【熱中症の症状は4種類】熱失神・熱痙攣・熱疲労・熱射病 受診の目安は3段階

【熱中症の症状は4種類】熱失神・熱痙攣・熱疲労・熱射病 受診の目安は3段階

「熱中症」とは、高温多湿の環境下で、大量の汗をかくことによりによる体内の水分や塩分(ナトリウム)のバランスが崩れたり、体温の調節ができなくなることなどで起こってしまう健康障害の総称です。医療現場では、熱中症の重症度をⅠ度・Ⅱ度・Ⅲ度の3段階に分類しています。【解説】大澤直人(高知大学医学部附属病院老年病・循環器内科)


気温が上昇し、暑い日が続く季節になると、いろんな場所で「熱中症に注意」と目にすることが多くなります。熱中症と聞くと、蒸し暑い夏の日の炎天下で、スポーツなどの活動をしたときに起こるイメージがありますよね。しかし実際は屋内で起こることも多く、身近な病気なのです。どんな症状があるのか、また、その予防・対処法について、高知大学医学部付属病院老年病・循環器内科大澤直人先生にお話を伺いました。(ケンカツ!編集部)

熱中症とはどんな病気ですか?

大澤:

通常、人の内臓の温度は約37℃に保たれるようにできています。この通常の温度より体温が上がると、血管を拡張させたり汗をかいたりして体温を下げます。

反対に通常の温度より下がった場合は、体表の毛細血管を収縮することで汗を抑え、体内に熱を閉じ込めて体温を上げようとします。

「熱中症」とは、高温多湿の環境下で、大量の汗をかくことによりによる体内の水分や塩分(ナトリウム)のバランスが崩れたり、体温の調節ができなくなることなどで起こってしまう健康障害の総称です。
症状の重さにより、軽症、中等症、重症に分けられますが、短時間で重症となるケースもあるため、注意が必要です。

熱中症の症状について教えてください

大澤:

熱中症の症状は主に「熱失神」「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」の4つあります。順に解説しましょう。

①熱失神
炎天下や蒸し暑い室内で活動すると、人間の体は、体温を下げるために大量に汗をかいて脱水症状を起こしたり、皮膚の血管が拡張することにより、血圧が低下し体内の熱を下げようとします。
その結果、体温を下げるために脳への血流が減る事でめまいや立ちくらみ、頻脈、呼吸数増加、失神などを起こすことをいいます。

②熱けいれん
大量の汗をかくと、水分とともに塩分(ナトリウム)が失われます。
水分を補う際に塩分が含まれない飲み物を飲むと、血液中の塩分(ナトリウム)濃度が低下し、筋肉の収縮に必要な塩分(ナトリウム)が不足することにより、筋肉痛や手足のつり、こむらがえりといった症状を引き起こします。
小児の発熱の際に起こることがある「熱性けいれん」とは違います。

③熱疲労
大量の汗をかいて、水分と塩分(ナトリウム)が過剰に失われ、脱水状態に水分がとれない状況が続くと脱水に陥ります。
脱水によって体内の水分量が減少することにより、循環する血液量が減ってしまいます。
これによって臓器機能が低下し、吐き気や食欲不振などの胃腸症状や疲労感などさまざまな症状が起こります。
対応を怠ると、より重症の熱射病になる危険性があります。

④熱射病
脱水が進行していくと、体温が40℃を超え、脳の温度も上昇することで体温調節の機能が失われ、体にこもった熱を拡散できなくなります。
発汗が止まり、皮膚が乾燥し、体温が急激に上昇し、40℃を超えます。
意識低下障害や異常行動、過呼吸や全身けいれんなどの症状が起こります。全身の臓器に障害が起き、治療が遅れると脳障害が残ったり、最悪の場合死にいたることもあります。

熱中症かな?と思った時の受診の目安を教えてください

大澤:
 医療現場では、熱中症の重症度は「Ⅰ度」「Ⅱ度」「Ⅲ度」の3段階に分類されます。

「Ⅰ度」と診断されるのは、熱失神や軽い熱けいれんなどです。通常は入院を必要とせず、自分で水分や塩分を補給することにより、短時間で回復できるような場合が当てはまります。

「Ⅱ度」とは、熱疲労の症状が見られ、入院の上で体温管理や安静、点滴などによる十分な水分と塩分(ナトリウム)の補充が必要な場合です。

さらに「Ⅱ度」の状態が進行し、意識障害や、腎臓や肝臓などの臓器障害、DIC(血液凝固障害)などがみられる場合、最重症の「Ⅲ度」と分類されます。場合によっては呼吸や循環管理など、集中治療が必要となります。

