体内で起こる落雷が万病の原因になる
空から「ピカッ」と落ちてくる雷。
落雷はときに人の命も奪ってしまいます。
しかし、この落雷とほとんど同じ現象が、私たちの体の中でも起こっている、と言うと、皆さんは驚くのではないでしょうか。
雷の正体とは、実は「静電気」です。
雲の中では氷の粒が激しくぶつかり合ったり、空気とこすれ合ったりしています。
この摩擦で電位差が発生し、雲の下のほうにはマイナスの電気がたまります。
それがプラスの電荷(上空や大地)をめがけて放電する。
この現象が落雷です。
これが体内で起こるとはどういうことでしょう。
例えば、血流が血管壁をこすったり、赤血球と白血球がぶつかり合ったりする、あるいは呼吸をすれば気管内で、ものを食べれば消化管内で摩擦が生じます。
そのすべてに静電気が発生しています。
この静電気が体内にたまると、個々の細胞の内と外に電位差が生まれ、そこに雷と同じ落雷が発生するのです。
人間がかつて、はだしで生活していた頃、農作物を作るために大地を触っていた頃は、静電気が体内にたまっても自然と大地に放出されていました。
しかし、現代のように靴をはき、コンクリートジャングルの中で、電磁波を垂れ流すパソコンやテレビ、スマホにべったりの生活を送っていると、静電気はどんどん体内に蓄積される一方なのです。
そして、現代人特有のメタボやストレス社会もこれに拍車をかけています。
脂質は電気を通しにくいため、体内に静電気をためこみやすくなり、ストレスは血管を収縮させ、血流による摩擦を増幅させるからです。
こうして体内に静電気がたまり、落雷が発生すると、体にどのような影響があるのでしょうか。
まず顕著に起こるのは「血流の悪化」です。
健康な人の赤血球はピンポン玉のように弾力を持ち、1つひとつが単独で流れています。
そのため、血流もサラサラでよどみがありません。
これは赤血球の表面にあるシアル酸によるマイナスの電荷で統一されているからです。
ところが、体内静電気による落雷が盛んに起こると、電位バランスがくずれ、赤血球にプラスとマイナス、およびプラスマイナス0ができてしまうため、赤血球がどんどん電気的に引き合い、くっついて肥大化していきます。
その結果、血液をドロドロにして、流れが悪くなります。
この影響は、特に血管と脳に現れやすくなります。
ドロドロの血液は血管自体を劣化させ、狭心症や糖尿病など生活習慣病の引き金になる動脈硬化を促進させます。
そして何より、最も体内静電気の被害を受ける器官が脳です。
体のどの部分より血流が盛んで、しかも静電気の貯蔵庫になる脂質も多い脳は、落雷の温床なのです。
脳内で落雷が起こり、神経細胞がダメージを受ければ、脳血管性認知症やアルツハイマー、あるいはうつ病などの神経性疾患につながっていく可能性が高まります。
体内静電気による落雷が遺伝子を直撃すればガン細胞や自己免疫疾患になり、膵臓に落ちれば糖尿病、目に落ちれば視力低下、老眼、白内障などになりかねません。
これほど怖い落雷が、私たちの体内のいたるところで起こっているのです。
体内静電気が発生すると病気や痛みの原因となる

男性のハゲ頭に毛が生えた!
こうした現象を防ぐためには、体内の静電気を体外に抜くことが肝要です。
そこで最もお勧めしたいのが「はだしで地面に立つ」こと。
これを「アース」と呼びます。
家で冷蔵庫や洗濯機などを置くスペースやトイレには、よくアースできるコンセントがあります。
家電もアースに銅線を差すことで感電しないわけです。
はだしで地面に立つ、もしくは手で地面に触れる。
これだけでもかなり効果的にアースできます。
雨が降った後の地面や河原、海の波打ち際など、湿ったところでやるとさらに効果が高いのです。
ただし、体内静電気は1度抜いてもどんどんまた増えるので、できれば毎日、何度でも、多ければ多いほどよいのですが、少なくとも2~3日に1度程度はアースする習慣をつけるとよいでしょう。
以前、ひどいアトピー性皮膚炎に悩んでいる人に体をアースすることを勧めたら、症状が劇的によくなりました。
また、年齢的に若いのに薄毛に悩んでいる男性にアースを勧めると、髪の毛が生えてきたこともありました。
若ハゲも体内静電気が原因の1つだったのでしょう。
コンピュータのチップの生産工場では、神経質過ぎるくらいに静電気を除去しています。
人間の細胞や遺伝子は、本来チップよりもはるかにデリケートで精密なのです。
心身の健康は静電気の除去から。
ぜひ今日から静電気を抜く習慣をつけてください。
解説者のプロフィール
堀泰典
1980年、岐阜歯科大学(現・朝日大学)歯学部卒業。岐阜歯科大学歯学部歯学科口腔病理学教室、泊山歯科院長、あさひ歯科院長、昭和大学医学部客員教授などを歴任。現在は温泉学会理事、筋構成医学研究会会長などを努める。『体内静電気を抜けば病気は怖くない!』(講談社)ほかの著書があるほか、テレビ、新聞などでも幅広く活躍中。