
食事に気をつけてもなかなか下がらない
私は、10年ほど前からヘモグロビンA1c(過去1~2ヵ月の血糖値がわかる数値)と血糖値がずっと高めで、医師に「糖尿病予備軍」と言われていました。
身長は160cmで、体重は59kgなので、太っているわけではありません。年を取るまでは、健康診断の結果に関して関心が薄かったので、若いときの不摂生のツケが回ってきたのでしょうか。
食事や運動に気をつけてコントロールしようと思っても、なかなかうまくいかず、ずっと、ヘモグロビンA1cは6.8%(正常値は6.5%未満※)、血糖値は107~117mg/dL(正常値は110mg/dL未満)でした。
ところが平成28年の春、どちらの値も上がってしまい、ついに「糖尿病」と診断されてしまったのです。
その年の年間の平均値は、ヘモグロビンA1cは7.0%、血糖値は120mg/dL。かかりつけの医師から、血糖値を下げる薬を処方され、1日1錠服用するようになりました。
「薬のほかに、何かいい方法はないものか」と思っていたところ、同じ年の秋に『食べて血糖値、ヘモグロビンA1cを下げる本』(マキノ出版)という本に出合いました。その中で紹介されていたのが、「酢タマネギ」です。
酢タマネギを食べて、血糖値が下がった人の体験談も紹介されていたので、物は試しと、実行してみることにしました。これが、平成28年11月13日の、81歳の誕生日のことです。
やり方は実に簡単で、1日3回、食事の前に80~100gの酢タマネギを食べるだけです。これなら、誰でもすぐに始められます。
また、私は、同じ本で紹介されていた「サキベジ」も一緒に試すことにしました。サキベジとは、主食や主菜を食べるより先に、野菜をゆっくり食べることで食べすぎを防ぎ、糖分や脂肪分の吸収を遅らせるというものです。
3ヵ月で徐々に効果が出始めた
酢タマネギとサキベジを始めて3ヵ月ほどたった頃、徐々にヘモグロビンA1cと血糖値が下がり始めました。とはいえ、同時期に、血糖値を下げる薬が1日2錠に増えていたので、どちらの効果かは、はっきりしないのですが……。
しかし、おかげで平成29年の春には、薬の量を1日1錠に戻すことができました。そして、この年の年間の平均値は、ヘモグロビンA1cが6.2%、血糖値が105mg/dLと、正常値まで下がったのです。
自分では、酢タマネギやサキベジの効果があったのだと信じています。
私はいつも、こぶしより少し大きいサイズのタマネギ6個を使って、自分で酢タマネギを作っています。
タマネギを縦に5mm幅に刻み、生のままだと私には硬いので、2~3個分ずつ耐熱容器に入れて、5~6分ほど電子レンジにかけます。軟らかくなったら瓶に移し、タマネギがかぶるくらいの黒酢を注ぎます。
初めに、タマネギと黒酢だけで作ってみたら酸っぱかったので、2回目以降は、糖質ゼロの人工甘味料を少し入れるようにしています。これなら、タマネギを漬けた酢ごといただけます。
酢タマネギは、冷蔵庫で保存して7~10日で食べきり、なくなりかけたら、また6個分作って補充します。家内は、うらやましいことに健康そのものなので、手をわずらわせないよう、自分で作って、一人で食べています。

酢タマネギのいいところは、自分で食べやすいように、工夫して食べられる点です。ときどき、卵と一緒に炒ってスクランブルエッグ風にして食べることもあります。
現在は、血糖値を下げる薬を1日1錠飲んでいますが、これをなくせたら、「本当に効果があった」と言えると思います。それを期待して、これからも酢タマネギを食べ続けていきたいと思っています。

「今後も続けたい」と森脇さん
インスリンの効きをよくする作用がある(介護老人保健施設むくげのいえ施設長・齋藤嘉美)
タマネギの硫黄成分には、インスリンの効きをよくする作用があります。また、酢にも血糖値を下げる作用があります。
こうした酢タマネギの効果に加え、森脇さんは、食事の前に野菜を食べる「サキベジ」も実践されています。これも糖尿病には有効で、食べすぎを防止できるだけでなく、野菜の食物繊維の効果で、糖の体内への吸収がゆるやかになり、血糖値の急激な上昇が抑えられます。
これらの相乗効果で、ヘモグロビンA1cや血糖値が改善してきたのでしょう。
森脇さんは、タマネギを電子レンジにかけて酢タマネギを作っていますが、切ってから20~30分放置した後であれば、生のものと薬効は変わりません。