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【耳鳴り・耳閉感が改善】5分で効果が出た「ハチの羽音呼吸法」とは 

【耳鳴り・耳閉感が改善】5分で効果が出た「ハチの羽音呼吸法」とは 

私は、患者さんが耳鳴りを訴えて来院した初診時には、お話をうかがいながら、姿勢や表情、呼吸などをじっと観察するようにしています。このような観察をくり返すうち、ある共通する現象に気付きました。それは呼吸です。【解説】石井正則(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長)

解説者のプロフィール

石井正則
1980年、東京慈恵会医科大学卒業。84年、同大学院卒業とともに、米国ヒューストン・ベイラー医科大学・耳鼻咽喉科へ留学。87年に帰国後、東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科医長に就任。2000年より、同大学准教授。現在、JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。日本耳鼻咽喉科学会評議員。著書に『耳鳴りがスッキリする呼吸がわかった』、監修書に『耳鳴り・難聴を治す本』(ともにマキノ出版)などがある。

耳鳴りの患者さんの呼吸は浅い

私は、患者さんが耳鳴りを訴えて来院した初診時には、お話をうかがいながら、姿勢や表情、呼吸などをじっと観察するようにしています。

このような観察をくり返すうち、ある共通する現象に気付きました。
それは呼吸です。
ほぼ例外なく、肩と胸を上下させる浅い胸式呼吸をしていたのです。

人は、幼いころは無意識に腹式呼吸をしています。
赤ちゃんを見ればわかりますが、おなかを上下させて、すやすやと寝ます。
それが年齢を重ねるにつれ、気付かないうちに息の浅い胸式呼吸になっているのです。

簡単にいえば、腹式呼吸はストレスや緊張を和らげます。
耳鳴りが悪化するのはストレスや緊張が大きく関わっており、ゆったり腹式呼吸をするだけで改善する人がいるのです。

実は私自身も、「シー」という高音性の耳鳴りや「ボー」という低音性の耳鳴り、圧迫感のある耳閉感をときに感じることがありました。
その耳鳴りが、学会発表の最中、急激に悪化して困ったことがあります。

しかし、ここでご紹介する「ハチの羽音呼吸法」を行い、よく睡眠を取り、ストレスを緩和させた結果、耳鳴りや耳閉感は消えたのです。

低い音の耳鳴りと耳閉感に即効性がある

ハチの羽音呼吸法は、特に低音性の耳鳴りと耳閉感には即効性があります。

古代インドの呼吸法「ブラーマリー呼吸法」をアレンジしたもので、ブラーマリーはサンスクリット語で、「ハチの羽音」という意味です。
この呼吸法では、「ウーン」と小さな声を出し続けながら呼吸を行いますが、それがハチの羽音に似ているため、この名が付けられました。

やり方は、下の図です。

耳鳴りの悪化には、自律神経の働きが深く関わっています。
自律神経とは、私たちの意志とは無関係に、内臓や血管などを調整している神経です。

自律神経には、緊張の神経である交感神経と、リラックスの神経である副交感神経の二つがあります。
多くの場合、この両者は拮抗するように働いています。
ストレスや働き過ぎなどで交感神経優位の状態が過剰に長く続くと、交感神経が元の状態へ戻れなくなります。

それが、耳鳴りや耳閉感の悪化という現象を呼ぶのです。

ここで重要なのが、交感神経が過剰な状態を解き、副交感神経を安定させることです。

実際にハチの羽音呼吸法をやってみるとわかりますが、自分の声の振動が頭蓋骨に伝わり、その振動が脳全体に伝わることで心地よさを体感できます。
同時に、それによってリラックス効果も得られます。

ハチの羽音呼吸法

たった5分で21人中16人の耳閉感が改善

耳鳴りと耳閉感のある患者さん21人のご協力で、ハチの羽音呼吸法の効果を実験しました。
実験の結果、この呼吸法を実践している間中ずっと、全員の脳でリラックス時に出るα波が増加することがわかりました。

また、ハチの羽音呼吸法を終えた5分後に、通常の腹式呼吸に戻して聞き取り調査をしました。
その結果、21人中16人が耳閉感の改善を実感しました。

さらに、12週間ハチの羽音呼吸法を継続してもらったのちに、再度測定すると、α波が一定して高く現れ、脳が落ち着いていることがわかりました。
交感神経が抑制され、副交感神経が適度に活性化していることも判明しました。

耳鳴りに悩まされるようになったら、まずはハチの羽音呼吸法を試してください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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