医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営

【精神科医解説】スマホ依存症の症状とは 子どもに教えたい「スマホ」の怖さ

【精神科医解説】スマホ依存症の症状とは 子どもに教えたい「スマホ」の怖さ

子どもを納得させるためには、ただの受け売りではなく、親自身がスマホの弊害をしっかり理解していないといけません。そしてそうすることが、ご自身をスマホ依存症から守ることにもつながるのです。【解説】和田秀樹(和田秀樹こころと体のクリニック院長・精神科医)


子どもにはスマホはまったく必要ない

「スマホは百害あって一利なし」私は精神科医として、そう警鐘を鳴らしています。
特に子どもには、スマートフォンを持たせる必要はまったくないと思います。

「スマホを持っていないとなんだか不安になる」
「『LINE』や『face book』などのSNSがいつも気になる」
皆さん、この状態を「これだけ便利な世の中だからあたりまえ」と思っていませんか。

とんでもないことです。
これはりっぱな「スマホ依存症」だと、私は思っています。

依存症と言うと、薬物やアルコール、タバコ、ギャンブルなどを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
依存症とは、あることにのめり込み、生活や体調に支障を来しているにもかかわらず、それをやめられない状態を指す心の病気です。
つまり、スマホ依存症も病気なのです。

病気は治療をしないと治りません。
それどころか、スマホ依存症はアルコールやタバコなどよりもはるかに危険な側面があります。
薬物やアルコール、タバコなど、依存性が高いものには、昔から国が規制や禁止の対象とすることで、一定のバリアがかけられていました。

ところが、スマホは今のところ、何の規制もありません。
とても手に入れやすいうえに、四六時中手元にあります。
常に依存症のリスクと背中合わせにありながら、スマホをそれほど危険なものと認識している親もあまりいません。

したがって、精神的に未熟な子どもたちにとっては非常に危機的な状態なのです。

2013年に厚生労働省が行った調査では、「インターネット依存症」になっている中高生は、推定52万人に上るという衝撃的な報告がありました。
スマホが普及し、LINEのユーザーが急増した現在、この数字はもっと増えていると思われます。

スマホ依存症はこんな症状を引き起こす

スマホをやめても困ることはない

スマホは大人にとっても危険です。
「自分はだいじょうぶ」と思っているとしたら、大間違い。

子どもよりは自律能力があるとはいえ、もともと人間の脳というのは何かに依存しやすいようにできているのです。
依存症は、依存しているものから少しでも遠ざかると不安やイライラが募り、いてもたってもいられなくなります。
その結果、集中力が落ちたり、人に当たったりして、生活や人間関係に支障を来します。

子どもの場合、勉強やスポーツ、友人とのつきあいが減り、結果として知力や体力、コミュニケーション能力の低下、社会性の欠如などを招いてしまいます。
そんな子どもたちの未来は、想像するだけでもつらくなります。

スマホ依存から身を守る方法は、1つしかありません。
それはスマホを使わないこと、手放すことです。

薬物依存を断つためには、薬物を完全にやめるしかありません。

アルコール依存症もお酒と適度につきあいながら、というのでは治療できません。
完全に断つしかないのです。

スマホ依存症もしかりです。

禁止薬物を使用し逮捕される人のニュースを見て、「意志が弱いからやめられないのだ」と言う人がいます。
しかし、そうではありません。
何かに依存することで、脳のプログラムが書き換えられるため、自分の意志ではどうしようもなくなるのです。

これが依存症の怖さなのです。
ですから、依存症になる前にスマホを断つことです。

スマホに触らないようにすると、数時間から1日めくらいは落ち着かないかもしれません。
しかし、4、5日、1週間とたつうちに意外と困らない、それどころか「こんなに時間があったんだ」と余裕を感じたり、ストレスや不安感がいつの間にか消えていたりします。
そのままスマホをやめられる人も多いと思います。

子どもに関してはスマホはまったく必要ありませんので、家庭内でスマホを使わないルールづくりすることが大事です。
すでにスマホを持っていたり、スマホを欲しがったりする子どもには、スマホに対する誤った考えやイメージ、恐さ、無意味さを根気よく説いて、理解させていくようにしましょう。

子どもを納得させるためには、ただの受け売りではなく、親自身がスマホの弊害をしっかり理解していないといけません。
そしてそうすることが、ご自身をスマホ依存症から守ることにもつながるのです。

子どもに教えておきたい「スマホ」の怖さ

解説者のプロフィール

和田秀樹
東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科、国立水戸病院神経内科などを経て、現職。国際医療福祉大学大学院教授、一橋大学経済学部非常勤講師。『スマホで馬鹿になる』(時事通信社)、『焦らなくなる本』(新講社)など著書多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【カチカチの頭皮をほぐす効果】眼精疲労と溜まっていたストレスから解放

【カチカチの頭皮をほぐす効果】眼精疲労と溜まっていたストレスから解放

実は定年で退職してから、家の中で我慢することが多くなっていたのです。夫が自宅で仕事をしているのですが、納期が近づくと空気が張りつめてきます。1日じゅう一緒にいる私もその空気に巻き込まれて、いつも緊張していました。それをずっと我慢していたのです。【体験談】白石友子(仮名・主婦・66歳)


