MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【男女別セルフチェック付き】頻尿・尿もれのタイプと対処

【男女別セルフチェック付き】頻尿・尿もれのタイプと対処

適切な治療を行えば、尿もれや頻尿は改善するので、排尿トラブルで困っている人は、一度きちんと泌尿器科の専門医に診てもらうのがよいでしょう。とはいえ、排尿に関する悩みは、恥ずかしくてなかなか他人には相談しづらいのも、事実です。まずは自分の症状を把握することが大切です。【解説】影山慎二(かげやま医院院長)

解説者のプロフィール

影山慎二(かげやま・しんじ)
かげやま医院院長。
1987年、新潟大学医学部卒業。
浜松医科大学泌尿器科入局。2003年、しお医院(2011年にかげやま医院に名称変更)副院長を経て2006年より現職。
患者側に立った尿トラブルの診療に定評がある。
著書は『排尿障害で患者さんが困っていませんか?』(羊土社)。

●かげやま医院
静岡県静岡市葵区相生町9-5
TEL 04-247-4011
http://kageyamaiin.com/

医療機関の受診をためらう人が多い「尿トラブル」

尿もれや頻尿など、排尿トラブルに悩む人は、非常に多くなっています。

特に女性では、30歳以上の3人に1人、分娩経験者の約4割が尿もれを経験しているといわれており、尿もれは中高年の女性にとって、よくあるトラブルといえます。

一方、頻尿は、いわゆる「尿が近くなり、トイレに行く回数が増える」症状のことで、男女を問わず加齢とともに増加します。
一般的には、日中の排尿回数が8回以上、次の排尿までの間隔が2時間以内だと昼間頻尿、夜間の就寝中の排尿回数が2回以上だと、夜間頻尿と診断されます。

尿もれや頻尿は、特別な場合を除けば、放置しても命にかかわる病気ではありません。
しかし、症状がひどくなると、尿もれを気にして外出がおっくうになったり、トイレが近いため観劇や長時間の移動ができなくなったりと、日常生活にさまざまな支障が出てしまいます。
適切な治療を行えば、尿もれや頻尿は改善するので、排尿トラブルで困っている人は、一度きちんと泌尿器科の専門医に診てもらうのがよいでしょう。

とはいえ、排尿に関する悩みは、恥ずかしくてなかなか他人には相談しづらいのも、事実です。
医療機関にかかるのをためらったり、「年のせいだからしかたがない」とあきらめて、尿取りパッドなどで対処している人も多いでしょう。

まずは自分の症状を知ることが大切

しかし、尿もれや頻尿の中には、筋トレなどの訓練を行うことで、薬に頼らず自分で簡単に予防や改善のできるものも少なくありません。
尿トラブルの原因はさまざまで、性別によっても対処法が異なるので、自分の症状を把握することが大切です。

女性に多い尿トラブル

まず、女性に多い尿トラブルから解説しましょう。

皆さんの排尿トラブルがどのタイプか、表でチェックしてみてください。

【女性の尿トラブル】セルフチェック表

腹圧性尿失禁には体操が有効

中高年女性の尿もれや頻尿のほとんどは、①腹圧性尿失禁、②切迫性尿失禁、③混合性尿失禁の三つに分けられます。

①腹圧性尿失禁の最大の特徴は、体を動かしたときに尿がもれること。
セキやくしゃみ、笑う、立ち上がる、重い物を持ち上げるなど、おなかに力が加わる(腹圧がかかる)と、尿がもれてしまうのです。
寝ている状態やじっとして座っている状態では、尿もれは起きません。

腹圧性尿失禁は、加齢や出産、肥満などの影響で、膀胱を支える骨盤底筋(図参照)や尿道括約筋などの筋肉の力が弱くなり、膀胱の重みに耐えられなくなって起こります。

腹圧性尿失禁の改善に効果的なのは、骨盤底筋を鍛える「骨盤底筋訓練」というトレーニングです。
軽い尿もれであれば、この訓練を毎日行うだけで、かなりの改善が期待できます。
骨盤底筋や膀胱を締める働きのある内服薬による治療も有効です。

これらの治療で改善しない場合は、専用のテープを尿道の下に通して膀胱を支える手術療法もあります。

頻尿・尿もれに有効な市販薬の例

尿もれや頻尿が突然始まったら注意

②切迫性尿失禁は、急に切迫した尿意を感じて、トイレに行こうとしても間に合わずもらしてしまうタイプの尿もれです。
水の流れる音を聞いたり、水道で手を洗ったりすると急にトイレに行きたくなったり、トイレに並ぶ間すらがまんできない、といった症状が典型的です。

切迫性尿失禁は、何らかの原因で膀胱が過敏になる、過活動膀胱の一症状です。
過活動膀胱は加齢とともに増え、日本では患者数が約840万人と推定されています。
過活動膀胱は男性にも多く見られますが、女性が過半数を占めています。
症状としては、切迫性尿失禁のほか、尿意切迫感(抑えられないような強い尿意が急に起こる)、頻尿、夜間頻尿などがあります。

