解説者のプロフィール

白澤卓二(しらさわ・たくじ)
1958年、神奈川県生まれ。
千葉大学医学部卒業後、東京都老人総合研究所分子病理部門研究員、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て、2007~15年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。
専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学など。
『長生きできて、料理もおいしい!すごい塩』(あさ出版)、『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』(サンマーク出版)など、著書多数。
●白澤抗加齢医学研究所
https://www.shirasawa-acl.net/
発酵の力と素材のよさがギッシリ詰まっている
フルーツと野菜を、上新粉の水溶液に入れて発酵させる「フルーツ水キムチ」。
このフルーツ水キムチには、発酵の力や素材のよさがギッシリと詰まっています。
以下に、フルーツ水キムチのメリットを説明しましょう。
・乳酸菌が豊富
第一に、乳酸菌の働きです。
乳酸菌には、フルーツ水キムチやみそ、しょうゆなどに含まれる植物性の乳酸菌と、チーズやヨーグルトを作る動物性の乳酸菌の2種類があります。
この二つのうち、植物性乳酸菌は酸に強く、生きたまま腸に届きやすいという特徴があります。
乳酸菌は、腸に届くと便秘の原因になる悪玉菌の増殖を抑制し、善玉菌であるビフィズス菌が増えて腸の働きを活性化して便秘や下痢を解消します。
乳酸菌で腸内環境が整うと、便秘や肌荒れが解消するばかりか、免疫力がアップして、ガンの予防やアレルギー反応を抑えることにもつながります。
・食物繊維が豊富
次が、食物繊維の働きです。
フルーツ水キムチで使う野菜や果物は、食物繊維がとても豊富です。
食物繊維には、野菜やキノコ、穀物の外皮などに多く含まれる不溶性と、果物や海藻に多く含まれる水溶性の2種類があります。
不溶性の食物繊維は、食べ物のカスを絡め取って便を作り、その便が腸壁を刺激して便秘を解消してくれます。
また、乳酸菌を組み合わせることで、便秘に働きかける力がさらにアップします。
一方の水溶性の食物繊維は、ブドウ糖の腸からの吸収をゆるやかにします。
食後の血糖値の急激な上昇を抑え、糖尿病を予防します。
また、肥満や脂質異常症の原因となるコレステロール、高血圧の原因となるナトリウムの吸収を阻害して、便とともに排せつする働きもあります。
食物繊維は、不溶性と水溶性をバランスよく取ることが重要ですが、フルーツ水キムチなら、水溶性と不溶性の両方の食物繊維を取ることができます。
乳酸菌発酵で素材のうま味が引き出される
・発酵パワーでうま味倍増
フルーツ水キムチは、漬けて1日もすれば食べられます。
食べるとわかりますが、さわやかな風味があり、発酵食品ならではのうま味があります。
このうま味は、乳酸菌の発酵によるものです。
漬け汁に含まれる上新粉のでんぷん質や果物の糖分をエサに、乳酸菌が発酵します。
すると、乳酸菌の発酵パワーで、食材に含まれるたんぱく質がうま味成分のアミノ酸に、糖分(炭水化物)が分子の小さな糖に分解されます。
こうして、食材が本来持っているうま味や風味をよりいっそう引き出してくれるのです。
塩分も控えめなので、血圧が気になる人も安心です。
漬け物代わりにフルーツ水キムチを食べれば、減塩効果で血圧の上昇も防げるでしょう。
・毎日食べても飽きない
フルーツ水キムチは一般のキムチと違い、果物と塩もみした野菜を漬け汁に入れるだけです。
誰でも簡単に作れて、失敗しづらいでしょう。
また、さっぱりとクセがないので、子どもからお年寄りまで、サラダやデザート感覚で食べられます。
そして、好きな野菜や果物を使って、さまざまにアレンジできます。
素材になる果物や野菜で味や見た目が変わり、バリエーションにも富んでいるので、毎日食べても飽きません。
どんなにいい健康法も続けてこそですから、これらは大きなメリットです。

小腹が空いたときにフルーツ水キムチ
フルーツ水キムチの果物と野菜の彩りも重要です。
リンゴの皮やトマトの赤、ブドウの紫、キュウリの緑などのもととなっている色素は、抗酸化作用に非常にすぐれています。
紫外線によって発生する活性酸素の攻撃から身を守り、細胞の老化や病気を防いでくれます。
また、フルーツ水キムチは、小腹が空いたときのおやつにもなります。
食事前の前菜として食べると、腹七分目の理想的な食事を実現しやすくなります。
腹七分目の食生活を続けていると、「サーチュイン」という長寿遺伝子のスイッチが入り、老化を抑制して健康長寿を実現することにもなります。
おいしくて健康にもいい水キムチは、まさに理想的な料理といえるでしょう。
フルーツ水キムチの作り方は、↓の記事で詳しく紹介されています。