医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営

ストレスになる、キーンという「耳鳴り」の止め方!原因と呼吸法を解説

ストレスになる、キーンという「耳鳴り」の止め方!原因と呼吸法を解説

近年、耳鳴りを訴える患者数は増加の一途をたどっています。これは、現在の日本の高齢化社会を反映したもので、加齢による難聴が、その主な原因といえるでしょう。【解説】石井正則(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長)


解説者のプロフィール

石井正則
東京慈恵会医科大学大学院修了。
1987年に東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科医長に就任。
2000年より、同大学准教授。
現在、JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。
近著に、『耳鳴りがスッキリする呼吸がわかった』(マキノ出版)がある。

耳閉感とは、耳の中が塞がったように感じる症状。患者の多くは呼吸が浅い!

 近年、耳鳴りを訴える患者数は増加の一途をたどっています。これは、現在の日本の高齢化社会を反映したもので、加齢による難聴が、その主な原因といえるでしょう。

 なかには、耳の中がつまったような、耳閉感を訴えるかたも少なくありません。皆さんも、新幹線に乗ってトンネルを通過するときに、耳の中がつまったような感覚に襲われることはありませんか。これは、移動で生じる気圧の変化によるもので、一時的な現象です。しかし、耳閉感を伴う耳鳴りは四六時中続くため、日常生活に大きな苦痛が生じるのです。

 このように、耳鳴り患者の多くは、日常的に大きな精神的ストレスを抱えて生活しています。そしてそれにより、体のある活動に悪い変化が生じてしまうのです。それは、呼吸です。

 私は初診時の心がけとして、その人の動作や体格、表情をよく観察するようにしています。そこから、病気の隠された原因が見えてくることが多いからです。耳閉感を伴う耳鳴り患者をよく観察すると、ほぼ全員が浅い呼吸をしていることがわかります。おなかの底からの深い呼吸をしておらず、肩と胸を上下させる胸式呼吸をくり返しているのです。そして、そのことを本人は全く自覚していません。

 このような浅い呼吸は、危険な呼吸といえます。なぜなら、自律神経の乱れにつながるからです。
 自律神経とは、私たちの体の諸機能を調節している神経のことで、交感神経と副交感神経の2種類からなります。交感神経は、主に昼間に働き、体を活動モードへと導きます。一方の副交感神経は、主に夜間に働き、体を休息モードへと導きます。

 1日を通して、両者がバランスよく働くことで私たちの健康状態は維持されています。しかし、浅い呼吸が慢性化すると、交感神経が優位な状態ばかりが続き、副交感神経に切り替わりません。そのため、体がなかなかリラックスしないのです。
 ストレスは解消されずにどんどん蓄積され、不眠や疲労感といったほかの症状も招きかねません。ますます自律神経のバランスはくずれて、耳鳴りが増悪するのです。

耳鳴りがスッキリする呼吸法のやり方

3ヵ月で首こりが解消し耳鳴り、耳閉感も消失

 この悪循環を断ち切るためには、ふだんの呼吸法を、浅い胸式呼吸から、深い腹式呼吸へと変える必要があります。

 腹式呼吸は、慣れればだれでも簡単に行えます。まず、いすに深く腰かけ、リラックスした状態で背すじを伸ばします。おなかをふくらませながら鼻からゆっくりと息を吸い、おなかをへこませながら鼻からゆっくりと息を吐いてください。これを何度かくり返します。

 ゆったりとした腹式呼吸によって横隔膜がよく動くようになると、しだいに副交感神経が優位になってきます。これを毎日続ければ、自然に深い腹式呼吸が身につき、耳鳴りの改善が期待できるでしょう。

 この腹式呼吸を身につけたうえで、私が考案した「C2呼吸法」を行うとより効果的です(詳しいやり方は、上の図解をご覧ください)。特に、冒頭で説明したような耳閉感を伴う低音性の耳鳴りに対しては、大変有効といえます。

 C2とは、第二頸髄神経のことで、後頭部と首の際から、首のつけ根や耳の後ろにかけて走行している重要な神経です。
 耳閉感を伴う耳鳴り患者の場合、首がひどくこっていることが多く、それによってこのC2が圧迫されていることが少なくありません。C2は自律神経の交感神経とも接しているため、ここが圧迫されると、自律神経の乱れを引き起こします。

 C2呼吸法を行えば、首の筋肉の緊張がほぐれていくので、自律神経のバランスもしだいに整います。耳のつまりや耳鳴りも改善していくでしょう。

 以前、耳鳴りと耳閉感に悩む30代の患者さんに、C2呼吸法を毎日続けてもらったことがあります。このかたは、ひどい首のコリにも以前から悩まされていました。3ヵ月ほど続けたところ、みごとに首のコリが解消し、耳鳴りと耳閉感も消失したと喜んでいました。
 皆さんも、これらの呼吸法を習慣化して、健やかで若々しい耳を手に入れてください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連するキーワード


自律神経 耳鳴り 耳閉感

関連する投稿


リンパを流す「手のひら押し」とは? 症状別の押し方&血液型別ドリンクを紹介!

リンパを流す「手のひら押し」とは? 症状別の押し方&血液型別ドリンクを紹介!

