便秘になるのが怖く、薬(下剤)に頼っていた
若いころから便秘で悩んだことがほとんどなかった私が、便秘に苦しむようになったのは、ここ2~3年のことです。きっかけは、5年前から始めたダイエットでした。
私が行ったのは、「糖質制限ダイエット」です。炭水化物に含まれる糖質の摂取を少なくするため、白米を玄米に切り替え、炭水化物や揚げ物、炒め物などを控えるようにしました。
すると、体重がスムーズに減っていくので、すっかりおもしろくなってしまったのです。ダイエットを始めてからの4年間で体重が12kgくらい落ち、55kgほどになりました(身長168cm)。一時は53kg台になったこともありました。しかし、55kgを切ると便秘をするようになったのです。
といっても、1週間も出ないような極端な便秘ではありません。便秘の期間は長くて3日、多くは1日半程度のものです。
あるとき、仕事で出張中のことでした。便意が起き、トイレに駆け込んだものの、いくらいきんでも排便できません。出そうで出ないこの状態があまりにもつらかったため、病院に駆け込んで、便をかき出してもらわなければなりませんでした。
過去に痔を患ったこともあり、便秘による痔の再発を恐れ、便秘になると、ひどく悪化する前に下剤に頼ることもたびたびありました。
もちろん、このままではいけないという気持ちもあったので、2014年、知人から、瓜田純久先生の便秘を治す本(『便秘を治す腸活テクニック』マキノ出版刊)を勧められたときは、すぐに興味を持って読んでみたのです。
そして早速、本に書いてあったことを実行してみることにしました。まず、1日三食のごはんを、玄米アズキがゆに変えました。それ以外の食事は普通に食べ、極端な糖質制限は少しゆるめにしました。

調子がいいと三食ごとに便が出る
今でも週に3日地方に出張するので、なかなか安定した食生活はできませんが、簡単な調理ができる設備はありますので、レトルトの玄米がゆを食べるようにしています。
また、夜、寝る前に、大さじ1杯のオリーブオイルを飲むことを心がけています。油も便通には効果があると聞きます。
こうした食生活を続けて、体重が56〜57kgに戻ると、状態はかなり改善されました。仕事が忙しかったりすると、今もときおり便秘になることがありますが、それもせいぜい月に1回程度。調子のよいときは、三食ごとに便通があるのです。
ちなみに、一緒に玄米アズキがゆを食べていた妻は、気付いたら7~8kgやせたそうです。
便秘がひどかったときは、ウサギのフンのような、黒っぽい乾いたコロコロした便が出ていましたが、現在では、水分の多い、健康的な色合いの便がスルッと出るようになりました。
痔の心配もなくなりました。第一に、便意があるのに出そうで出ない、あの苦しい思いをしなくて済むようになったことだけでも、本当にありがたいです。
消化吸収の良い炭水化物を先に食べる(東邦大学医療センター大森病院副院長・総合診療科教授・瓜田純久)
最近、ダイエットを頑張り過ぎて、便秘に陥る人が少なくありません。食事を制限すると、作られる便の量が相対的に減り、排泄しようという働きが起きにくくなってしまうのです。
長岡さんの体験談にも、ダイエットがおもしろくなって続けていたとありますが、ダイエットで食事量を減らし過ぎて便の量が減り、排泄の動きが弱くなっている面があったのでしょう。
加えて、糖質制限によって炭水化物を減らし過ぎるのもよくありません。便秘中に大切なのは、胃腸にかかる負担を軽くし、鈍っている胃や腸の働きをよくしていくことです。消化吸収のよい炭水化物を極端に制限してしまうことは決して勧められません。
しかも既に便秘で、腸内に便が滞っているところに、野菜サラダなどで消化されない食物繊維をどんどん摂取すると、ますます便が硬くなり、便秘が悪化するケースがしばしばあります。
便秘解消のためには、食事中に、消化吸収のいい炭水化物を真っ先に摂取することが大事です。かつ、水分もしっかり補給してください。便の大半は水分です。水分不足が便秘の気付かれにくい原因となっていることも多いのです。
その点、おかゆは、水分をたっぷり取ることができるため、便を軟らかくするのによい、隠れたレシピです。しかも、消化吸収がよいため、胃腸の負担を軽減してくれます。
これらの相乗効果で、長岡さんの便秘が改善されてきたのでしょう。加えて、オリーブオイルの摂取も、便のすべりをよくするのに役立っているはずです。