MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【猫背が原因】姿勢の悪さが腰痛、めまい、うつを招く

【猫背が原因】姿勢の悪さが腰痛、めまい、うつを招く

よい姿勢とは、健康状態のバロメーターです。反対にネコ背は、あなたが想像する以上に、体全体に悪影響を及ぼします。ネコ背の悪影響として、最初に思い浮かべるのは見た目の悪さではないでしょうか。よい姿勢は、見た目の印象はもちろん、あなたの健康状態も左右するのです。【解説】平泉裕(昭和大学医学部整形外科学講座客員教授)

解説者のプロフィール

平泉裕
1957年、東京都生まれ。1982年、昭和大学医学部卒業。同大学医学部整形外科学教室入局。同大学医学部大学院入学。86年、同大学医学部大学院卒業。医学博士。日本整形外科学会専門医。日本リハビリテーション医学会専門医。日本体育協会公認スポーツドクター。日本健康予防医学会理事長。

ネコ背から腰痛、ひざ痛が起こる

よい姿勢とは、健康状態のバロメーターです。
反対にネコ背は、あなたが想像する以上に、体全体に悪影響を及ぼします。

ネコ背の悪影響として、最初に思い浮かべるのは見た目の悪さではないでしょうか。
ネコ背の人は、年齢よりも老けて見えます。

おじいさんやおばあさんに見える人の特徴は、背中が丸まっていることです。
反対に、年を取っても姿勢がよくて身のこなしが美しい人は、年齢よりも若く見えます。

ネコ背は、見た目の問題にとどまりません。
ネコ背は心身に、さまざまな悪影響を及ぼすのです。

私たちの背骨は、首からお尻まで25個の骨で構成されています。
S字状のカーブを描いていますが、これは約5㎏もある重たい頭を支え、体重を適切に分散するための工夫です。

ネコ背になるとあごが前に出るため、首から肩にかけての筋肉には、強い負荷がかかります。
このため、首から肩に広がる僧帽筋などの筋肉が緊張し、首や肩のこりや痛みが起こってきます。

また、ネコ背になる人は、運動不足のために首や背中の筋肉が衰えています。
背骨を支える筋肉が弱体化すると、上半身の重みが腰の骨(腰椎)にすべてかかるため、疲労性の腰痛がもたらされるのです。

この状態は、椎間板ヘルニアを引き起こす誘因ともなります。
そもそもネコ背になってS字状の背骨のカーブで体重がうまく分散できなければ、体全体の重心バランスがくずれます。

このくずれたバランスは、ひざで調整しようとします。
この結果、ひざが前に出て曲がります。

曲がったひざの内圧が高まり、軟骨などを圧迫すると、ひざ痛が起こるのです。

交感神経を圧迫し耳鳴り、めまいを招く

さらにネコ背は、頭痛を引き起こし、頭部へも強い悪影響を及ぼします。
ネコ背で頭痛を訴えている人の首の後ろに触れると、たいてい、筋肉がガチガチに硬くなっています。

疲労性の筋肉痛を起こし、頭痛を起こしているのです。
また、首の筋肉の緊張によって、首から脳への血流も悪くなるため、脳の血流量自体が低下し、脳血管性の頭痛が起こってくることもあります。

首の骨である頸椎のわきには、交感神経幹という交感神経を束ねる幹があります。
交感神経とは体を活発に働かせるときに働く神経で、自律神経の一つです。

もう一つの副交感神経は体を休ませるときに優位になる神経で、交感神経と副交感神経は、一日の中でバランスを取り合うように働いています。
ネコ背になると首の筋肉が緊張し、交感神経幹を圧迫します。

目や耳へ届く交感神経が過剰に緊張し、耳鳴りやめまい、眼精疲労などを招くのです。
ネコ背で頭が前に傾くと、それに抗して首の骨(頸椎)の反りが強くなります。

脳に通じる太い血管の一つである椎骨動脈が圧迫されるため、血液が滞って血栓(血の塊)が作られやすくなります。
こうして生じた血栓が、脳に流れて脳梗塞を引き起こすリスクもあるのです。

猫背がもたらす諸症状

うつの人は姿勢が悪く呼吸が浅い

ネコ背は、心肺機能や内臓にも悪影響を及ぼします。

ネコ背になれば、胸を取り巻く骨格である胸郭が圧迫され、狭くなります。
肺がじゅうぶんに伸び縮みできず、肺活量が低下します。
呼吸器疾患を引き起こすリスクも高まるのです。
しかも、大きく息を吸えなければ、血液中に含まれる酸素量が低下し、たくさんの血液を心臓が送り出さなければならなくなります。
そのため、心臓の負担となるのです。
高齢者は、肺炎から心不全を起こして死亡するケースが多いわけですが、ここにもネコ背による心肺機能の低下の影響があるのです。