【脳疲労の取り方】イライラ解消や性格改善「目の後ろ」を押す効果を医師が解説

【脳疲労の取り方】イライラ解消や性格改善「目の後ろ」を押す効果を医師が解説

人間は社会を生き抜くため、生きがいを得るために痛みや不調など、体が発する少々のサインなら無視して、我慢して生きようとします。こうして体と脳との間にズレが生じていきます。自分の脳の疲労を「疲労感」として受け取れていないかたがとても多いです。【解説】長田夏哉(田園調布長田整形外科院長)


辛い、悲しい時に。自律神経を整えてストレスを解消する「手振り瞑想」のやり方

辛い、悲しい時に。自律神経を整えてストレスを解消する「手振り瞑想」のやり方

念仏の念の字は「今の心」と書きますが、過ぎ去った過去を悔やんだり、まだ来ない未来を心配したりしないで、今の心を感じて生きるのは、まさに心の安定を得る秘訣です。手振り瞑想は、そのためにもピッタリで、「動く念仏」とも言えます。【解説】樋田和彦(ヒダ耳鼻咽喉科・心療内科院長)


ストレスは寝る前に解消! リラックスして眠りにつくための「呼吸」をマスター

ストレスは寝る前に解消! リラックスして眠りにつくための「呼吸」をマスター

不眠の原因はさまざまですが、最近多いのは「昼間のストレスを解消しきれず、なかなか寝つけない」というタイプです。そんなとき、脳の興奮を鎮め、心身をリラックスさせるのが、4・7・8呼吸です。入浴中や寝室に入る前、布団に入ってから行ってもけっこうです。【解説】本田宏(外科医・前栗橋病院院長補佐)


「脳マッサージ」で顔はここまで変わる!  雑念が消えてスッキリ前向きに

「脳マッサージ」で顔はここまで変わる! 雑念が消えてスッキリ前向きに

上司のイライラした様子や、昔、よく目にした母のつらそうな表情などの断片が浮かんでは消え、頭の中は常にザワザワしていた状態でした。そのため頭が休まるときがなかったのです。脳マッサージを受けた瞬間、頭の中を騒がせていた雑念がすっかり消え、無になりました。【体験談】森若奈(会社員・45歳)


最新の投稿


立ち仕事でむくんだ足に塩カイロが効果!酷かった生理痛も軽くなった

立ち仕事でむくんだ足に塩カイロが効果!酷かった生理痛も軽くなった

2週間後には、日中に頭がスッキリするのを感じました。今思えば、以前の私は常に眠気を感じていた気がします。その後、すぐにふくらはぎが軟らかくなりました。そして3週間目には、足がむくまなくなったのです。今は靴がきつく感じることはありません。仕事中の気持ちにゆとりができました。【体験談】今村由利(仮名・会社員・28歳)


間欠跛行が改善!首・腰のこわばりをリセットする「ひざ倒し」のやり方

間欠跛行が改善!首・腰のこわばりをリセットする「ひざ倒し」のやり方

首のこわばりをほぐし、背中や腰の緊張が緩めば、間欠跛行の改善も期待できます。いったん固まってしまった首の緊張をほぐすのは、実は、簡単ではありません。この体操を行うと、首のこわばりがリセットされ、全身の筋肉の緊張を一挙にほぐすことができます。【解説】梶原千譽(カジハラ治療院院長)


【良性発作性頭位めまい症】手のひらの反射区を押す方法で症状が改善した

【良性発作性頭位めまい症】手のひらの反射区を押す方法で症状が改善した

手のひらを押し始めてすぐに腰の痛みがやわらぎ、この数年は治療を受けることもなくなりました。以前はめまいが起こる前に「めまいが来るな」という前兆があったのですが、今はそれすらなくなりました。50歳前後の頃より、58歳になった今のほうがよいくらいではありませんか。【体験談】新田博子(仮名・会社員・58歳)


腰痛のセルフケア「わきの押し回し」で20年使ったコルセットが不要に!

腰痛のセルフケア「わきの押し回し」で20年使ったコルセットが不要に!

特につらかったのが、洗い物をしたり、風呂場の掃除をしたりするなど中腰の姿勢になるときです。それに加え腕が上がらないので、洗濯物を干すのもひと苦労で、家事を満足にこなせませんでした。施術を受けながらセルフケアを続けたところ、わずか1ヵ月間で腰痛はうそのように軽くなりました。【体験談】中村芳美(仮名・無職・70歳)


脊柱管狭窄症が招くロコモティブシンドロームの進行・症状を抑える体操「ロコトレ」のやり方

脊柱管狭窄症が招くロコモティブシンドロームの進行・症状を抑える体操「ロコトレ」のやり方

「ロコモティブシンドローム」は、骨、筋肉、関節、神経などの運動器に障害が起こり、歩いたり体を動かしたりする機能が低下して、要支援・要介護になるリスクが高い状態をいいます。このロコモを引き起こす病気の一つに、腰部脊柱管狭窄症があります。【解説】重松英樹(奈良県立医科大学整形外科学内講師)