会議中に睡魔に襲われ電車では寝過ごす日々
年齢を重ねてくると、体に変化が生じ、いろいろと不調が現れるものです。私の場合、60歳ごろから更年期障害に悩まされるようになりました。その症状の一つが、不眠でした。
60代半ばを過ぎたころから、布団に入ってもなかなか寝つけない日が増えるようになったのです。寝ようとすればするほど、頭が冴えてしまいます。
夜に眠れないのは、日中の活動量が少ないとか、床に就く時間が早いせいではありません。
というのも、私は昼間は会社勤め、帰宅後も家事などをこなし、それなりに忙しくしているからです。床に就くのは、いつも0時半ごろ。仕事のストレスもありますし、心身ともに疲れて眠くなるのが自然でしょう。それなのになぜか、寝つきが悪いのです。
眠くなるよう、あえて就寝時に難しい本を読むなどしてみましたが、効果はあったりなかったりといったところでした。
会社では、デスクに向かっている間は、支障なく仕事ができます。しかし会議になると、決まって強い眠気に襲われます。
また、通勤の電車では、一度座席に座ると、必ず睡魔がやってきます。降車駅を寝過ごしてしまうこともありました。
このころ私は、更年期障害のほかの症状で病院を受診していました。そこで、担当の医師に不眠で悩んでいることを伝えました。
ただし、私は薬を飲むのが嫌いです。そのうえ、普通の睡眠薬は習慣性があって好ましくないと考えているため、そうした意向も伝えたところ、睡眠導入剤として有効な、抗不安薬を処方されました。
「副作用も習慣性もない」と説明を受けましたが、やはり抵抗感は消えません。そこで、就寝時に読書をしても寝つけないときだけ、処方された錠剤を半分に切って服用しました。
処方量のたった半分でも、薬の効果は絶大でした。服用して30分ほどで、必ず寝つくことができます。起床時の不快感や、日中の眠気もありません。薬に頼るのは極力避けたかったのですが、やむを得ず使用するようになりました。
自然と眠りに落ちて薬の量が激減!
しぶしぶ薬を用いつつ、不眠とつきあっていた、2年ほど前のことです。健康雑誌を読んでいたところ、「タマネギをみじん切りにして枕元に置くと不眠に有効」という記事を見つけました。におい成分に、眠りを誘う効果があるのだそうです。
薬嫌いの私にとって、この方法は、まるで天からの贈り物のように感じられました。そこで、直ちに実行に移すことにしました。
試したところ、始めてそう日が経たないうちに、寝つきがよくなったことに気づきました。いつの間にか、自然と眠りに落ちているのです。
就寝前につけていたラジオを消し忘れたまま眠りについてしまい、真夜中にラジオの音で目が覚めたこともあります。それほどスムーズに入眠できるようになり、効果に驚きました。
しかし、毎日タマネギをみじん切りにするのは、横着者の私にとって、かなり負担でした。
そこで、試行錯誤の末、皮つきで丸のままのタマネギ2~3個に、数ヵ所切り込みを入れた物を枕元に置くという、ズボラ流を追求した方法に至りました(やり方は下の図参照)。
なにしろズボラなので、切り込みを入れたタマネギは、何日も使い回します。床に就く前にタマネギを嗅ぎ、まだにおうようなら、枕元に置いて寝ます。起床後は、においが気にならない場所へ移しておきます。
同じタマネギを長く使うと、黒っぽい汁がにじみ出てくるなど、傷んでくるのがわかりますが、においが残っているうちは効きめがあるようです。
においが消えていたら、また新しい切り込みを入れて、枕元に戻します。もちろん、切り込みを入れたタマネギが悪くならないうちに、料理に使うこともあります。そのあたりは、臨機応変です。
今では、枕元にタマネギを欠かせません。おかげで、抗不安薬を使う回数はめっきり減り、不眠は解消しました。一晩中まんじりともできなかった日を思えば、ありがたい限りです。
医師には、タマネギのことを伝えていません。以前に比べ薬の処方量が激減しているので、不思議に思っていることでしょう。一方で身内には、枕元にタマネギを勧めていますが、どうも信じてもらえません。不眠に悩む人は、だまされたと思ってぜひお試しください。
枕元タマネギのやり方

におい成分に鎮静作用。強過ぎると逆効果(雨晴クリニック副院長坪田聡)
タマネギに含まれるにおい成分である硫化アリルには、鎮静作用があります。リラックスできて、寝つきをよくしてくれる効果があるのです。においが強過ぎると逆効果なので、みじん切りの場合は少量で十分です。丸のままなら、和田さんのように、皮つきで切り込みを入れるくらいが適しており、いい方法だと思います。