また、横隔膜の動きを制限するため、内臓を圧迫します。
この結果、腸の動きが低下し、便秘なども起こってきます。

さらに、ネコ背はうつをも呼び寄せます。
うつの人は、姿勢が悪く、呼吸が浅くなっていることが多いものです。
うつだから姿勢が悪くなるのか、姿勢が悪くなるからうつになるのか、その最初の原因はわかりません。

いずれにせよ、姿勢と精神状態は密接に関連しています。
このように、ネコ背は、皆さんが考えている以上に私たちの心身にさまざまの影響をもたらします。

よい姿勢は、見た目の印象はもちろん、あなたの健康状態も左右するのです。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
家でも「おなかこすり」を毎日続けた結果、肩の痛みは日を追うごとに軽くなり、8ヵ月後には腕が真上に上げられるようになりました。体重は変わっていませんが、ずいぶんやせたように見えます。肌もしっとりして、化粧ののりがよくなりました。本当にすごいセルフケアです。【体験談】山崎尚子(会社員・52歳)
更新: 2018-11-30 07:00:00
正座あおむけやその他のポーズを毎日行うと、肋骨の位置が上がり、それに伴って内臓も元の位置へ戻りやすくなります。すると、ポッコリ下腹やわき腹の肉のだぶつきが解消し、胃腸の調子も整い、肩や首のこりが解消します。【解説】チンパン(ブリージングストレッチ指導講師・ブリージング整体師)
更新: 2018-11-16 11:47:47
下腹ぺたんこポーズを始め、5日目ぐらいから、後傾していた骨盤がまっすぐ起きてきた感覚がありました。それとともに、以前のように歩いていてもスカートがクルクルと回らなくなったのです。股関節の痛みもほとんど気にならなくなり、ヒップアップ効果もあったようです。【体験談】野中康子(仮名・自営業手伝い・54歳)
更新: 2018-11-13 18:00:00
骨盤のゆがみを最も簡単に解消できるのが「下腹ぺたんこポーズ」です。骨盤と肩甲骨を締めた姿勢で腹式呼吸をしながら圧をかけることで、たった1ポーズで、骨盤と肩甲骨のゆがみと開きを改善する「姿勢矯正」、インナーマッスルを鍛えて体の軸を取る「体幹トレーニング」ができます。【解説】波多野賢也(美容整体サロン・アクアヴェーラ代表)
更新: 2018-11-05 18:00:00
バストが全体的に垂れ下がってしまったり、デコルテあたりからそげて骨が浮き出てしまったり、バストトップが外を向いて離れてしまったりといった悩みをよく聞きます。体形やバストが崩れる最たる原因は「筋肉のこり」を放置しているからです。【解説】朝井麗華(株式会社キレイカンパニー代表・経絡整体師)
更新: 2018-09-15 20:00:00
最新記事
私は鍼灸師で、日本で一般的に行われている鍼灸治療のほか、「手指鍼」を取り入れた治療を行っています。手指鍼はその名のとおり、手や指にあるツボを鍼などで刺激して、病気や不調を改善する治療法です。【解説】松岡佳余子(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師)
更新: 2019-05-27 18:00:00
なぜ、クルミが耳鳴り解消に効くのでしょうか。東洋医学的には、耳鳴りの原因は血や水の巡りの悪さにあるとされるので、クルミの利尿作用が効果をもたらしたといえます。一方、西洋医学的に考えると、注目すべきは、クルミに含まれるα ─ リノレン酸の働きです。【解説】小川哲夫(小川医院理事長)
更新: 2019-05-26 18:00:00
日本の発酵食品(しょうゆ、みそ、日本酒など)を作る上で、こうじはなくてはならないものです。こうじは、蒸した米や麦、大豆などに、こうじ菌という微生物を繁殖させたものでこうじ菌が作った栄養成分がぎっしり詰まっています。こうじについては多少の知識がありますので、少しお話しさせてください。【解説】浅利妙峰(糀屋本店女将) 
更新: 2019-05-25 18:00:00
「腰が痛い!」幅広い年齢層に蔓延する腰痛。しかし、病院に駆け込んで、骨や神経に異常が見つからない場合は「非特異的腰痛症」と診断されます。非特異的、つまり、原因不明の腰痛という意味。なんとも不思議な病名です。「腰が痛い」という異常があるから病院に来ているのに……。【解説】戸田佳孝(戸田リウマチ科クリニック院長)
更新: 2019-05-24 18:00:00
これまで、疲労が起きるのは、「エネルギーがなくなるから」「疲労物質が筋肉にたまるから」と考えられてきました。しかし、最新の研究によって、疲労が起きるほんとうの理由は、「自律神経の中枢である、脳がサビつくから」ということが、わかっています。【解説】梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック院長)
更新: 2019-05-23 18:00:00

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt