルな場に出たりするときですが、そのようなときには、自然と肩が上がります。肩が上がったときは、後頭部から肩甲骨にかけて広がっている上部僧帽筋と肩甲挙筋が縮み、肩甲骨を持ち上げて、それによって肩が上がるのです。

 また、肩こりの人は、たいていネコ背で肩が前に出た姿勢になっています。肩が前に出ると、その力に引っぱられて肩甲骨が左右に広がります。さらに、肩が前に突き出て、胸筋(大胸筋と小胸筋)が縮んで固まります。
 肩こりを解消するには、このような体の変化を元に戻す必要があります。

竹谷内康修
 竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長。整形外科医・カイロプラクター。東京都生まれ。東京慈恵会医科大学卒業後、福島県立医科大学整形外科へ入局。3年間整形外科診療を行う。その後、米国ナショナル健康科学大学へ留学し、カイロプラクティックを学ぶ。同大学を首席で卒業後、都内にカイロプラクティックを主体とした手技療法専門のクリニックを開設。腰痛、腰部脊柱管狭窄症、肩こり、頭痛、首の痛み、関節痛などの治療に取り組む。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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