切迫性尿失禁や過活動膀胱には、薬物治療が有効です。
週に1回以上、急におしっこがしたくなり、がまんが難しいことがあれば、過活動膀胱の可能性が高いといえます。
専門医で治療を受けることをお勧めします。


③混合性尿失禁は、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁を併発し、両方の症状が現れます。
この場合は、骨盤底筋訓練だけで症状が軽減するケースも多いので、まずは骨盤底筋訓練を試してみるとよいでしょう。

また、カフェインを含む飲料を多く取るための頻尿などもあり、食事を含めての見直しが必要なこともあります。

このほか、女性の場合は、骨盤内の臓器が膣の中に垂れ下がり、膣壁と一緒に女性器から出てしまう骨盤臓器脱が原因で、尿もれや頻尿、残尿感などが現れることもあります。

急に頻尿や尿もれが始まり、排尿痛を伴う場合は、膀胱炎が疑われます。
尿もれや頻尿が突然始まった、血尿が出る、排尿痛がある、尿のにおいがきつくなったといった場合は、治療が必要な病気の可能性が高いので、医療機関で診察を受けたほうがよいでしょう。

男性に多い尿トラブル

肥大した前立腺が尿道を圧迫

次に、男性の場合ですが、男性も中年以降、尿のキレが悪い、夜中に頻繁にトイレに起きる、尿が出にくい、残尿感が強いなど、さまざまな排尿トラブルに悩む人が増えてきます。

男性の尿トラブルの多くは、前立腺肥大症が関係しています。
前立腺は膀胱の真下にある、くるみ大の男性生殖器の一つで、尿道を取り囲む形で存在しています。
前立腺肥大症は、前立腺が腫れて肥大する病気で、組織学的には50代では約30%、60代では約70%、80代では約90%にみられます。

前立腺肥大症は良性の腫瘍で、命にかかわる病気ではありません。
しかし肥大した前立腺が尿道を圧迫してしまうため、頻尿や排尿困難などのトラブルが現れるのです。
前立腺肥大症が進行すると、尿が出せない苦しい状態が続いて激痛を伴う尿閉を引き起こしたり、膀胱にたまった尿が少しずつもれてくる溢流性尿失禁になったりすることもあります。
ひどい場合は、前立腺肥大症の手術が必要になります。

男性では腹圧性尿失禁は少ない

前立腺肥大症のほかにも、前立腺に炎症が起こる前立腺炎が原因で、下腹部の痛みや違和感、排尿痛や残尿感などの症状が現れることもあります。

また、過活動膀胱のため尿もれや頻尿を起こしている場合や、過活動膀胱と前立腺肥大症を併発して排尿トラブルにつながっている場合もあります。

一般的に、男性では腹圧性尿失禁は少ないのですが、ガンなどで前立腺を摘除した男性の場合は、腹圧性尿失禁になることもあります。

このように、男性の排尿トラブルには多くの要因がからんでいるので、自己診断は容易ではありません。
気になる症状がある人は、早めに専門医の診察を受けるのが得策です。

【男性の尿トラブル】排尿状態の自覚症状によるチェック表

8点以上は医療機関の受診を

上にあるチェックリストは、「国際前立腺症状スコア」という、前立腺肥大症の程度を調べるためのものです。

合計点数が8点以上の人は中等症、20点以上の人は重症の前立腺肥大症と考えられます。
8点以上の人は、医療機関で一度診てもらうのが望ましいです。

点数が低くても、尿が出ない尿閉状態がくり返される場合は重症だといえます。
早急に、泌尿器科を受診してください。

頻尿・尿もれ対策

【前立腺肥大がない人が対象】男の尿トラブル対策法「四股踏み」

骨盤底筋訓練は、主に女性を念頭に置いています。
それは、これにより効果が期待できるのは、主に腹圧性尿失禁の改善であり、女性に多く見られる疾患だからです。

そこで、男性の尿もれや頻尿対策に、「四股踏み」をお勧めしたいと思います。
力士が土俵入りするときのように、両足を左右に開いて構える「蹲踞」という姿勢が大事だからです。

お尻の穴に力を入れて、締めるようにします。
そのあと〝力を入れたまま〞足を左右、かわるがわる上げます。

へその下にある丹田を意識しながら行い、足を上げるときは地に着けた足指でしっかり床をつかみ、足を下ろしたときに上体を軽く沈めて、両足でしっかりと踏ん張ります。

四股踏み(蹲踞)の動作をしながら骨盤底筋に力を入れると、太ももの内側の筋肉も強く収縮します。

この刺激によって、挙睾挙筋反射と呼ばれる刺激反射が起こり、尿道を締めるために必要な男性特有の筋肉である挙睾筋(睾丸を引き上げる筋肉)や、尿道・外尿道括約筋、膀胱も一括して収縮します。

