「酢玉ねぎ」5つの効果を医師が解説 新玉ねぎより通常のものがお勧め!

「酢玉ねぎ」5つの効果を医師が解説 新玉ねぎより通常のものがお勧め!

酢タマネギは、タマネギの食べ方としてはとてもお勧めの組み合わせです。なぜなら、酢とタマネギには共通する作用が多く、二つを組み合わせることで、脂質改善・降圧・血糖改善・血流改善・抗炎症、殺菌などの相乗効果が期待できるからです。【解説】齋藤嘉美(元東京大学医学部講師・介護老人保健施設むくげのいえ施設長)


切ったらその後30分放置するとよい

 私は長年、タマネギの成分や効能について調べてきました。数ある食品の中で、タマネギほど健康効果の高い野菜は、そう多くはありません。

 その健康効果をもたらす成分は、大きく二つに分かれます。
 一つは、有機硫黄化合物です。これは、同じネギ属のニンニクにも含まれている成分ですが、ニンニクよりもタマネギのほうが、種類も量もはるかに多いのです。
 もう一つは、フラボノイドの一種であるケルセチンです。

 ケルセチンの種類は180種以上ありますが、タマネギのケルセチンは、量が多いだけでなく、質的にも優れています。吸収がきわめて速く、血液に入ると血中濃度が高くなり、半減期(血中濃度が半分に減るまでの時間)が長いのです。
 したがって、血中に長くとどまって、効果を長時間発揮します。
 では、それぞれがどのような成分で、どんな作用を持つのか、お話ししましょう。

有機硫黄化合物

 有機硫黄化合物には、次の三つの種類の成分があります。
①タマネギにもともと存在する成分
②タマネギを切ったときに、新しくできる成分
③油に含まれる香り成分

 ①で最も多いのはイソアリインで、細胞の中の原形質に存在します。
 ②の代表的なものは、チオスルフィネートです。
 タマネギを切ると、タマネギの細胞が破壊されて、アリナーゼという酵素が放出されます。この酵素とイソアリインが反応すると、チオスルフィネートができます。
 チオスルフィネートには、がんやぜんそくの抑制作用、血糖低下作用、血小板の凝集を抑制する作用などがあります。
 チオスルフィネートは、タマネギを切って20~30分たつと生成されます。アリナーゼは、加熱すると活性を失うので、タマネギを炒めたり煮たりするときは、切って20~30分ほど置き、アリナーゼを働かせてから加熱調理すると、チオスルフィネートの効能を生かすことができます。

 ③は、タマネギを切ったときに生じる香り成分です。量的に多いのは、サイクロアリインという物質で、これにもがん抑制、血糖低下、脂質低下、血流改善などの作用があります。
 そのほか、有機硫黄化合物には、グルタチオン、プロピルアリルジサルファイド、SMCSなどがあります。
 これらの有機硫黄化合物は、加熱によって損なわれることはありません。
 ただし、水に溶けやすいので、調理のさいに、水に長時間さらすと、失われてしまいます。

ケルセチン

 ケルセチンは、害虫や紫外線などから自分の身を守るために植物が備えている成分「フラボノイド」の一つです。タマネギの可食部や外皮に含まれ、強い抗酸化作用があります。

 抗酸化作用とは、活性酸素を除去する作用のことです。
 活性酸素は、酸化力が非常に強い酸素で、これが過剰になると、老化やがん、動脈硬化など、さまざまな病気を引き起こします。
 ケルセチンには、活性酸素の害を防いで、動脈硬化やがん、老化を防ぐ作用があります。さらに、女性ホルモン(エストロゲン)様の作用もあり、骨粗鬆症(カルシウムの不足によって骨がもろくなる病気)の予防に有効です。

 また、最近では、ケルセチンが認知症の予防・改善に役立つ、との研究もあります。
 このようにタマネギには、いろいろな有効成分が豊富に含まれています。
 それを存分に活用するためには、調理のさいに、以下の2点を守りましょう。
・タマネギを切ったら、そのまま20~30分放置する
・水にはなるべくさらさない
 この2点を守れば、後はどう調理しても大丈夫です。

