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【残便感がスッキリ】便意があるのに1週間出ない 便秘解消「呼吸法」はこれ

【残便感がスッキリ】便意があるのに1週間出ない 便秘解消「呼吸法」はこれ

私が便秘に悩むようになったのは、30代半ばからでした。いちばんひどかったのは40歳前後のころで、1週間、2週間以上、便秘のこともありました。しかし、この呼吸法をするようになり、スルリと排便できるように。ガス腹、臭過ぎるおならにも効果的です。【解説】荒木隆次(あらき心療クリニック院長)

解説者のプロフィール

荒木隆次
1950年北九州市生まれ。74年九州大学医学部卒業。同精神医学教室、産業医科大学、医療法人社団天臣会松尾病院副院長をへて現職に至る。専門は精神神経科。著書に『やせる!デルデル呼吸ダイエット』(マキノ出版)がある。

鼻をかんだら便がスポッと出た

 私が便秘に悩むようになったのは、30代半ばからでした。いちばんひどかったのは40歳前後のころで、1週間以上、排便のないこともありました。そのときは、腸がまったく動く気配がなく、悪い病気ではないかと、本気で心配しました。家族に遺書まで書いたくらいです。

 そのとき、下剤を飲めば出ていたのかもしれません。しかし、下剤は飲みたくありませんでした。以前、下剤を飲んで下痢をし、たいへん苦しい思いをしたことがあったからです。
 ですから、薬といえば整腸剤をたまに飲む程度でした。そのほかに私が便秘対策としてやったことは、おなかのマッサージや指圧、パンツをはかずに寝るという健康法などです。あとはトイレで気張って便意がくるのを待つという、きわめて消極的な対処法しかやっていませんでした。

 そんな経過で過ごしてきたある日、思いがけない排便法に気づきました。それは20年ほど前の冬の寒い日のことです。
 いつものようにトイレに座り、なかなか出てこない便と格闘していました。そのときタラリと鼻水が垂れてきたので、トイレットペーパーでフンッと鼻をかみました。その瞬間、それまでの悪戦苦闘がウソのように、スポッと便が出たのです。アレレッという不思議な感じでした。

 なぜ鼻をかんだら便が出たのか、私なりに考えてみました。おそらく、フンッと鼻をかんだときに、おなかに圧が加わって出たのだろうと思いました。しかし、排便中にいつも鼻をかむわけではなく、また、鼻をかんだから必ず排便できるとは限りません。

 そこで、鼻をかむのに代わる排便法を考えました。それは息を吐いて息み、それで出なければまた吐いて息む、という方法です。実際に、これをトイレでくり返すと排便が容易になり、ほぼ毎日出るようになったのです。これで長い間の悩みが解決したと、内心とてもうれしく思いました。

 ところが、このとき、この私の方法に同調する人はおらず、どんなに勧めてもやってみる人はいませんでした。

最も奥深くにある腹横筋がポイント

 息み方には、いろいろな方法があります。私もいろいろな息み方を試しましたが、息むときに使う筋肉はなんだろうと思って調べたのが2003年のことです。

 たまたま捨てずにとってあった解剖学の教科書を開くと、腹直筋や外腹斜筋、内腹斜筋の奥に「腹横筋」という筋肉が見つかりました。
 腹横筋は、おなかの筋肉(腹筋)のなかでも最も奥深くになる深部筋で、腹膜の外から腸などの内臓を帯のようにグルリと包んでいます。
 そして、腹横筋の役割は「腹圧を高め、腹腔や骨盤、内臓を圧迫して内容物の排出を促す一方、横隔膜を押し上げて呼息(息を吐く)を行う」とあります。

 まさに、排便と呼吸に直接かかわる筋肉で、私が息むときに使っている筋肉はこの腹横筋に違いないと思いました。
 なぜかといえば、息を吐くときにおなか全体がフーッとしぼむ感じがして、これは腹横筋が収縮しているためだと考えられたからです。


■下腹の深層にある「腹横筋」

 それからは、腹横筋を意識しながら息を吐き、息んでみました。
 最初にそれを試みたときのことは、いまでも忘れられません。尾籠な話ですが、まるで腸がそのまま出たのではないかと思うほど、ズルズルーッと大量の便が出たのです。それまで体験したことのない排便感でした。
 もう便秘は解消したと思っていましたが、本当の快便感を味わっていなかったことに、そのとき気づきました。このような快便だと、おなかだけでなく心もスカッとするものです。

