ナトリウムを体外に排出する!
昔から、コンブは日本人にとって、なじみの深い食材です。しかし実際に、毎日自宅で料理に使っている人は少ないのではないでしょうか。昔の家庭では、コンブを煮出して、だしをよくとっていました。しかし今では、お湯に溶かすだけで作れる簡便な粉末だしに取って代わられています。
コンブでとっただしは、粉末だしに比べて、風味が豊かで味の面で優れているだけでなく、コンブから溶け出した栄養成分を豊富に含んでいます。それらは、水溶性の食物繊維やミネラルなど、健康維持に欠かせない重要な栄養素ばかりです。
しかしそうとは知りつつも、わざわざ料理の度に、煮出して作るのはめんどう。そんなかたも多いかと思います。その点、コンブ水は、水に一晩漬けておくだけなので、とても手軽に作れます。そのうえ、煮出して作るだしと同等の効果が期待できるのです。
煮出して作るだしは、熱を加えるために、栄養成分の一部が破壊されてしまいます。
最大血圧も最小血圧もみごとに下がった!
一方のコンブ水は、長時間水に漬けておくだけ。コンブに含まれる水溶性の栄養成分が、破壊されることなく、そのまま水中に溶け出すのです。
それらは、高血圧の予防・改善に対して、有効に働きます。
その代表格が、アルギン酸です。アルギン酸は、食物繊維の一種で、体内にとり込まれると、腸内でナトリウムと結びつき、そのまま便として排泄されます。
ナトリウムは、塩に多く含まれる成分で、高血圧の元凶といえます。私たちの体は、塩を多く摂取すると、体内にナトリウムを蓄積します。ナトリウムは、血液の量をふやす働きがあるため、過度のナトリウム摂取は、血管に対する圧力を強くし、血圧を上昇させるのです。
このように、高血圧を招く原因となるナトリウムを、アルギン酸は体外へと排出し、血圧の上昇を防いでくれます。
実際にコンブ水によって、血圧が基準値にまで降下したかたもいます。72歳の女性Nさんは、最大血圧が160~170mmHg、最小血圧が90~95mmHgと基準値を超え、医師からは降圧剤を勧められていました(基準値は、最大血圧が140mmHg未満、最小血圧が90mmHg未満)。
そこでNさんは、コンブ水を試してみることにしたそうです。すると、飲み始めてから3ヵ月ほどで、最大血圧が130~140mmHg、最小血圧が70~80mmHgにまで下がりました。おかげで、薬も飲まずに済むようになったそうです。

私の家庭でも、コンブ水が常備され、妻が料理に使っています。私は、サンマの塩焼きが好物なので、それにかけたり、汁物や煮物料理にだし代わりとして使ったりしています。
私の食事は、主に、朝食は果物とヨーグルト、夕食は野菜を中心として、魚や肉をとり、ご飯は少なめにしています。コンブ水の併用のおかげか、血圧は正常です。
コンブには高血圧のほか、高血糖や肥満、動脈硬化などを予防してくれる成分も多く含まれています。ですので、高血圧にお悩みのかただけでなく、健康を求めるすべてのかたにお勧めします。
最後に一点だけ、注意点があります。コンブにはヨウ素が多く含まれているため、甲状腺の病気や、甲状腺に腫れのある人は、コンブ水の飲用は控えるようにしてください。
手間いらずで簡単!コンブ水の作り方
コンブ水 の材料
だし用のコンブ…10g
水…1リットル
コンブ水 の作り方

1.コンブを霧吹きで湿らせて、切りやすくする。

2.コンブをキッチン用ハサミで、1~2mm幅に切る。切る向きは、どちらでもよい。

3.ポットに2を入れ、水を注ぐ。一晩(3時間以上)、冷蔵庫に寝かせれば完成。
降圧調味料コンブ水の使い方
水代わりに使う
そのまま飲むのはもちろんのこと、コンブ水で紅茶をいれたり、温めてからハチミツを入れたり、ショウガを入れたりしてもおいしい。
料理に使う
だしや調味料代わりに料理に加えれば、コクが増しておいしさアップ。塩分量を自然にカットでき、和洋中問わず、どんな料理にも相性抜群。コンブ水を使ってご飯を炊けば、一粒一粒が立ったツヤツヤのご飯になります。
コンブのだしがらを使う
コンブ水に使った後の、コンブのだしがらも料理に使えます。細かく切っているので使いやすく、幅広い料理に活用できます。
魔法の水「コンブ水」のワンポイントアドバイス!
・コンブ水に使うコンブは、だし用のものです。産地でいえば、日高や羅臼、利尻など。煮物用や、食べるコンブは不向きです。
・冷蔵庫に入れておけば、10日間保存できます。
・コンブは、2度使えます。コンブ水を使い切ったら、再度ポットに水を加えれば、またコンブ水ができます。

信川益明先生
東京都生まれ。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。
千代田漢方内科クリニック院長。医師、医学博士。
医療法人社団千禮会理事長、医療健康科学研究所所長、日本健康科学学会理事長、上海中医薬大学客員教授、厚生労働省委員、農林水産省委員。
慶應義塾大学医学部教授を経て、現職。
次に注目すべきは、フコイダンの働きです。フコイダンは、海藻類のヌメリ成分に含まれる食物繊維で、抗血栓作用をもっています。血栓とは、血管内に生じる血の塊のことです。
フコイダンは、血液をサラサラにして、血栓をできにくくしてくれます。全身の血行が改善されるので、体内で血液が円滑に循環するようになり、血管への負担もおさえられるのです。
コンブ水に溶け出すミネラルとしては、カリウムも見逃せません。カリウムは、高血圧の原因となるナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制し、尿中への排出量を増加させます。アルギン酸と同様に、体外にナトリウムを排出させることにより、血圧の上昇を防いでくれるのです。
コンブ水にはこのほかにも、ヨウ素やラミニン、タウリンといった成分も含まれています。これらが相乗的に働くことによって、血圧降下作用が期待できるのです。