出ても残便感がある便秘。対策は寝る前10分の「うつぶせ寝」

出ても残便感がある便秘。対策は寝る前10分の「うつぶせ寝」

大学病院の総合診療科を訪れる便秘の患者さんのうち、最も多いのが、排便してもスッキリとした感覚を持てない残便感に悩む人たちです。【解説】瓜田純久(東邦大学医療センター大森病院副院長 総合診療科教授)


腸内に便がある・ないで 原因は違ってくる

 大学病院の総合診療科を訪れる便秘の患者さんのうち、最も多いのが、排便してもスッキリとした感覚を持てない残便感に悩む人たちです。
 まったく便が出ないわけではないのですが、便が出たときに、出し切った感覚に乏しく、不快に感じています。
 この残便感の悩みは、大きく二つに分けることができます。
 残便感を感じるとき、実際に便が肛門の手前の直腸に残っている場合と、便が残っていない場合です。まずは、前者の腸内に便が残っている場合から解説しましょう。
●便が直腸に残っている場合
 この場合の原因としては、①自律神経の乱れ(けいれん性便秘)や、②直腸の異常(直腸性便秘)が考えられます。
 けいれん性便秘とは、ストレスなどの影響で、腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスがくずれた結果、大腸の蠕動運動(内容物を先へと送り出す腸の働き)が強過ぎて起こる便秘です。おなかの張りや腹痛を伴うこともあります。
 便意は非常に強く感じるのに、出てもコロコロしたウサギのフン状で量が少なく、残便感を覚えます。便秘と下痢をくり返すのも、この便秘の特徴です。
 直腸性便秘とは、直腸に問題が起きて生じる便秘です。便が直腸に入ってくると、その刺激が脳へ伝わり、肛門周囲の筋肉がゆるみ、便を出す態勢に入ります。これを、「直腸・肛門反射」といいます。
 この反応は一過性で、排便せずに我慢していると、やがて便意がなくなってしまいます。こうした我慢をくり返していると、そのうち便が直腸に入っても便意を感じなくなります。直腸に留まった便は時間とともに硬くなり、排泄されにくくなります。直腸性便秘でも、強い残便感が起こってきます。
●便が直腸にない場合
 この原因は、たいてい下剤の乱用によるものです。市販の下剤の多くは、刺激性タイプの下剤です。このタイプの下剤は、効果が強い半面、習慣性があり、常用するとだんだん効かなくなります。下剤の作用で腹痛を伴います。
 また、このタイプの下剤を常用していると、排便のときにおなかがギューッと痛くなり、トイレに行くとドッと出るという感覚に慣れていきます。その結果、本来の自然な便意を感じることができなくなり、排便してもスッキリしないという感覚に悩まされるようになるのです。

曲がりくねった腸から ガスを出す秘策

 残便感がある便秘の患者さんには、便秘解消のテクニックとして「寝る前10分のうつぶせ寝」を勧めています。
 腸はおなかの中で曲がりくねっているため、階段の踊り場のようにくねっている箇所にガスがたまりがちです。そこで、うつぶせでおなかを圧迫し、さらにゴロゴロ転がることで、腸内のガスを移動させ、オナラとして排出させるのです。
 こうしてガスが抜けると、腸の蠕動運動が促され、便秘が解消されます。
 うつぶせ寝を行うのは、1日のうちで胃腸の動きが活発になる時間、とくに寝る前をお勧めします。寝る前10分のうつぶせ寝を習慣とするといいでしょう。

下剤の種類を 変えてみる

 うつぶせ寝に加えて、残便感のそれぞれの原因に合わせた対策も行えば、便秘を解消する効果はより高まります。
 けいれん性便秘では、ストレスの解消を目指します。対策の基本は、規則正しい生活で、睡眠をしっかり取ることです。その上で、スポーツや趣味などでストレス解消に励みましょう。
 直腸性便秘は、便意が起こったとき、仕事などで忙しくてすぐにトイレに行けないことが大きなきっかけとなります。日中仕事が忙しくてトイレにすぐ行けない人の場合には、朝、仕事に出かける前に排便をすませる習慣をつけることが最良の方法になるでしょう。
 そして、下剤を常用している人は、まずは刺激性タイプの下剤とは作用の異なる下剤に薬を切り替えることです。すぐに下剤の常用をやめたいところですが、現実的には難しいために、最初は薬の種類を変更します。
 新たな下剤として勧められるのは、便のかさを増やす「膨張性下剤」や、便を軟らかくする「塩類下剤」です。膨張性下剤は市販薬としては販売されていませんので、病院で処方してもらう必要があります。
 うつぶせ寝は、簡単にできるにもかかわらず、驚くほど効果のある方法です。
 毎日うつぶせ寝を続けながら、できる範囲で生活の改善や、下剤の減量・離脱に取り組んでみましょう。

これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連ムックをもとに掲載しています。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

これらの記事にある情報は、効能や効果を保証するものではありません。専門家による監修のもと、安全性には十分に配慮していますが、万が一体調に合わないと感じた場合は、すぐに中止してください。

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