老化や病気の原因物質を抑える

「塩発酵キャベツ」は、現代の日本人に最も食べてほしい食品の一つです。それほど塩発酵キャベツには理想的な要素がそろっています。
現代人の食物繊維の摂取量は、戦前の1/3にまで減っています。これが、便秘や腸の病気に悩む人が増えている大きな理由です。
また、パソコンやスマートフォン、電化製品などの電磁波や、環境や生活のストレスによって体内に活性酸素(※1)が発生します。これにより腸内環境が悪化し、老化を早めたり、体にダメージを与えたりして、多くの病気を引き起こす原因になっています。
しかし、塩発酵キャベツを食べることで、食物繊維不足も活性酸素の増加も抑えることができます。
キャベツは、食物繊維がとても豊富で、普段の食生活で不足しがちな食物繊維を補うことができる食材です。これを発酵させることで、乳酸菌たっぷりになり、その乳酸菌が腸の中で善玉菌を増やしてくれるため、便秘をはじめとする腸の不調を改善してくれるのです。
もう一つ見逃せないのは、キャベツの抗酸化作用です。キャベツは野菜の中でもトップクラスの抗酸化作用を持ち、活性酸素を抑える働きをします。発酵キャベツを食べることで、腸内の悪玉菌の働きを抑えると、結果的に活性酸素の除去にもつながってきます。
このように塩発酵キャベツは、現代人が最も足りていないものを補ってくれる優秀な食材なのです。
さらにキャベツにはビタミンUが含まれます。
これは「キャベジン」とも呼ばれ、胃の粘膜を修復する働きがあります。
「発酵キャベツを食べた後は胃がスッキリする」という人が多いのはこの作用のためです。
※1 物質を酸化させる力が非常に強い酸素。殺菌力が高いが、増えすぎると病気や老化の原因となる
子どものアレルギーにも効果大!
あるテレビ番組で、4人のタレントさんたちに毎食酢をかけたキャベツを2週間食べてもらいました。すると、4人全員が食事を変えたわけでも、運動を始めたわけでもないのにダイエットに成功したのです。
これは腸内で「やせ菌」(※2)が増えたためです。やせ菌が増えると何を食べても太りにくい体質に変わります。塩発酵キャベツでも同等の効果が期待できます。
塩発酵キャベツは、お子さんにもお勧めです。近年は便秘や下痢、さまざまなアレルギー症状に悩む子どもが増えています。これらはすべて腸が原因です。塩発酵キャベツを食べることで改善につながります。
近年、糖尿病、うつ、認知症、自閉症にも腸内環境が関係していることがわかってきました。塩発酵キャベツを食べて腸を整えることは、全身の健康の基本とも言えるのです。
※2 腸内に存在する日和見菌で、バクテロイデス門と呼ばれるグループに属する菌のこと
解説者のプロフィール

藤田紘一郎(ふじた・こういちろう)
1939年、中国・旧満州ハルピン生まれ。東京医科歯科大学医学部を卒業後、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学医学部教授などを歴任。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。『ガンにならない整腸学』(PHP研究所)、『ウンココロ』(実業之日本社)、『笑うカイチュウ』(講談社)など著書多数。