 この体験から、呼吸と排便の関係を研究し、考案したのが「デルデル呼吸(深腹式呼吸)」です。

 ひとことでいうと腹横筋を使いながら行う腹式呼吸(息を吸うときにおなかをふくらませ、吐くときにしぼませる呼吸法)です。
 腹式呼吸で息を吐き、さらにもう一息深く息を吐きながら息むと、腹横筋が収縮して排便しやすくなるのです。
 平たくいうと「動物の呼吸」に近い呼吸法です。動物はフーーッと息を吐いた後に軽く息を吸い、またフーーッと息を吐いています。デルデル呼吸もこの動物の呼吸のように、息を吐くことに重きを置いた呼吸法です。

 その後も、私はこの排便法を実行し、正真正銘、毎日快便の日々を送っています。今度は自信を持って、周囲に勧められるようになりました。

息を吐くことで出口の緊張がゆるむ

その後、私は週に1度の呼吸療法外来を開設し、多くの人にデルデル呼吸を指導してきました。
 その効果は、便秘だけでなく、不眠、冷え症、腰痛、肩こり、関節痛、痔、肥満など、さまざまな症状に及んでいます。

 しかし、やはりだれでも実感できるのが、おなかへの効果でしょう。頑固な便秘、下痢、ガス腹だけでなく、過敏性腸症候群のような心因性の症状にも効果があります。便の状態もよくなり、バナナ状の長い便がスルスルッと出るので、残便感もなくなります。

 「デルデル呼吸(深腹式呼吸)」は、腹式呼吸で軽く息を吐き、息継ぎせずにもう一息深く吐くという呼吸法です。通常の腹式呼吸よりも深く、ゆっくりと長めに息を吐くことで、腹横筋を収縮させ、排便を促します。

 そのメカニズムを、もう少し詳しく説明しましょう。


■デルデル呼吸の仕組み

●ゆっくりと長めに息を吐くことで副交感神経が優位になる
 胃や腸などの消化器は、副交感神経(自律神経の一つで、体を休息状態にする神経)に支配されています。デルデル呼吸で副交感神経が優位になると、大腸の蠕動運動(内容物を先へと送り出す腸の働き)が活発になり、便の移動が促されます。

●大腸に適切な圧(刺激)がかかる
 腹横筋を弛緩させたり収縮させたりする(おなかをふくらませたり、しぼませたりする)ことで、大腸に適切な圧がかかり、大腸が動きやすくなります。つまり、便が肛門まで運ばれやすくなるのです。

 問題は、その便の排出です。それを後押しするのが、最後の「息み」です。腹横筋を使って吐きながら息むと、次のような効果が得られます。

①息を吐くことで出口(肛門)の緊張がゆるむ
②腹横筋をしぼりながら吐くことで腹圧がかかる


 つまり、肛門の緊張がゆるんだところに、上からしぼるように圧がかかるため、便が出やすくなるのです。
 私が100人の病院関係者にとったアンケートでは、8割以上の人が「息を吸ったところで止めて」息んでいました。しかし、これでは出口の緊張が強まるため、いくら息んでもスムーズな排便はできません。それどころか、過度の息みによって血圧の上昇につながるでしょう。

「デルデル呼吸」の基本的なやり方

 デルデル呼吸は、息を吐いてから、吸う呼吸法です。しかし従来の腹式呼吸のように、おなかを意識的にへこませたり、ふくらませたりする必要はありません。

 息を吐くときは、体から力を抜いて、フーーッとゆっくり息を抜くように吐きます。そして、自然に空気が入っておなかが戻るように、息を吸います。
 無理に息を吸い込む必要はありません。息を吐くのは口からでも鼻からでもかまいませんが、吸うのは鼻からです。

 その呼吸に合わせて、おなかが自然に動きます。慣れてくると、わき腹や腰の後ろのほうも、自然にふくらんだりしぼんだりするのが、わかるようになります。

 デルデル呼吸がうまくできるようになると、おなかの圧迫が取れて緩んできます。
 おなかが緩むと、腹部の血液やリンパの流れがよくなって内臓も活発に動くようになります。それが、さまざまな効果をもたらす一因だと私は考えています。

