現代人の抱える不快感をたちどころに解消する呼吸法
ヨーガの起源は四~五千年前のインダス文明にまで遡ることができます。
ヨーガは悟りへの道であり、生命科学でもあります。
まだ西洋医学がなかった時代、医師の役割をも果たしていたのがヨーガ行者でした。
また、古代中国の文献には、ヨーガの呼吸法が古代中国医術に影響を与えていると思われる記述が多数あります。
ストレス社会といわれる現代でも、心身のバランスが乱れがちな現代人がヨーガの呼吸法で正しい呼吸法を身につけると、心と体のバランスが整い、快適な毎日を送れるようになっていきます。
ヨーガの呼吸法の基本は鼻呼吸です。
そして原則は「呼吸に意識を向ける」ことと、「ゆっくり息を吐く」ことの2つです。
私たちは生まれて以来、休むことなく呼吸をしているので、ふだんは呼吸を意識していない人がほとんどです。
しかし、生きていくうえで最も重要なのが呼吸です。
1日ぐらい眠らなくても食べなくても死にませんが、呼吸を数十分止めたら死んでしまいます。
呼吸に意識を向けた瞬間から、呼吸はゆっくりになります。
1日のうち、呼吸に意識を向けることが多くなるほど、ゆっくりした呼吸をしている時間が多くなります。
そして、第2の原則の「ゆっくりと吐く」ということを心がければ、呼吸は深くなります。
鼻で呼吸することも意識して行っていれば、だんだんと鼻呼吸になってくるものです。
私たちの肺の中には、汚れた空気がたまっています。
その汚れた空気を、ゆっくりと吐くことで出し切ることが重要です。
ゆっくりと深く鼻で呼吸するようになると、自ずと健康で長生きできるようになります。
ヨーガ呼吸法にはさまざまな種類がありますが、その中には、現代人の抱える不快感をたちどころに解消するものもあります。
頭がよくなり身体能力も向上!
「気道浄化呼吸法」と呼ばれる呼吸法(やり方は下記参照)は、アレルギー性鼻炎やカゼによる鼻づまりを解消します。
この呼吸法はもともと、体内のエネルギーの通路の浄化法で、食べたものをエネルギーとして全身に行きわたらせる能力を高めます。
全身に活力をみなぎらせ、脳も活性化させます。
さらに鼻をスッキリさせたいかたは、「安楽呼吸法」と呼ばれる呼吸法(やり方は下記参照)を行ってみるのもよいでしょう。
どちらの呼吸法も、1日に何度行ってもかまいません。
その結果、仕事や勉強、スポーツにおける能力も高まっていきます。
片鼻ずつの呼吸で、左右どちらの鼻の通りがよいか、吸ったり吐いたりする息にムラがあることなどに気づくでしょう。
その結果、ふだんの呼吸が、ゆっくり深くなります。
「気道浄化呼吸法」「安楽呼吸法」のやり方

解説者のプロフィール

成瀬雅春(なるせ・まさはる)
1946年生まれ。
ハタ・ヨーガを中心に独自の修行を続けている。
2001年、全インド密教協会からヨーギーラージ(ヨーガ行者の王)の称号を授与される。
現在、日本とインドを中心にヨーガ指導、講演等の活動を行っている。
近著は『体が硬くても簡単にできる! 究極のシンプル・ヨーガ』(マキノ出版)。
●成瀬ヨーガグループ
https://www.naruse-yoga.com/