【きな粉の栄養】ガン予防効果は食品トップクラス 大豆摂取で効果が期待できる病気は?

【きな粉の栄養】ガン予防効果は食品トップクラス 大豆摂取で効果が期待できる病気は?

きな粉は、焙煎した大豆を砕いて粉末にした食品です。豆腐や納豆、みそといった大豆食品と違い、ほかの物質や成分を加えておらず、大豆の栄養成分がほぼまるごと受け継がれています。栄養成分的には、「きな粉=大豆」と考えてよいでしょう。【解説】三浦理代(女子栄養大学栄養学部教授)


ニンニクやショウガに並ぶ強力な効果

きな粉は、焙煎した大豆を砕いて粉末にした食品です。
豆腐や納豆、みそといった大豆食品と違い、ほかの物質や成分を加えておらず、大豆の栄養成分がほぼまるごと受け継がれています。

栄養成分的には、「きな粉=大豆」と考えてよいでしょう。
大豆に改めて注目が集まったのは、1990年にアメリカ国立ガン研究所が発表した「デザイナーフーズ計画」です。

アメリカが国家プロジェクトとして、過去10年間の膨大なデータからガンの抑制効果のある食品を40種類選び、ピラミッド型の図として作成しました。
これを、「デザイナーフーズリスト」といいます(下の図参照)。

この中で大豆は、ガンの抑制効果がニンニクやショウガと並び最上位に記されているのです。
それでは、大豆にはどのような健康効果があるのか、詳しく見ていきましょう。

たんぱく質を多く含み食物繊維も豊富

食べ物の機能には、第1次機能(栄養機能)、第2次機能(感覚機能)、第3次機能(生体調節機能)の三つがあります。
第1次機能では、大豆は「完全栄養食」といわれるほど、3大栄養素をはじめ、ビタミンやミネラルがバランスよく含まれている点が特徴です。

特に良質なたんぱく質は「畑の肉」といわれ、魚や肉に匹敵します。
ビタミンやミネラル面では、血圧を下げる働きのあるカリウム、骨の生成に不可欠なカルシウム、糖尿病など生活習慣病の予防に働くマグネシウム、貧血がちの女性に必要な鉄分、肌の新陳代謝を促して美肌効果のある亜鉛などを平均以上に含有。

さらにビタミンは、AとCを除き、「若返りのビタミン」といわれるEを含めてほぼ完璧に揃っています。
また、食物繊維の多さも見逃せません。

きな粉には食物繊維が、100g中に約17gも含まれています。
少量で多くの食物繊維を摂取できるという意味でも卓抜しており、コレステロール低下や便秘の予防・改善などに優れた力を発揮します。

第2次機能は、色や味、香りなど、おいしさを感じさせる機能ですが、これは人によって嗜好に差があるので、特に触れません。
ただ、きな粉は糖分(ショ糖)や脂質も多いため、コクが出やすく、さまざまな料理に生かすことができます。

大豆を多く取る日本人は二つのガンが少ない

第3次機能は、健康の維持・増進や、病気の回復に役立つ機能のこと。
きな粉の場合、真っ先に挙げられるのが大豆イソフラボンです。

大豆イソフラボンは、大豆胚芽に多量に含まれているフラボノイド(植物の色や味などに関する成分)の一種。
その働きで、とりわけ注目されているのは、女性ホルモンの働きを代用する作用です。

ホットフラッシュなど更年期障害による諸症状の緩和、骨粗鬆症の予防、肥満の予防、糖尿病の予防、皮膚の老化防止などに関してはエビデンス(科学的な実証)もあり、有効性は信頼できます。
また、女性ホルモンは美肌のもとといわれるコラーゲンの産生を促すことから、前記した亜鉛やビタミンEなどとともに、アンチエイジング効果も期待できます。

日本が世界一の長寿国であるのも、このように栄養や機能性に富んだ大豆の摂取量の多さにあるといわれています。
このことを補足する研究も数多く報告されています。

たとえば、欧米との比較では、次のような点が疫学調査(集団を対象に病気の原因や発生状態を調べる統計的調査)で、明らかになっています。

・日本人の心臓病による死亡率は、欧米に比べて非常に低い
・日本人の骨粗鬆症による大腿骨の骨折率は、米国の約半分
・日本人女性の乳ガンによる死亡率は、米国人女性の4分の1
・日本人男性の前立腺ガンによる死亡率は、米国人男性の5分の1

これらの事実は、日本人と欧米人との大豆の摂取量の差にあると考えられています。
もちろん、どんな食品でも偏った過剰摂取は禁物ですが、1日大さじ1~2杯くらいのきな粉なら、健康管理に大きく役立ってくれるはずです。

ぜひ、毎日の生活にきな粉をお役立てください。

三浦理代
1946年、埼玉県生まれ。女子栄養大学栄養学部卒業。同大学食品栄養研究室助手を経て、2001年より同大学教授。農学博士、管理栄養士。専門は食品栄養学。著書に『日本の食材帖 乾物レシピ』(監修・主婦と生活社)、『からだによく効く 食材&食べ合わせ手帖』(共著・池田書店)などがある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【アンチエイジング】ヨガで心も体も若返る!「ひざ裏伸ばし」の正しいやり方

