【整形外科医】手は露出した脳?「指ヨガ」で腰痛・ひざ痛も緩和する!

【整形外科医】手は露出した脳?「指ヨガ」で腰痛・ひざ痛も緩和する!

指ヨガは呼吸と意図のもと「指をもむ」ことによって全身でヨガをやっているのと同じような効果が得られるというものですが、実は指をもむことの大切さを説くのはヨガだけではありません。西洋医学でも、手は体の中で特化された分野で、整形外科でも早くから「手の外科」として確立されてきました。【解説】長田夏哉(田園調布長田整形外科院長)


手は「露出した脳」もめば腰痛・ひざ痛も緩和

病気の治療というのは、機械の修理のように、悪いところだけを治せばよいというものではありません。
肩や腰、ひざなど、どこか1カ所に痛みを感じたときに、その部分だけを治しても問題は解決しません。

人間の体は、どの部位もすべてつながっているからです。
つまり、東洋医学で言われる「部分即全体」、手の中に全身があるということです。

そこで私は、治療をするにあたって、西洋医学的なアプローチに加えて、さまざまなウェルネスプログラムを導入しています。
なかでも最近患者さんたちに好評なのが、手指をもむ「指ヨガ」です。

当院のウェルネスプログラムでは、プログラムごとに理学療法士や作業療法士、看護師、柔道整復師、鍼灸師やスポーツトレーナーなど、専門知識を持つ担当者が指導しています。
指ヨガの場合も、指ヨガインストラクターが指導・施術を行っています。

指ヨガは、呼吸と意図のもと「指をもむ」ことによって全身でヨガをやっているのと同じような効果が得られるというものですが、実は指をもむことのたいせつさを説くのはヨガだけではありません。
西洋医学でも、手は体の中で特化された分野で、私が専門としている整形外科でも早くから「手の外科」として確立されてきました。

実は私も大学病院の勤務医だったときは、手のみを専門とするチームに所属していました。
手が特別なのは、その機能的な多様性・特殊性だけでなく、「露出した脳」と考えられているほど、脳と密接な関係にある部位だからです。

人間の脳は、ほかの動物と違い、生命活動を司る脳幹よりも、大脳の占める割合が大きいのが特徴です。
ただ生きるのではなく、運動や感覚、そしてそれらを処理して、思考、認知、記憶など高次な機能を得てきました。

これが「人間らしさ」です。
緊張すると手が震えたり、興奮するとこぶしを握り締めたりします。

感情の変化が手に出るわけです。
これは逆に言うと、手をもみほぐして緊張を取れば、脳もリラックスさせられることを意味します。

腰痛、ひざ痛など、体の痛みは脳がつくります。
「ここに触れられたら危険」とか、「これをしてはいけない」などの脳の指令が、「痛み」を生じさせるのです。

指をもむことで脳の緊張が取れると、この指令が弱まり、痛みが小さくなることも期待できます。
また、感情を支配する脳の副産物に「不安」があります。

不安は体や心の病気の原因になります。
指をもむことで脳がリラックスすれば、不安感も解消されます。

もう1つ、手は脳と関係が深いということは、認知症へのアプローチも期待できます。
宮本よしか先生の調査では、指ヨガが認知症の患者さんにもとても評判がよかったという結果が出ていますが、手と脳の関係性からすればじゅうぶんにあり得ることです。

脳と体は、常に連係プレーを行っていますが、脳と体にずれが生じると連係プレーがうまくいかなくなります。
この状態が認知症です。

指をもむことで、脳に刺激を与えられれば、脳と体のずれを小さくできるかもしれません。

→【指ヨガ】中指ねじりのやり方はコチラ

診療時や待合室で指をもんであげている

手は脳だけではなく、全身の状態を投影します。
指ヨガでも手を全身に当てはめていますが、体の状態をいちばん把握しやすいのも、実は手なのです。

例えば、指や手をもんでいて、「ここがちょっと変だな」と感じたら、その部位に当たるところに今は異常が出ていなくても、症状がこれから出るサインかもしれません。
検査で異常がなくても、自分の生活を顧みて「酒を控えようか」とか、痛みがなくても「体を休めよう」などという方向に考えることができれば、その後、病気になって苦しむこともなくなります。

そして、手をもむだけで全身のヨガをするのと同じ効果が得られる点も大きな要素です。
ヨガには、体のバランスを回復させる効果があります。

全身のバランスが整うことで、人間本来が持っている自然治癒力が高まります。
私のクリニックでは、私を含め6名の医師、看護師、リハビリスタッフが指ヨガインストラクターの資格を取得しました。

ウェルネスプログラムのほか、診療時や待合室でちょっと待つ時間などに、希望する患者さんに指をもんであげます。
私は指ヨガの第一の目的は、病気を治す以前に、手に現れた痛みやこりなどの違和感に気づき、体の異変を知ることにあると思います。

そして、手をもむことでその違和感がなくなったり、体のバランスが整うことで自然治癒力が高まったりすれば、結果的に病気が快方に向かうと考えています。

長田夏哉
日本医科大学卒業。慶應義塾大学病院、済生会神奈川県病院、川崎市立川崎病院などを経て、2005年、田園調布長田整形外科を開院。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医。体、心、意識へアプローチした自発的治癒力を高めるための医療を実践する。指ヨガインストラクターの資格も取得。『体に語りかけると病気は治る』(サンマーク出版)ほか著書多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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