【名医】首は意外と鈍感 ストレートネックが頚椎症(首の痛み)を引き起こす

【名医】首は意外と鈍感 ストレートネックが頚椎症(首の痛み)を引き起こす

ストレートネックという名前からは、「首が真っすぐになっている」というイメージだけを抱きがちですが、実は頭が前に出た姿勢が基盤になって起こっています。その分、首に大きな張力がかかり、負担を増していることを覚えておいてください。【解説】竹谷内康修(竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長)


ヒトは「頭の重さ」を感じないストレートネック

 最近、首の痛みの原因とされることが多い「ストレートネック」も、頭が前に出る姿勢と深く関係しています。先に少しふれたとおり、頸椎は生理的にはやや前弯しています。つまり、カーブの丸みが前に向かう方向に軽く弯曲しているのです。この弯曲が失われて、名前のとおり真っすぐになったのが「ストレートネック」です。

 頸椎に限らず、背骨は全体的に前や後ろに弯曲してS字型になっています。この生理的弯曲は、重い頭や胴体を支えつつ重力を分散し、背骨への負担をやわらげるサスペンション(衝撃を緩和する装置)の役割をしているのです。

 ですから、首の骨が真っすぐになるストレートネックは、そのサスペンションが効かなくなるという点で首への負担を増してしまいます。

 さらに、頸椎が真っすぐになったとしても、それが地面に垂直に位置しているのであればまだよいのですが、そうではありません。実際のストレートネックは、全体的には首が斜めに前に出た状態を意味します。

 ストレートネックという名前からは、「首が真っすぐになっている」というイメージだけを抱きがちですが、実は頭が前に出た姿勢が基盤になって起こっています。その分、首に大きな張力がかかり、負担を増していることを覚えておいてください。

 ストレートネックと診断される段階になると、頭が前に出た姿勢で筋肉や背骨が固まっていますので、無理なくストレッチや筋力トレーニングなどをしながら、徐々に姿勢を矯正していくことが必要になります。セルフケアは、そのためにも効果を発揮しますので、ぜひお試しください。

 さて、頭が前に出たネコ背やそれが固定化して起こるストレートネックなどは、図やイラストで見るといかにもつらそうに見えます。こんな姿勢を続ける前に、なぜ人間はやめようとしないのか、不思議に思えるほどです。
 ここにも、私たち人間が首の痛みを起こしやすい秘密があります。実は、腕などに比べて、首は「重さを感じない」部位なのです。

 私たちの頭は約五キロの重さがありますが、その重さを私たちはとくに意識しないで過ごしています。これが、仮に腕だったらどうでしょうか。先ほどあげた例のように、ボウリングのボールや五キロの米袋を、朝起きてから16〜18時間も持っていたら、重くてたまらず、いやになってしまうでしょう。しかし、同じ重さを、首は黙ってのせ続けています。

 そんなことが平気でできるのは、「重量覚」と呼ばれる重さを感知する感覚が、首では非常に鈍くなっているからです。足の重量覚も、腕ほど敏感ではありませんが、首ほど鈍感ではありません。重量覚に関しては、意識のうえでは首は人体で最も鈍感な部位なのです。より正確に表現すると、首は大切な頭を支えているので、実際には重さを感知しながら絶妙なバランスをとっています。しかし、それをわれわれが意識しないしくみになっているのです。

 重い頭を支える部位だけに、四六時中、重さを感じていてはつらいので、あえて鈍感になっているのかもしれません。確かに、その意味では好都合ですが、重さを感じないので、無理な姿勢を長時間とってしまいます。その結果、知らないうちに首や肩の張力が大きくなり、こりや痛みを招くことになります。

 悪い姿勢も短い間であれば、それほど大きな負担にはならず、そのつどリセットできますが、首の重さを感じないので、つい悪い姿勢を長く続けてしまうのです。つまり、首の痛みの原因を突きつめると、「頭が前に出た悪い姿勢」+「それを長く続けること」の二つに集約されます。「長く」というのは、一日のうちの長時間という意味でもあるし、もっと長いスパンの期間や年数、すなわち、加齢という意味でもあります。

 首に「重さを感じない」という“弱点”があることを認識し、意識的に姿勢を矯正したり、背骨や筋肉をゆるめたりすることこそ、首の痛みの予防・改善・解消の切り札になるのです。

竹谷内康修
 竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長。整形外科医・カイロプラクター。東京都生まれ。東京慈恵会医科大学卒業後、福島県立医科大学整形外科へ入局。3年間整形外科診療を行う。その後、米国ナショナル健康科学大学へ留学し、カイロプラクティックを学ぶ。同大学を首席で卒業後、都内にカイロプラクティックを主体とした手技療法専門のクリニックを開設。腰痛、腰部脊柱管狭窄症、肩こり、頭痛、首の痛み、関節痛などの治療に取り組む。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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