【腕のしびれ】頚椎症とは違う手根管症候群、肘部管症候群、胸郭出口症候群とは?

【腕のしびれ】頚椎症とは違う手根管症候群、肘部管症候群、胸郭出口症候群とは?

腕や手にしびれを起こして、頸椎症性神経根症と間違われやすい病気としては、以下の三つがあげられます。手根管症候群、肘部管症候群、胸郭出口症候群です。【回答】竹谷内康修(竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長)


【質問】頸椎症以外の腕にしびれを起こす病気は?

頸椎症性神経根症以外にも、腕にしびれの起こる病気はありますか。主な病気の種類と、頸椎症との見分け方などを教えてください。

【回答】間違われやすい三つの代表的な病気があります

 腕や手にしびれを起こして、頸椎症性神経根症と間違われやすい病気としては、以下の三つがあげられます。

●胸郭出口症候群
 頸椎(背骨の首の部分)から腕に伸びていく神経や、心臓から腕にいく血管が、鎖骨や第一肋骨の周辺で、筋肉や骨で圧迫されると腕に痛みやしびれ、だるさなどが生じます。これが胸郭出口症候群です。とくに姿勢や筋肉の張りと関係が深い病気です。

 この病気の特徴は、腕全体・手全体がしびれることです。頸椎症性神経根症の場合は、症状が腕に出る場合でも、小指側とか親指側というように、ラインがハッキリしています。さらに、指がしびれる場合は、「この指とこの指」というように、二〜三本の指が限定的にしびれるので、その点が胸郭出口症候群と大きく違うところです。

 なお、頸椎症性神経根症は、両腕に起こることもありますが、多くは一方の腕に見られます。胸郭出口症候群は、一方の腕に出ることもありますが、両腕に出ることが比較的多くあります。また、頸椎症性神経根症は四十代以降の中高年に多く、胸郭出口症候群は若い女性に多く発症します。これらの点も見分けるヒントになります。

 頸椎症性神経根症と胸郭出口症候群を間違えて診断されていることも多いので、患者さんも見分ける知識を持っておくとよいでしょう。

●手根管症候群
 手首の手のひら側には、骨と靱帯でできたトンネル状の部分があり、中に腱と正中神経が通っています。この部分を「手根管」といい、手根管を通る正中神経がなんらかの原因で圧迫されて、親指、人さし指、中指の三本の指と、薬指の一部にしびれが起こるのが手根管症候群です。
 手根管症候群の特徴は、しびれるのが指だけで、腕や手のひらには症状が出ないことです。また、寝ているときに無意識に手首が曲がったままになって、指がしびれて目が覚めるというのも特徴です。ちなみに、手首が曲がらないようなサポーターをして寝ると、この夜間のしびれを防ぐのに役立ちます。
 手根管症候群も頸椎症性神経根症と間違えて診断されやすい病気です。

●肘部管症候群
 ひじの少し内側を不意にぶつけて手がしびれた経験を持つ人は多いでしょう。ひじのこのあたりが肘部管と呼ばれ、そこを尺骨神経が皮膚の真下に走っています。肘部管のあたりで、尺骨神経が圧迫されたり引っぱられたりすると、指や腕にしびれが起こるのが肘部管症候群です。

 この病気の特徴は、手と腕の小指側がしびれることです。症状が出るのは、小指と薬指、およびひじから先の腕の小指側と決まっています。

 頸椎症性神経根症でも、圧迫される神経によっては、同じように小指側がしびれるので、その場合は区別がむずかしくなります。
 しかし、肘部管症候群には、ひじを長い間曲げていると手のしびれが増すという特徴もあります。やはり、寝ているときに無意識にひじが曲がったままになり、小指や腕がしびれて目が覚めることがあります。そのようなときは、ひじを伸ばせば、しびれがらくになります。また、小指と薬指のマヒを伴う場合もあるので、こうした点が見分けるポイントになります。

 いずれにしても、腕や手のしびれが起こったら、早めに整形外科で受診し、原因を確かめましょう。

竹谷内康修
 竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長。整形外科医・カイロプラクター。東京都生まれ。東京慈恵会医科大学卒業後、福島県立医科大学整形外科へ入局。3年間整形外科診療を行う。その後、米国ナショナル健康科学大学へ留学し、カイロプラクティックを学ぶ。同大学を首席で卒業後、都内にカイロプラクティックを主体とした手技療法専門のクリニックを開設。腰痛、腰部脊柱管狭窄症、肩こり、頭痛、首の痛み、関節痛などの治療に取り組む。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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