【痔の治し方】世界の常識は"手術不要" 便秘や下痢を改善する"きな粉牛乳"で治せる

【痔の治し方】世界の常識は"手術不要" 便秘や下痢を改善する"きな粉牛乳"で治せる

痔の治療というと、薬や手術を思い浮かべる人が多いことでしょう。しかし、実はたいていの痔は切らずに、日常生活でのセルフケアで治せます。その際、大きな力になってくれるのが、「きな粉ドリンク」です。【解説】平田雅彦(平田肛門科医院院長)


平田雅彦
1953年、東京都生まれ。81年、筑波大学医学専門学群卒業後、慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。社会保険中央総合病院大腸肛門病センターを経て、現職。「患者さん本位の親切医療」を目指し、最新の医療技術と心身両面の生活指導を通して、痔の約9割を手術なしで共存するという実績を上げている。著書に、『痔の最新治療』(主婦の友社)などがある。

→3タイプの“痔” 痔になる6つの要因とは

手術を勧められた痔が2ヵ月半で完治

痔の治療というと、薬や手術を思い浮かべる人が多いことでしょう。
しかし、実はたいていの痔は切らずに、日常生活でのセルフケアで治せます。

その際、大きな力になってくれるのが、「きな粉ドリンク」です。
痔は、ムシ歯に次ぐ第2位の国民病で、日本人の成人の3人に1人は、「痔の気がある」と思っています。

検診を行えば約7割の人に痔が見つかります。
痔の手術率は、日本では平均30%以上と高率ですが、ドイツで7%、イギリスで5%、アメリカで4%と、欧米諸国では10%以下です。

世界の常識では、痔は生活習慣病であり、生活指導と保存療法で手術はほとんど行いません。
実際、私の病院に痔で来診される患者さんの9割近くは、生活指導だけで改善しています。

その一例として、A子さん(26歳・会社員)のケースを紹介しましょう。
ふだんから便秘がちだったA子さんですが、友人との旅行で3日間お通じがなかったため、帰宅後に思いきりいきんで排便しました。

すると、便器が真っ赤になるほどの出血があり、激痛がその後4〜5時間続きました。
それ以来、排便が怖くなり、市販の下剤を多用するようにしたところ、便秘と下痢のくり返しです。

肛門の痛みと出血は収まる気配もありません。
仕方なく最寄りの肛門科を受診すると、「ひどい切れ痔で、手術しかない」と即答されました。

手術に気が進まなかったA子さんは、セカンドオピニオンとして知人に紹介された当医院を受診。
確かに2ヵ所の裂肛(切れ痔)で肛門全体がただれるほどになっていたものの、私はセルフケアで治せると判断し、早速、生活指導を開始しました。

問診で詳しく生活状況を伺ったところ、A子さんは明らかに食物繊維不足です。
そこで、毎朝起き抜けにコップ1杯の牛乳にきな粉大さじ1杯を混ぜたきな粉ドリンクを飲むようにしてもらい、併せて昼食や夕食にも豆類や海藻類、キノコを積極的に取るように指示しました。

ご本人も、毎日食事日記をつけるなどして真剣に取り組み、2週間後には出血も痛みもなくなりました。
2ヵ月半で裂肛は完治したのです。

→「きな粉ドリンク」の作り方はコチラ

不溶性と水溶性、両方の食物繊維が多い

私がきな粉ドリンクを治療に取り入れるようになったのは、20年以上も前からです。
痔には、痔核(イボ痔)、裂肛、痔瘻の3タイプがあります。

いずれのタイプであろうと最大の原因は、便秘と下痢、つまり排便の悪化です。
排便の悪化を強く正す力が、きな粉ドリンクにはあるのです。

きな粉は100g 中、約17gもの食物繊維を含んでおり、これは全食品中でもトップクラスです。
きな粉大さじ1杯(約10g)で1.7g もあり、食物繊維が豊富といわれている玄米ごはんの約1杯分で、白米なら約3杯分です。

量だけではありません。
きな粉の食物繊維には、不溶性と水溶性の両方が含まれているのも大きな魅力です。

水溶性食物繊維は便を軟らかくし、不溶性食物繊維には腸管を刺激して腸の働きを高める作用があります。
また、朝起きがけに牛乳を飲むと、胃が急速にふくらんで便意をもよおす神経が働きます。

これも、便秘の改善には効果的でしょう。
私の医院では、386人の痔の患者さんを対象に生活指導のみの治療を行ったところ、88%が改善するという大きな成果を得ました。

痔瘻以外は、手術は肛門の機能を低下させるリスクも伴うため、痔は「切らずに治す」に越したことはありません。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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