健康なふくらはぎは二の腕のように軟らかい
近年、ふくらはぎをもむ健康法が、一般にも広く認知されるようになってきました。私が所属するタオ整骨院と「ふくらはぎ健康法タオ」にも、老若男女、多くの人が、ふくらはぎマッサージ(以下、ふくらはぎもみに省略)を受けに来ています。
ふくらはぎには、その人の体調が反映されます。健康なふくらはぎは、つきたてのお餅や、二の腕のような温かさと軟らかさ、適度な弾力があります。
一方、体に何らかの不調があると、ふくらはぎがパンパンに張っていたり、しこりのように硬い部分があったり、弾力がなくフニャフニャだったりするのです。
当院が取り入れているふくらはぎもみは、医師の故・石川洋一先生が考案したものです。
先生によると、内臓系の疾患はふくらはぎの内側、腰痛やひざ痛はふくらはぎの外側、心肺機能や神経系の不調はふくらはぎの中央部分に現れやすいとのことです。

日々、いろいろな人のふくらはぎを触っていると、確かにその傾向が顕著に現れています。
例えば、お酒の飲み過ぎで肝臓が疲れている人は、ふくらはぎの内側が硬くなっています。
不眠の人は、アキレス腱付近が硬くなっているのです。
ふくらはぎをもむと、そうした不調が改善する例が多数見受けられます。
それは、ふくらはぎをもむと全身の血流がよくなること、自律神経(内臓や血液の働きを調整する神経)が整うこと、ふくらはぎに多くのツボがあることが関係しているからだと思います。
血流がよくなりあらゆる不調が改善
血流がよくなれば、血圧も安定しますし、肩こりや腰痛、ひざ痛も軽快します。
当院では、ふくらはぎもみを行った人が、杖を忘れて帰るという光景がよく見られます。
高齢者に多い、睡眠中のこむら返りも起こりにくくなります。
女性であれば、子宮の血液循環もよくなります。
そのため、生理痛や更年期障害の症状が軽減した、なかなか赤ちゃんができなかったけど妊娠した、という声も聞きます。
私のタオ整骨院では、技術の向上のために、スタッフ同士でふくらはぎもみを行うのですが、女性のスタッフが次々と妊娠し、いつも誰かが産休中といった具合です。
全身の血流がよければ、膵臓が活性化して、糖尿病への効果も期待できます。実際、血糖値やヘモグロビンA1cが改善した人が何人もいます。
また、基礎代謝も上がるので、ダイエット効果も期待できます。食事や運動療法との併用で、2ヵ月で35kgやせた人もいました。
さらに、体温が上がるので、免疫力(病気に対する抵抗力)のアップにもつながります。体温が1℃上がると、免疫力が24%上がるとされるので、カゼもひきにくくなるはずです。
ふくらはぎもみによる痛気持ちいい刺激は、自律神経のバランスを整えるので、不眠にも効果的です。
私たちは系列のデイサービスでも、ふくらはぎもみを取り入れていますが、継続して通っている人は、認知症の進行が比較的抑えられています。
ドーパミンという、脳内物質が減ることによって起こるとされるパーキンソン病の人でも、症状の進行が治まり、歩行が安定している例もめずらしくありません。
3分もむだけでもかなりの効果
自分でふくらはぎをもむときのコツは、両手の親指を重ねて、そこに体重をかけるようにして押すことです。硬さを感じる部分や、押してみて痛みを感じる部分を中心に、ほぐしてみてください(詳しいやり方は別記事を参照してください)。
やり方が簡単な上、片足3分もむだけでも、かなりの効果があるはずです。
2〜3日で、何らかの変化を感じると思います。
すぐに実感できるのは、寝付きがよくなることでしょう。
また、腸や腎臓の動きがよくなるので、便通やオシッコの出がよくなり、むくみも改善します。
もむのは、いつでも構いませんが、お風呂の中やお風呂上がりなど、温まっているときに行うと効果的です。
ぜひ、実践してみてください。
丸山眞砂夫
柔道整復師。明治東洋医学院専門学校卒業。株式会社タオ取締役、日本ふくらはぎセラピスト協会会長。後進の育成にも力を注ぎ、ふくらはぎもみのよさを普及。著書に『ふくらはぎをもむと体が変わる!病気が治る!』(マキノ出版)などがある。