 デルデル呼吸は、1日2度、朝起きたときと寝る前に行うといいでしょう。慣れたら、ふだんの呼吸にもデルデル呼吸を取り入れてください。

 また、排便中にデルデル呼吸をすると、さらに便が出やすくなります。そのときのコツは、フーーッと息を吐き、吐き終わるころにそのまま息むことです。息は止めません。便意を感じるまで、くり返してください。


◎ポイント
力を抜いて静かに息を深く吐き、吐き終わったら自然に任せて息を吸う。息を吐くときに自然におなか(腹横筋)がしぼみ、吸うと自然におなかがふくらむ感覚を身につける。

❶あおむけになって軽くひざを立て、全身の力を抜く。両手は左右のわき腹に当てる。

❷おなかがふくらむのを感じながら、鼻で自然に息を吸う。

❸フッと軽く息を吐いて、おなかが元に戻る感覚を味わう。

❹さらに力を抜くような感じで、フーッフーッと深く息を吐く。
❺吐き終わったら、自然に息を吸い、また③〜④と同じ要領で息を吐く。これを3〜4回くり返す。

●便秘がひどいときは…
トイレのときに、わき腹や下腹部に手を当て、息を深く吐きながら息む。

デルデル呼吸の症例報告

「デルデル呼吸(深腹式呼吸)」を実践したことで、便秘やガス腹の改善、ダイエットにつながったなど、うれしい効果が出た人が続出しています。ここでは、その一部をご紹介しましょう。

●Nさん(62歳・女性)
 私の便秘は、もう40年以上の悩みでした。社会人になってからは、不規則な勤務時間のせいか、さらに症状が悪化。2週間以上、排便がないことは当たり前になり、便秘薬が手放せなくなりました。食物繊維の多いものを食べたり、水分補給を心がけたりもしましたが、ほとんど変化はありません。
 そんなとき、知人から勧められたのが、デルデル呼吸です。最初のころは、呼吸がチグハグになることもありましたが、1週間ほどで自然に実行できるようになりました。
 排便に変化が現れたのは、3ヵ月後でした。それほど息まず、便がスルスルと気持ちよく出るようになったのです。ちなみに、デルデル呼吸を始めてからは、下剤は飲んでいません。
 便秘が解消してからもデルデル呼吸を続けたところ、頻繁に襲われていた頭痛や肩こりもなくなりました。

●Iさん(36歳・男性)
 私は、便秘というほどではないものの、便の出の悪さと残便感に悩んでいました。そんなとき、荒木先生からデルデル呼吸を教わったのです。
 早速、実行してみると、驚いたことにわずか1日で効果が表れました。トイレでデルデル呼吸を数回すると、腸がグルグルと動き始め、らくに排便できました。まさに快便そのもので、残便感はまったくありません。
 それ以降、便がスムーズに出るようになり、排便に悩まされることはなくなりました。
 また、予想もしていない効果も現れました。デルデル呼吸を始めて1ヵ月後、たまたま体重を測ったところ、2kg落ちていることに気づいたのです。その後も、あれよあれよという間に体重が減り、半年後には合計9kgの減量に成功。ウエストも8cm縮小して、以前はいていたズボンがブカブカになりました。
さらに、高かった肝機能値も正常値になり、本当に驚いています。

●Sさん(64歳・女性)
 私は、もともと便秘症でしたが、30代の半ばごろから、さらに悪化し、おなかにガスがたまりやすくなりました。特につらかったのが、ガス腹です。おなかがパンパンに張って、オナラが出るのです。
 そんななか、偶然知ったのがデルデル呼吸です。私は、1日3~4回、適当な時間を見つけて実行しました。
1ヵ月ほど続けたところ、まず、おなかにガスがたまりにくくなりました。おなかの張りが取れて、オナラも出にくくなったのです。
 また、便秘自体も徐々に改善していき、残便感も取れました。便秘薬の量も、以前の半分で済むようになり、薬を飲まなくても、自然な便意を催すことも増えたのです。デルデル呼吸には、本当に感謝しています。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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