健康雑誌『安心』で初めて紹介された「ショウガ紅茶」
当院には、さまざまな不調を訴える人がお越しになります。生活習慣病などの病気を患っている人、リウマチなどの痛みに苦しむ人、不妊の人、ダイエットの希望者など、お困りの症状はさまざまです。
各患者さんの症状や体質、目的に応じた治療と指導をしますが、一つだけ、すべての患者さんに共通してお勧めしていることがあります。それは「ショウガ紅茶」を飲むことです。
ショウガ紅茶は、今から20年ほど前、医師である父の石原結實が考案し、健康雑誌『安心』で初めて紹介されました。
ショウガと紅茶の相乗作用で保温、免疫力増強、血行促進、健胃、鎮痛、利尿など、非常に幅広い働きを発揮します。
ですから、どんな症状を訴えていても、ショウガ紅茶だけは共通して飲んでもらい、回復の後押しとして活用してもらっています。
ショウガ紅茶をきちんと飲んでいる人は、次の診察に来たとき、すぐにわかります。いかにも血行のよい健康的な顔色に
なっているからです。同時に、目的の症状も、順調に改善されていきます。
現代人の不調や病気のほとんどは、「冷え(低体温)」による血行不良や免疫力の低下が潜んでいます。そのため、ショウガ紅茶で冷えが解消されると、劇的に症状が改善するのです。
ショウガ紅茶の症例報告
実例をあげましょう。
Yさん(82歳・女性)は、2013年4月、高血圧があり、体が重いと訴えて来院されました。初診時には、すでに降圧剤を飲んでいて、血圧は薬で基準値に抑えられていました。しかし、体調が悪いので、できれば薬をやめたいとのことでした。体温は35.3℃で、健康な体を維持するには低過ぎる数字です。
そこで、まずは降圧剤を続けながら、漢方薬とショウガ紅茶を飲んでもらいました。
すると、2ヵ月後には、非常に顔色がよくなったのです。血行と代謝が促されたせいか、63kg(身長は156cm)とやや太り気味だった体重が、2ヵ月で2.5kg減って60.5kgになりました。
8月には、体温が36.3度に上がり、体重がさらに1kg減って59.3kgになりました。
9月になると、体調がとてもよくなり、血圧も安定し、「降圧剤をやめてもいいでしょうか」という本人からの打診もあって、薬をやめました。以来、血圧は正常値の130/70mmHg台を維持しています。毎日ウオーキングもして、ますます元気になっています。
このように、ショウガ紅茶で体温が上がり、血行がよくなってやせる人はたくさんいます。体温が1ヵ月で0.5度上がる人、2〜3ヵ月で1度上がる人、3ヵ月程度で体重が3kg減る人など、枚挙にいとまがありません。また、高血圧が改善されて降圧剤が不要になる人、耳鳴りやめまいが改善される人も多数います。
もう1人、不妊に悩み、人工授精をしても妊娠できなかったSさん(40歳・女性)の例をご紹介しましょう。
2014年の11月、来院したSさんは、顔色が悪く、血行が悪いことが見て取れました。それでショウガ紅茶をお勧めしたところ、熱心に飲み始めました。すると、2015年2月14日に、めでたく妊娠反応が出たのです。
順調に妊娠期間を過ごし、2015年10月、無事に元気な赤ちゃんを出産しました。
私の便秘や肩こり、頭痛も解消した!
実は、私自身、研修医時代、猛烈な忙しさの中で月経が止まり、便秘、切れ痔、多汗症、肩こり、頭痛、巨大ニキビなどに襲われたとき、ショウガ紅茶に救われた経験を持っています。
当時は、まだショウガ紅茶を飲んでいなかったのですが、あまりの体調の悪さに飲むことにしたのです。そのときは、まだ子どもがいなかったので「月経が止まってこのまま妊娠できなかったら……」という不安もありました。
ショウガ紅茶を飲み始めたら、忙しいなかでも次第に体調がよくなり、症状が一つずつ消えていったのです。月経もくるようになり、2年後には子どもを授かりました。
以来、ショウガ紅茶は欠かさず飲んでいます。一度に、マグカップの3分の1が埋まるくらいのショウガを入れて飲み、毎日、ショウガのかたまり1個を飲み尽くすほどです。おかげで、現在の平熱は36.8℃。多忙ですが、元気いっぱいです。
ショウガ紅茶は、自分で簡単に実践できる万能薬です。1人でも多くの人に習慣的に飲んでいただき、ポカポカと温かい心と体で、病気を遠ざけていただきたいと願っています。
●ショウガ紅茶の基本的な作り方
では、ショウガ紅茶の作り方と飲み方をご紹介しましょう。
●基本的な作り方
①ショウガをすりおろす
②①を小さじ1杯分くらい紅茶に入れる
③好みで黒砂糖を入れる
ショウガをすりおろすときは、皮をむいてもけっこうですが、皮付きのままよく洗ってすりおろすと、皮の近くに栄養分が多いため、より効果的です。もし、繊維が気になるようなら、ショウガの搾り汁だけを入れてもかまいません。
ショウガをするのが面倒という人は、多少、効果は劣りますが、チューブ入りのショウガを利用してもよいでしょう。
また、ショウガを一度にすりおろして、1回分ずつを冷凍して使用するのもお勧めです。
●飲むタイミング
朝と入浴前は必ず飲みましょう。ほかはいつ、何杯飲んでも構いません。

ショウガ紅茶に黒糖を入れても良い
糖尿病の人やダイエット中の人は、黒砂糖が気になるかもしれません。その場合、入れなくてもよいでしょう。
しかし、ビタミン・ミネラルの豊富な黒砂糖は、それ自体も代謝促進効果があります。白砂糖のように害にはならず、満腹感をもたらして、むしろダイエットや体重コントロールに役立ちます。
お金も手間もかけずに、おいしく飲めて、数え切れないほどの薬効があるショウガ紅茶を、おおいにご活用ください。
解説者のプロフィール

石原新菜
帝京大学医学部卒業後、大学病院での研修を経て、現在、自然医学の泰斗で医学博士の父、石原結實氏が院長を務めるイシハラクリニックで、漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたっている。著書『病気にならない蒸しショウガ健康法』(アスコム)など好評発売中。
「毎日ショウガのかたまり1個を飲む」と石原先生