 普段、タマネギを使った料理をするときに、これを実践すると、より体にいい料理になりますから、ぜひ覚えておいてください。

共通する作用が多く相乗効果が期待できる

 さて、タマネギはこれまでにいろいろな食べ方が考案されてきましたが、なんといってもいちばん有名なのが、今回ご紹介している「酢タマネギ」でしょう。

 では、酢タマネギでどのような健康効果が得られるか、見てみましょう。
 酢タマネギは、スライスしたタマネギを酢に漬けたものです。タマネギをスライスしたら、20~30分置いてから酢に漬けると、チオスルフィネートが作られて、効果が高くなります。
 酢タマネギは、タマネギの食べ方としてはとてもお勧めの組み合わせです。
 なぜなら、酢とタマネギには共通する作用が多く、二つを組み合わせることで、次のような相乗効果が期待できるからです。

脂質改善効果

 酢にもタマネギにも、LDLコレステロールや中性脂肪を減らす作用があります。

降圧効果

 血圧を上げる物質に、アンジオテンシン変換酵素(ACE)があります。
 酢タマネギは、降圧剤のACE阻害薬と同じように、この酵素の働きを阻害して、血圧を下げる作用があります。また、調味料として使うと、減塩できて血圧降下に役立ちます。

血糖改善効果

 糖の燃焼を助けたり、インスリンの感受性を高めたりして、血糖値の上昇を防ぎます。

血流改善効果

 酢には、赤血球変形能(赤血球を柔らかくして変形しやすくする能力)があり、毛細血管の血流をよくして、全身に酸素を届けます。
 また、タマネギにも、血液が固まりやすくなるのを防いで、血栓(血液のかたまり)を予防したり、血流を改善したりする作用があります。

抗炎症、殺菌効果

 細菌による感染症、熱や腫れなどの炎症症状を抑えます。
 こうした作用のほか、酢には、タマネギにないストレス緩和効果、疲労回復効果などもあります。

酢タマネギにすると効果がよりアップする

1日の摂取量は50gで十分

 今まで述べてきたタマネギの健康効果を得るには、新タマネギではなく、辛味の強い通常のタマネギがお勧めです。市販されているタマネギの大部分は、このタイプです。
 私自身も、毎日のようにタマネギを食べています。
 私が好きなのは、スライスしたタマネギと、缶詰のサーモンを和えたものです。栄養的にも、タマネギの有機硫黄化合物やケルセチンに、サーモンのアスタキサンチン(カロテノイドの一種)、魚油(EPA、DHA)などが加わって、抗がん作用や血液サラサラ作用がパワーアップします。

 一日に食べる量としては、200gくらいの大きさのタマネギを、4分の1個程度でいいでしょう。
 左に、症状別の一日のタマネギ必要摂取量の目安の表を載せますので、そちらもあわせて参考にしてください。

 フラボノイドの一日の摂取量は25mgとされていますが、200gのタマネギなら、2分の1~4分の1個で、必要なケルセチンがとれます。

 がんについては、欧米人で半分とされているので、体の小さな日本人は、5分の2個くらいでいいでしょう。
 ただ、タマネギは安全な食品ですが、注意したほうがいい人もいます。
 それは、血小板凝集を抑える抗血小板薬や、血栓を抑える抗凝固薬を服用している人です。
 タマネギには血液をサラサラにする作用があるので、薬と併用すると、人によっては、出血傾向が強くなる恐れがあります。心配な場合は、医師に相談したうえで食べるようにしましょう。

 また、タマネギを生で食べると、特に胃の弱い人は、胸やけや胃もたれなどの症状を起こすことがあります。
 この場合は、食べる量を少なめにするか、あるいは加熱したものを食べるようにするといいでしょう。
 その点にだけ気をつけて、酢タマネギをはじめ、毎日の生活の中でタマネギをおいしく食べて、健康づくりに役立てていただきたいと思います。

齋藤嘉美
1932年東京都生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部講師を退官後、西新井病院病院内科医師などを経て、現職。タマネギの健康効果研究の第一人者。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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