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【不眠改善】睡眠薬の減薬・断薬に役立つ「睡眠日誌」のつけ方

【不眠改善】睡眠薬の減薬・断薬に役立つ「睡眠日誌」のつけ方

不眠を訴える人は、睡眠に関するさまざまな誤解が原因の「不眠恐怖」に陥っている例が少なくありません。誤解の一つは、「心身の健康を維持するためには、8時間の睡眠が必要」というものです。確かに、睡眠不足は、高血圧や糖尿病の危険因子となる可能性があります。【解説】小曽根基裕(東京慈恵会医科大学精神医学講座准教授)

細切れでもトータルの睡眠が十分なら問題なし

不眠を訴える人は、睡眠に関するさまざまな誤解が原因の「不眠恐怖」に陥っている例が少なくありません。

誤解の一つは、「心身の健康を維持するためには、8時間の睡眠が必要」というものです。
確かに、睡眠不足は、高血圧や糖尿病の危険因子となる可能性があります。

しかし、人が必要とする睡眠時間には、個人差があります。
日中に強い眠気やふらつき、倦怠感、集中力の低下などの異常がなければ、特に問題はないのです。

「眠りが浅くなった」「若いころよりも睡眠時間が短くなった」という訴えもよく耳にします。
これらは、加齢現象としても生じるもので、特に問題視する必要はありません。
しかし、「不眠は心身の健康によくない」という強い不眠恐怖を抱いている患者さんの場合、「8時間以下の睡眠でよい」「夜中に何度も目覚めるのは、重篤な問題ではない」などとはなかなか思えないようです。

そんな不眠恐怖に陥っている患者さんに私がお勧めしているのが、「睡眠日誌」です。

睡眠日誌とは、自分が眠っていた時間や眠れずうとうとしていた時間、日中の気分など、日々の睡眠の状態を記録するためのツールです。
この睡眠日誌をつけることで、患者さんは自分の睡眠の状態を客観的に把握できるようになります。
不眠恐怖の原因となる、睡眠に関する誤解の解消にも、睡眠日誌は役立ちます。

例えば、「夜中に何度も目が覚めてしまう。睡眠不足ではないか」と訴える患者さんがいたとします。
しかし、睡眠日誌をつけて、たとえ細切れであっても、7時間近い睡眠が取れているとわかれば、自分が決して睡眠不足ではないと、患者さん自身が気付くことができます。

また、睡眠日誌をつけていれば、睡眠時間が長くなくても、日中に眠気がなく、活発に活動できる状態の日が見つかるはずです。
そんな日の睡眠時間は、今の自分にとって十分な睡眠時間というわけです。
この時間を目安にすれば、過度に眠ろうとする意識が和らぎ、睡眠は安定します。

2~4週間ほど睡眠日誌を書き続ければ、自分の睡眠の傾向が見えてくるはずです。

睡眠時間が十分足りていても、もともと眠くなる午後2時を除いて、日中に強い眠気を感じることなく、生活に支障をきたさないようであれば、今の睡眠に問題はないといえます。

「睡眠日誌」のつけ方

睡眠日誌は正しい診断と薬の処方にも役立つ

睡眠日誌は、医療機関での不眠の治療の検討、治療の効果判定にも役立ちます。

前述したように、不眠を訴える患者さんの多くは、睡眠に関する誤解が原因の不眠恐怖に陥っています。
そのため、本来であれば、医師はまず患者さんの睡眠に関する誤解を解くべきです。

しかし、実際には、不眠を強く訴える患者さんに対して、医師は睡眠薬を処方せざるを得ないのが現状です。
多くの医療機関では、不眠恐怖のもとになっている誤解を解くだけの十分な時間を、なかなか割くことができません。

また、患者さん自身が、「眠れないのが怖いから」と、睡眠薬の処方を強く希望する場合もあります。
その結果、本来は不要な睡眠薬を服用する患者さんが誕生してしまうのです。
睡眠薬の中には、日中のふらつきや転倒、認知機能の低下などの副作用があるものもあります。

近年、こうしたリスクが知られるようになり、睡眠薬を服用している患者さんの多くは、服用を止めたがるようになりました。
しかし、患者さんの自己判断で急に服用を止めたり、飲んだり飲まなかったりをくり返すと、かえって不眠が悪化する場合があります。

もちろん私は、睡眠薬を完全に否定するつもりはありません。
精神的なショックなど、不眠の原因となる問題がすぐに解消できない場合などは、睡眠薬は必要でしょう。

ただ、その場合も、「ある程度まとまった睡眠が取れるようになり、不眠の原因が解消されたら、服用を止める」などの治療のゴールは、服用開始時にあらかじめ決めておくべきです。
不要な睡眠薬は飲まないに越したことはないのです。

患者さんが、睡眠日誌で自分の睡眠の状態を医師に客観的に伝えることができれば、医師も治療方針や睡眠薬の処方の有無の検討がしやすくなるはずです。
場合によっては、医師の指導のもとで、睡眠薬を完全に止めることも可能です。

不眠の悩みを抱えている人は、睡眠日誌で自分の睡眠の状態を確認してみてください。
ただし、日誌を書くこと自体がストレスになる場合もあるため、詳細につける必要はありません。

まずは、気らくに始めてみてはいかがでしょうか。

解説者のプロフィール

小曽根基裕
東京慈恵会医科大学精神医学講座准教授。
1964年生まれ。
89年東京慈恵会医科大学卒業。
専門である睡眠障害治療の名医として著名。
睡眠に対する正しい知識を広めるため、治療と並行して、講演活動やテレビ・雑誌などへの出演も積極的に行っている。

●東京慈恵会医科大学精神医学講座
http://www.jikei.ac.jp/academic/course/47_seishin.html

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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