骨盤底筋と同時に、男性の排尿に関わる神経や筋肉も鍛えるので、四股踏みはきわめて効果的なのです。
四股踏みは、前立腺肥大がなく、頻尿ぎみの男性に特に適しています。

1日1回、左右10往復くらいが目安です。
「精巣を胃袋の方向に引き上げる」ような感覚で下半身にぐっと力を入れるトレーニングも併用すると、さらに効果的です。

ひざが痛い人は、これだけを行ってもよいでしょう。
5回を1セットとして、1日に2セットくらい行うのがお勧めです。

「四股踏み」のやり方

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
骨盤底筋を鍛えるための体操は、現在多くの医療機関で推奨されています。しかし、やり方をプリントされた紙を渡されるだけなど、わかりずらく続けにくい場合がほとんどです。そこでお勧めしたいのが、おしぼり状に巻いたタオルを使った「骨盤タオル体操」です。【解説】成島雅博(名鉄病院泌尿器科部長)
更新: 2019-04-22 18:00:00
足の甲に包帯を巻いて2~3日後には、足がむくまなくなりました。以前のように、足がむくんで靴が痛いということもありません。むくみが解消したおかげか、明け方に尿意を感じて目が覚めることがなくなりました。そのため、従来どおり、熟睡するリズムが戻ったのです。【体験談】上田雅代(仮名・看護師・57歳)
更新: 2018-12-27 18:00:00
効果はすぐに実感しました。食べ始めて2~3日で、夜のトイレの回数が2回に、1~2週間で1回に減ったのです。この変化には、自分でも驚きました。私は、毎朝職場で重機をチェックし、点検表をつけています。今は、老眼鏡を使うのは薄暗い曇りの日だけで、晴れた日は老眼鏡を使っていません。【体験談】佐藤徳雄(重機オペレーター・71歳)
更新: 2018-12-12 18:00:00
足の甲にある「抜け道血管」も、足の冷えやむくみ、夜間頻尿の原因となります。正式には「動静脈瘻」といい、解剖学の教科書にも記載されている血管です。本来なら指先の毛細血管まで流れていくはずの動脈血が、抜け道血管を通って静脈に流れ込むと、足先は血流不足になって冷えてしまいます。【解説】佐藤達朗(サトウ血管外科クリニック院長)
更新: 2018-11-30 18:00:00
夜間頻尿が1回減ると、睡眠時間は2時間延びるといわれています。塩分過多の人は、減塩するだけで、睡眠の質が大幅に改善するわけです。夜間頻尿の患者さんに、自分でできる対処法として、減塩といっしょにお勧めしているのが、昼間に行う「かかと落とし」です。【解説】松尾朋博(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器科学助教)
更新: 2018-11-21 17:00:00
最新記事
見たいものにピントを合わせる「目の調節力」は25歳を過ぎる頃からどんどん低下し、30代後半から近くが見えづらくなる老眼になってきます。目の疲れや調節力の低下を改善するためにお勧めなのが、目の周囲を温める「温熱療法」です。私は、温熱療法の効果を多くの実験で確認しています。【解説】高橋洋子(みたにアイクリニック院長)
更新: 2019-05-21 18:00:00
これまで、入院患者さん向けの、いわゆる「リハビリ体操」はありましたが、外来の患者さんが希望するような体操はありませんでした。そこで私たちは、血圧を上げる要因である、末梢の「血管抵抗」を減らす筋トレを考案することにしました。【解説】金子操(自治医科大学附属病院リハビリテーションセンター室長・理学療法士)
更新: 2019-05-21 17:53:18
「脊柱管狭窄症」「椎間板ヘルニア」などの改善のために行われる従来の脊椎手術は体への負担が大きく、後遺症が生じることもあります。そうした中、後遺症をほとんど残さない、新たな手術法が注目されています。【解説】白石健(東京歯科大学市川総合病院整形外科教授)【取材】山本太郎(医療ジャーナリスト)
更新: 2019-05-20 18:00:00
頭痛、肩こり、腰痛、生理痛、耳鳴り、めまい、うつ、眼瞼けいれん、味覚障害、高血圧、逆流性食道炎──。一見、脈絡なく感じられるこれらの症状は、実は「食いしばり」が元凶となって起こっているという共通点があります。患者さんたちに、私は「10秒、口を開けるくせをつけてください」とアドバイスをしています。【解説】吉野敏明(誠敬会クリニック銀座院長)
更新: 2019-05-19 18:00:00
慢性的なひざ痛の原因はさまざまですが、なかなか完治しにくい上、少し無理をすると痛みがぶり返すので、かなり厄介です。今回ご紹介する「ひざと足の裏の温冷・温温湿布」は、慢性的なひざ痛に対して、自宅で簡単に痛みを解消することができる方法です。【解説】岡田明三(神宮前鍼療所院長)
更新: 2019-05-18 18:00:00

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt