自律神経の乱れが整い 耳鳴り、耳閉感がスッキリする呼吸法を耳の専門医が伝授!

自律神経の乱れが整い 耳鳴り、耳閉感がスッキリする呼吸法を耳の専門医が伝授!

近年、耳鳴りを訴える患者数は増加の一途をたどっています。これは、現在の日本の高齢化社会を反映したもので、加齢による難聴が、その主な原因といえるでしょう。【解説】石井正則(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長)


耳閉感を伴う耳鳴り患者 の多くは呼吸が浅い!

 近年、耳鳴りを訴える患者数は増加の一途をたどっています。これは、現在の日本の高齢化社会を反映したもので、加齢による難聴が、その主な原因といえるでしょう。
 なかには、耳の中がつまったような、耳閉感を訴えるかたも少なくありません。皆さんも、新幹線に乗ってトンネルを通過するときに、耳の中がつまったような感覚に襲われることはありませんか。これは、移動で生じる気圧の変化によるもので、一時的な現象です。しかし、耳閉感を伴う耳鳴りは四六時中続くため、日常生活に大きな苦痛が生じるのです。
 このように、耳鳴り患者の多くは、日常的に大きな精神的ストレスを抱えて生活しています。そしてそれにより、体のある活動に悪い変化が生じてしまうのです。それは、呼吸です。
 私は初診時の心がけとして、その人の動作や体格、表情をよく観察するようにしています。そこから、病気の隠された原因が見えてくることが多いからです。耳閉感を伴う耳鳴り患者をよく観察すると、ほぼ全員が浅い呼吸をしていることがわかります。おなかの底からの深い呼吸をしておらず、肩と胸を上下させる胸式呼吸をくり返しているのです。そして、そのことを本人は全く自覚していません。
 このような浅い呼吸は、危険な呼吸といえます。なぜなら、自律神経の乱れにつながるからです。
 自律神経とは、私たちの体の諸機能を調節している神経のことで、交感神経と副交感神経の2種類からなります。交感神経は、主に昼間に働き、体を活動モードへと導きます。一方の副交感神経は、主に夜間に働き、体を休息モードへと導きます。
 1日を通して、両者がバランスよく働くことで私たちの健康状態は維持されています。しかし、浅い呼吸が慢性化すると、交感神経が優位な状態ばかりが続き、副交感神経に切り替わりません。そのため、体がなかなかリラックスしないのです。
 ストレスは解消されずにどんどん蓄積され、不眠や疲労感といったほかの症状も招きかねません。ますます自律神経のバランスはくずれて、耳鳴りが増悪するのです。

3ヵ月で首こりが解消し 耳鳴り、耳閉感も消失

 この悪循環を断ち切るためには、ふだんの呼吸法を、浅い胸式呼吸から、深い腹式呼吸へと変える必要があります。
 腹式呼吸は、慣れればだれでも簡単に行えます。まず、いすに深く腰かけ、リラックスした状態で背すじを伸ばします。おなかをふくらませながら鼻からゆっくりと息を吸い、おなかをへこませながら鼻からゆっくりと息を吐いてください。これを何度かくり返します。
 ゆったりとした腹式呼吸によって横隔膜がよく動くようになると、しだいに副交感神経が優位になってきます。これを毎日続ければ、自然に深い腹式呼吸が身につき、耳鳴りの改善が期待できるでしょう。
 この腹式呼吸を身につけたうえで、私が考案した「C2呼吸法」を行うとより効果的です(詳しいやり方は、上の図解をご覧ください)。特に、冒頭で説明したような耳閉感を伴う低音性の耳鳴りに対しては、大変有効といえます。
 C2とは、第二頸髄神経のことで、後頭部と首の際から、首のつけ根や耳の後ろにかけて走行している重要な神経です。
 耳閉感を伴う耳鳴り患者の場合、首がひどくこっていることが多く、それによってこのC2が圧迫されていることが少なくありません。C2は自律神経の交感神経とも接しているため、ここが圧迫されると、自律神経の乱れを引き起こします。
 C2呼吸法を行えば、首の筋肉の緊張がほぐれていくので、自律神経のバランスもしだいに整います。耳のつまりや耳鳴りも改善していくでしょう。
 以前、耳鳴りと耳閉感に悩む30代の患者さんに、C2呼吸法を毎日続けてもらったことがあります。このかたは、ひどい首のコリにも以前から悩まされていました。3ヵ月ほど続けたところ、みごとに首のコリが解消し、耳鳴りと耳閉感も消失したと喜んでいました。
 皆さんも、これらの呼吸法を習慣化して、健やかで若々しい耳を手に入れてください。

石井正則
 東京慈恵会医科大学大学院修了。1987年に東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科医長に就任。2000年より、同大学准教授。現在、JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。近著に、『耳鳴りがスッキリする呼吸がわかった』(マキノ出版)がある。

これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連ムックをもとに掲載しています。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

これらの記事にある情報は、効能や効果を保証するものではありません。専門家による監修のもと、安全性には十分に配慮していますが、万が一体調に合わないと感じた場合は、すぐに中止してください。

この健康情報のエディター

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