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【大腸内視鏡検査のメリット】低負担・短時間 大腸がんの治療もできる!

【大腸内視鏡検査のメリット】低負担・短時間 大腸がんの治療もできる!

大腸ガンは、ガンの中では最も助かりやすいガンの一つです。それなのに大腸ガンの死亡数が多いのはなぜでしょうか。大腸ガンは検査さえ受ければ助かるガンです。検査を受けないのは、大いなる損失だといえます。痛みもなく治療が同時にできる大腸内視鏡検査は、便秘解消のメリットもあるのです【解説】後藤利夫(新宿大腸クリニック院長)

大腸ガンの検査を受けないのは大損

 大腸ガンは、ガンの中では最も助かりやすいガンの一つです。なぜなら進行が遅く、良性のポリープから段階的にガンに変わっていくからです。
 大きさでいえば、最初は2〜3mmのポリープができ始め、だいたい2cmを超えると早期ガン、4cmを超えると進行ガンになります。それまでに、最低5年以上かかります。

 大腸ガンはまた、見つけやすいのも特徴です。例えば肺ガンは検査で見つけにくく、見つかったときには1cmでも助からないことがあります。
 それに対して大腸ガンは、検査で容易に見つけられますし、仮に4㎝の大きさになっていても、手術すれば助かる可能性が大きいのです。
 にもかかわらず、大腸ガンで亡くなる人は多く、大腸ガンによる死亡は、ガン全体の中で男性は3位、女性は1位です。なぜでしょうか。

 一つは、そもそも大腸ガンになる人が多いことです。なる人が多ければ、助かる人も多いですが、助からない人も多くなります。
 もう一つは、検査を受ける人が少ないことです。検査は内視鏡で行いますが、痛い、恥ずかしいということがあり、特に女性の受診者が少ない傾向にあります。

 しかし、大腸ガンは検査さえ受ければ、助かるガンです。そして今は、内視鏡検査も負担の少ない、痛くない検査法が開発されています。検査を受けないのは、大いなる損失です。
 通常、大腸内視鏡検査は肛門から内視鏡(ビデオスコープ)を挿入して、直腸から盲腸までの大腸全体を診る検査です。腸は、事前に下剤を飲んでいるので、空っぽの状態です。したがって通常は、腸の中に空気を入れて膨らませて、スコープを進めていきます。奥まで入れるのに、1〜2Lの空気を入れます。

 大腸の粘膜には痛覚がないので、スコープを入れても痛みは感じません。しかし、空気が一部にたまって腸が張り過ぎたり、スコープを強く押して腸が引っ張られたりすると、強い痛みを感じます。
 熟練した医師なら痛みはほとんどありませんが、未熟な医師が行うと、痛みが発生することがあります。麻酔をして行うこともありますが、麻酔が強過ぎると、患者さんがまったく痛みを感じないため、いきなり腸壁を突き破る「穿孔」などを起こし、危険な場合があります。
 検査にかかる時間は、個人差もありますが、だいたい20〜30分くらいです。また、ポリープなどが見つかったら、必要に応じて切除します。

ガンの部位別死亡者数

検査時間は10分ほどで95%は麻酔不要

 私は、従来とは違う「水浸法」に「プル法」を組み合せた内視鏡検査を行っています。これは、ほとんど痛みがありません。
 これまで私は4万件以上検査をしてきましたが、その95%は無麻酔、無苦痛でした。残りの5%は、腹部を何回も手術して腸に癒着があったり、横行結腸やS状結腸に複雑なねじれがある場合は痛みを感じることがあるので、麻酔をしました。

 水侵法では、空気ではなく水を少しずつ入れて、腸を引き寄せてカーブを真っ直ぐにしながらスコープを進めていく(プル法)方法です。入れる水の量は、全部で100〜200mLです。
 この検査が痛くない理由は、二つあります。

①水をまくことによって、スコープのすべりがよくなる
 実験では、水を張ると、その上に載せたものを押す力が半分になりました。腸の中に水が入ると、ちょうど流しそうめんのように、スコープが水の中をツルツルすべっていきます。
②水の浮力でスコープが軽くなる
 空気中では、スコープの重さがそのまま腸の上に載りますが、水があると水の重さで浮力が働き、スコープの重さは半分に軽くなります。

 このように、すべりが2倍よくなり、重さが半分になりますから、スコープを押す力は空気中の4分の1になります。
 したがって、強い力で押さなくてもスコープがスーッと入っていくので、腸が引っ張られたりすることはありません。また水の量が少ないので、腸がパンパンに膨らむこともなく、痛みがないのです。
 水浸法に熟練した医師なら、直腸から盲腸まで挿入するのに5分、引き抜くのに5分くらいです。ポリープを発見したら、スコープを引きながら切除していきますが、切除する時間は一つ2分くらいです。
 したがって、何もなければ10分くらいで検査は終了しますが、ポリープがあればその分時間がかかります。

水浸法+プル法のイメージ

男性なら40歳、女性なら35歳を過ぎたら検査を

 検査を受ける際には、腸をきれいに洗浄しなければなりません。前の日は夜の8時までに食事を済ませ、検査当日の朝、下剤を飲んでもらいます。健康な人なら自宅で、健康に不安のある人は病院で飲みます。

 検査後は特別問題がない限り、すぐに帰宅できます。腸の動きを止める薬の効果は30分くらいでなくなりますから、ガスが出たら、その後はふつうに食事をして構いません。
 検査を受けるシステムは病院によって若干違いますから、病院の指示に従ってください。検査は、男性なら40歳、女性なら35歳を過ぎたら、2〜3年に1回、少なくとも5年に一度は受けていただきたいと思います。

 これまで受けたことのない人は、とにかく一度受けて、自分の腸の状態を知ってください。検査によってポリープができにくい、できやすいなどもわかりますから、それによっても検査の頻度も変わってきます。
 検査を受ける医療機関は、やはり実施件数の多いところがいいでしょう。個人の実績で年間500例以上、トータルで5000例以上やっている医師なら安心です。水浸法を希望する場合は、あらかじめ電話で問い合わせるといいでしょう。

 大腸内視鏡検査は、受けた後が大事です。腸が空っぽになってほとんどの腸内細菌がいなくなりますから、検査後2週間はヨーグルトのような乳酸菌の多い食品を取って、善玉菌を増やしてください。悪玉菌を増やす肉や酒は、なるべく控えます。
 また便秘の人は、腸のねじれが解消して、便秘が改善します。このように大腸検査は、腸の環境を一新するよい機会にもなるのです。

大腸内視鏡がお勧めの理由

解説者のプロフィール

後藤利夫先生
1988年、東京大学医学部卒業。専門は大腸内視鏡検査で、無痛検査「水浸法」という独自の検査法を考案。全国20以上の病院で大腸内視鏡検査を実践・指導。4万人以上を検査し無事故の実績を持つ。新宿大腸クリニックのHP:
http://www.shinjuku-clinic.com/

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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