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【男性不妊の治療と食事】トマトジュースのリコピンの効果で精子を元気に

【男性不妊の治療と食事】トマトジュースのリコピンの効果で精子を元気に

トマトには強力な抗酸化作用を有するリコピンが豊富に含まれています。リコピンは精巣内に高濃度で存在することが明らかになっています。私たちの研究ではトマトジュースを継続的に飲むことで、実際に精子が元気になることが確認できました。【解説】岩本晃明(医療法人財団順和会山王病院リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター医師)

男性不妊の克服に効くと医師が注目!

 私は、泌尿器科医として、男性不妊の問題に長年取り組んできました。男性不妊を引き起こす原因の一つとして挙げられるのが、精子の異常です。

 精子の異常とは、数が少なかったり、精子そのものに元気がなかったりする状態を指します。そして、状態を悪化させる最大の要因と考えられている物質が、活性酸素です。
 活性酸素は、老化や病気の原因物質です。タバコや紫外線、過度の飲酒、ストレスなどによって増えることがわかっています。

 不妊を克服するためには、いろいろな手段を講じて、できるだけ活性酸素を減らすことが重要です。禁煙や飲酒を控えること、ストレスを減らすことなどが勧められます。また、サプリメントによって活性酸素を減らす方法も検討されています。

 強力な抗酸化作用のある食品にも、同様の効果が期待できます。その食品の代表として、私たちが注目しているのが、トマトジュースです。

 トマトには、強力な抗酸化作用を有するリコピンが豊富に含まれています。リコピンは、体内のさまざまな臓器に蓄積されますが、精巣内に高濃度で存在することが明らかになっています。

 そして、私たちの研究では、トマトジュースを継続的に飲むことで、実際に精子が元気になることが確認できました。

トマトジュースが精子を元気にする

 これまで、妊活力・精力を増強させる食品として、多くの食品やサプリメントが推奨されてきました。しかし、無数にある食品のうち、研究によって実際に精子が元気になることを科学的に確認できた食品は、ただの一つもありませんでした。

 その点、今回の研究では、トマトジュースが精子を元気づけることが科学的に確かめられました。ここに大きな違いがあります。


 その研究の詳細をお話ししましょう。
 試験に協力していただいたのは、50歳以下の男性不妊患者44名です。
 被検者を三グループに分け、一つのグループには、毎朝1缶(190ml)のトマトジュース(リコピン30mg入り)を飲んでもらいました。もう一つのグループには、抗酸化剤のサプリメントを1日3回食後に摂取してもらいました。さらにもう一つのグループには、何もとらないまま過ごしてもらいました。このような介入を試みた臨床試験は、この分野では初めてです。

 こうして12週を過ごし、研究開始前と、6週め、12週めで、精子の状態を検査したのです。

 その結果、トマトジュースを飲んでいたグループでは、精子運動率の改善の有効性が認められました。
 精子運動率は、男性不妊を改善するために重要な指標の一つです。精子運動率が高いとは、精子が元気であることを示しています。精子が元気に動いていないと、卵子の中に深く潜り込んで受精ができません。

 トマトジュースに含まれるリコピンの抗酸化作用によって、精子が元気になることが、データとして示されたのです。

精巣の炎症を抑えて精子の質の悪化を防ぐ!

 また、トマトジュースを飲んでいるグループでは、精液中の白血球数が改善することもわかりました。

 精巣や副睾丸(精巣上体)で炎症が起こると、精子の状態が悪化することが知られています。トマトジュースを常飲すると、精液中の白血球数が改善するということは、精巣の炎症を抑制して、精子の状態の悪化も防いでいるということです。
 リコピンには、抗酸化作用のほかに、優れた抗炎症作用もあります。この二つの働きによって、精子の質を高めることができたのでしょう。

 今回の研究成果は、不妊に悩むカップルにとって朗報といえます。近年の調査では、不妊で悩んでいるご夫婦において、男性側に原因がある場合と女性側に原因がある場合の比率は、半々といわれています。しかし、実際のところ、不妊の問題を奥さんに任せきりにする男性は、いまだに多く存在します。

 ぜひ男性にも意識を変えてもらい、不妊の克服には、ご夫婦で積極的に取り組んでほしいと思います。その手始めとして、ぜひトマトジュースを活用してください。

 リコピンは脂溶性で、熱にも強いため、トマトジュースにオリーブオイルを加えて温めたり、ミネストローネなどの煮込み料理を作ったりするのもよいでしょう。加熱すれば、よりリコピンが吸収されやすいという特性があるので、お勧めです。

解説者のプロフィール

医療法人財団順和会山王病院リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター医師
岩本晃明

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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