【アンチエイジング】ヨガで心も体も若返る!「ひざ裏伸ばし」の正しいやり方

準備運動を終えたら、1~3を順に行いましょう。いちばんたいせつなことは、少しずつ筋肉を伸ばしながら、痛みと向き合い、体にお詫びと感謝をすることです。やればやるだけ効果がありますが、まずは1日1セットを目標にしてください。【解説】佐藤松義(イタリア政府公認 沖道密教ヨガ総合自由大学教授)


【『島耕作』作者・弘兼憲史さん】若さの秘訣は毎朝の「ひざ裏伸ばし」

【『島耕作』作者・弘兼憲史さん】若さの秘訣は毎朝の「ひざ裏伸ばし」

忙しくても、運動が嫌いでも、毎朝のシャワー中のひざ裏伸ばしのように、無理なくできる方法はあると思います。皆さんもぜひ、自分に合った、無理なく続けられる健康法を探してください。【解説】弘兼憲史(漫画家)


【血糖値スパイクを予防】血管の名医が勧める食後高血糖対策は「大豆」と「立ち食い」

【血糖値スパイクを予防】血管の名医が勧める食後高血糖対策は「大豆」と「立ち食い」

「血糖値」「ヘモグロビンAlc」「糖尿病」……。これらの言葉を見て、「私はだいじょうぶ」と思ったあなた。安心するのはまだ早いかもしれません。健康診断で血糖値に問題がなくても、食後に血糖値が急上昇しているかたは多いからです。【解説】池谷敏郎(池谷医院院長・医学博士)


【便の臭いがきつい】便が漏れる 対策は出残り便秘 痔のホワイトヘッド手術の後遺症が原因

【便の臭いがきつい】便が漏れる 対策は出残り便秘 痔のホワイトヘッド手術の後遺症が原因

痔のホワイトヘッド手術の後遺症に対しては、修復手術が行われる場合もあります。ただし、手術が必ずしもよい結果を招くとは限りません。便もれやべたつきなどの症状は、肛門付近に便があるから起こると私は考えています。排便時に出しきれなかった便が、肛門付近に残っているのです。【解説】佐々木みのり(大阪肛門科診療所副院長)


【姿勢矯正】体が硬くてもできる猫背改善方法 “ひざの裏伸ばし”で後ろ姿が若返る!

【姿勢矯正】体が硬くてもできる猫背改善方法 “ひざの裏伸ばし”で後ろ姿が若返る!

若くても、ネコ背でトボトボと歩いている人は老けて見えますし、高齢でも、背すじがピンと伸びた人は、実年齢よりも若く見えます。よい姿勢は、見た目の若々しさを生むだけではありません。健康の面でも、メリットがあります。【解説】三矢八千代(八千代スタジオ主宰・日本体育大学非常勤講師)


最新の投稿


【ひざの裏が痛い】は老化のサイン?姿勢も考え方も若返る!ヨガ秘伝の「ひざ裏伸ばし」

【ひざの裏が痛い】は老化のサイン?姿勢も考え方も若返る!ヨガ秘伝の「ひざ裏伸ばし」

ヨガでは、心の問題が体に現れると考えます。特に、「心の老化」という現象が、体の中で顕著に出る場所があります。それは、ひざ裏、太ももの裏、ふくらはぎ、アキレス腱など、脚裏一帯。脚裏の筋肉やすじが硬い原因の多くは、心の老化にあるのです。【解説】佐藤松義(イタリア政府公認 沖道密教ヨガ総合自由大学教授)


【アンチエイジング】ヨガで心も体も若返る!「ひざ裏伸ばし」の正しいやり方

【アンチエイジング】ヨガで心も体も若返る!「ひざ裏伸ばし」の正しいやり方

準備運動を終えたら、1~3を順に行いましょう。いちばんたいせつなことは、少しずつ筋肉を伸ばしながら、痛みと向き合い、体にお詫びと感謝をすることです。やればやるだけ効果がありますが、まずは1日1セットを目標にしてください。【解説】佐藤松義(イタリア政府公認 沖道密教ヨガ総合自由大学教授)


【『島耕作』作者・弘兼憲史さん】若さの秘訣は毎朝の「ひざ裏伸ばし」

【『島耕作』作者・弘兼憲史さん】若さの秘訣は毎朝の「ひざ裏伸ばし」

忙しくても、運動が嫌いでも、毎朝のシャワー中のひざ裏伸ばしのように、無理なくできる方法はあると思います。皆さんもぜひ、自分に合った、無理なく続けられる健康法を探してください。【解説】弘兼憲史(漫画家)


【血糖値スパイクを予防】血管の名医が勧める食後高血糖対策は「大豆」と「立ち食い」

【血糖値スパイクを予防】血管の名医が勧める食後高血糖対策は「大豆」と「立ち食い」

「血糖値」「ヘモグロビンAlc」「糖尿病」……。これらの言葉を見て、「私はだいじょうぶ」と思ったあなた。安心するのはまだ早いかもしれません。健康診断で血糖値に問題がなくても、食後に血糖値が急上昇しているかたは多いからです。【解説】池谷敏郎(池谷医院院長・医学博士)


足の爪が小さいと「尿もれ」?ガサガサかかとは「肥満」?足でわかる病気のサイン

足の爪が小さいと「尿もれ」?ガサガサかかとは「肥満」?足でわかる病気のサイン

足は立つときや歩くときに、体の全体重を支えます。何年も何十年も支え続けるわけです。体の不調やゆがみなどによって、どこかをかばった立ち方や歩き方をすると、それが足に蓄積され、異常が現れます。【解説】高山かおる(埼玉県済生会川口総合病院皮膚科主任部長)