手のひら押しのよいところは、いつでもどこでも自分でできて、効果がその場でわかることです。悪いところは手のひらに表れており、そこを押せば、その刺激が手から末梢神経を通り、脊椎を介して、対応する器官や臓器に届きます。それが、全身の回復につながります。【解説】足利仁(手のひらデトックス協会代表理事)


金属音のような耳鳴りが「酢タマネギ」で大改善した!納豆を入れるのがお勧め

金属音のような耳鳴りが「酢タマネギ」で大改善した!納豆を入れるのがお勧め

作った酢タマネギを、毎朝食べている納豆に混ぜて食べています。酢タマネギを混ぜる量は、私はカレースプーンに2杯、妻は1杯です。こうして毎日の朝食で酢タマネギを食べ続けていたら、耳鳴りの音が徐々に小さくなってきたのです。3ヵ月後には、日中はほとんど気にならなくなりました。【体験談】鈴木興起(無職・80歳)


自律神経が整うと睡眠の質がよくなった!頭皮セラピーのリラックス効果

自律神経が整うと睡眠の質がよくなった!頭皮セラピーのリラックス効果

私の場合、いろいろなプログラムを受けた後、交感神経の数値は下がっても、副交感神経にはほとんど変化がありません。施術直後でこの状態なのですから、普段はもっと緊張しているのだと思います。施術を受けた後、あくびが何度も出たのは、交感神経の緊張が取れ、リラックスした証拠だと思います。【体験談】西野博子(仮名・主婦・53歳)


起床時の「キーン」という耳鳴りが「昆布水」で改善し、高かった血圧も落ち着いた!

起床時の「キーン」という耳鳴りが「昆布水」で改善し、高かった血圧も落ち着いた!

病院での検査の結果、メニエール病と診断され、難聴になっていることもわかりました。めまいは、処方してもらった薬を飲んだら、なんとか治まりました。耳鳴りはその後も続きました。いちばん気になるのは、朝起きたときです。いつも耳の中で、キーンという音がしていました。【体験談】岩佐優(料理店経営・66歳)


傷口は治ったのに古傷が痛む…11円スリッパで腫れが引いて楽になった!

傷口は治ったのに古傷が痛む…11円スリッパで腫れが引いて楽になった!

十数年前に登山中に木の株に足を引っかけて転び、足の腫れと痛みに悩まされていました。11円スリッパをはき始めて3~4日たったころ、「左足のくるぶしの出っ張りが見える! 」と驚きました。というのも、ケガ以来、左の足首の腫れによって、くるぶしの外側の骨が見えなくなっていたからです。【体験談】土田喜代美(仮名・主婦・74歳)


最新の投稿


立ち仕事でむくんだ足に塩カイロが効果!酷かった生理痛も軽くなった

立ち仕事でむくんだ足に塩カイロが効果!酷かった生理痛も軽くなった

2週間後には、日中に頭がスッキリするのを感じました。今思えば、以前の私は常に眠気を感じていた気がします。その後、すぐにふくらはぎが軟らかくなりました。そして3週間目には、足がむくまなくなったのです。今は靴がきつく感じることはありません。仕事中の気持ちにゆとりができました。【体験談】今村由利(仮名・会社員・28歳)


間欠跛行が改善!首・腰のこわばりをリセットする「ひざ倒し」のやり方

間欠跛行が改善!首・腰のこわばりをリセットする「ひざ倒し」のやり方

首のこわばりをほぐし、背中や腰の緊張が緩めば、間欠跛行の改善も期待できます。いったん固まってしまった首の緊張をほぐすのは、実は、簡単ではありません。この体操を行うと、首のこわばりがリセットされ、全身の筋肉の緊張を一挙にほぐすことができます。【解説】梶原千譽(カジハラ治療院院長)


【良性発作性頭位めまい症】手のひらの反射区を押す方法で症状が改善した

【良性発作性頭位めまい症】手のひらの反射区を押す方法で症状が改善した

手のひらを押し始めてすぐに腰の痛みがやわらぎ、この数年は治療を受けることもなくなりました。以前はめまいが起こる前に「めまいが来るな」という前兆があったのですが、今はそれすらなくなりました。50歳前後の頃より、58歳になった今のほうがよいくらいではありませんか。【体験談】新田博子(仮名・会社員・58歳)


腰痛のセルフケア「わきの押し回し」で20年使ったコルセットが不要に!

腰痛のセルフケア「わきの押し回し」で20年使ったコルセットが不要に!

特につらかったのが、洗い物をしたり、風呂場の掃除をしたりするなど中腰の姿勢になるときです。それに加え腕が上がらないので、洗濯物を干すのもひと苦労で、家事を満足にこなせませんでした。施術を受けながらセルフケアを続けたところ、わずか1ヵ月間で腰痛はうそのように軽くなりました。【体験談】中村芳美(仮名・無職・70歳)


脊柱管狭窄症が招くロコモティブシンドロームの進行・症状を抑える体操「ロコトレ」のやり方

脊柱管狭窄症が招くロコモティブシンドロームの進行・症状を抑える体操「ロコトレ」のやり方

「ロコモティブシンドローム」は、骨、筋肉、関節、神経などの運動器に障害が起こり、歩いたり体を動かしたりする機能が低下して、要支援・要介護になるリスクが高い状態をいいます。このロコモを引き起こす病気の一つに、腰部脊柱管狭窄症があります。【解説】重松英樹(奈良県立医科大学整形外科学内講師)