医療機関を受診する目安は、Ⅱ度からを目安にするとよいでしょう。
ただし、Ⅰ度に該当する場合でも、水分補給が十分に摂取できない場合、吐き気が見られる場合、症状がなかなか回復しないような場合はすみやかに医療機関を受診し治療を受けましょう。

大澤直人
2011年高知大学医学部卒業。
高知大学医学部附属病院老年病・循環器内科医師。
PADIスキューバダイビングインストラクター。
高知スクーバ・ダイビング安全対策協議会理事。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連するキーワード


熱中症

関連する投稿


【クーラーつけっぱなし】咳や喘息の悪化 エアコンのカビ(真菌)が原因かも

【クーラーつけっぱなし】咳や喘息の悪化 エアコンのカビ(真菌)が原因かも

連日の猛暑が続き、熱中症のニュースが報じられています。夜、寝ているときもクーラーの使用が推奨されていますが、実はそこには危険な落とし穴があります。エアコン内部の「カビ」がもたらす弊害です。【解説】内山葉子(葉子クリニック院長)


【熱中症になったら】初期症状は だるい 眠気 頭痛 疲れた 夏バテではなく熱中症かも

【熱中症になったら】初期症状は だるい 眠気 頭痛 疲れた 夏バテではなく熱中症かも

気温が高い夏場は、汗をかいたり、体が熱くなったりするのは誰にでもある生理反応です。しかし、夏バテかな?と思うような症状(だるさ、眠い、眠気、頭痛、疲れ、頭がボーっとする)のときは、熱中症の可能性があります。熱中症の応急処置の方法と、重症化を防ぐ方法を紹介します。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)


【熱中症予防に最適な飲み物】超簡単「水出し緑茶」家庭の緑茶に水を注ぐだけ

【熱中症予防に最適な飲み物】超簡単「水出し緑茶」家庭の緑茶に水を注ぐだけ

昭和61年、私は日本で初めての水出し緑茶である、バイオ茶を商品化しました。マラソンのオリンピック選手やアスリートの人たちに飲んでもらったところ、「このお茶を飲むとバテない」「走る前に飲んでもおなかが痛くならない」「いくら飲んでもおなかがはらず、体の回復が早い」と好評でした。【解説】上水漸(宮崎上水園代表取締役)


【ガブ飲み注意】経口補水液の正しい飲み方 高血圧の人は要注意 水分補給は水で十分

【ガブ飲み注意】経口補水液の正しい飲み方 高血圧の人は要注意 水分補給は水で十分

経口補水液とは、食塩とブドウ糖を水に溶かした飲料のことで、オーエスワン(OS-1)等の商品名で市販されています。下痢、嘔吐、発熱等の症状が原因で脱水症状が起こった際の、水分補給が目的の飲料です。近年は、熱中症対策としても知られるようになりましたが、使用には注意が必要です。【解説】水谷暢秀(水谷脳神経外科クリニック院長)


【医師解説】熱中症予防に効果的な飲み物は"水出し緑茶" 糖尿病の改善に 肝臓病にも効果

【医師解説】熱中症予防に効果的な飲み物は"水出し緑茶" 糖尿病の改善に 肝臓病にも効果

緑茶に含まれるカテキンには、血糖値の上昇を抑制する作用も認められています。 カテキンで糖質の消化吸収がゆっくりになると、糖が血液中に吸収されるのが遅くなって、血糖値の上昇もおだやかになります。結果、糖尿病の予防・改善効果が期待できるのです。【解説】栗原毅(栗原クリニック 東京・日本橋院長)


最新の投稿


めまいの原因は脳と内耳の循環を悪くする「動脈硬化」にあり!食事での対処法

めまいの原因は脳と内耳の循環を悪くする「動脈硬化」にあり!食事での対処法

脳や耳の血管はきわめて細いので「動脈硬化」が起こると脳、内耳の循環が悪くなります。その結果、平衡機能が低下してめまいが起こりやすくなるのです。動脈硬化を防ぐためには、その引き金となる生活習慣病を防ぐ必要があります。「メタボ」の予防は、実はめまい予防にもつながるのです。【解説】坂田英明(川越耳科学研究所クリニック院長)


足トラブルの原因【開張足】を治す「正しい歩き方」

足トラブルの原因【開張足】を治す「正しい歩き方」

正しい歩き方が身についている人は高いヒールの靴を履いても足を痛めることが少ないのです。悪い歩き方、立ち方はすぐに改善しましょう。もう年だからとあきらめることはありません。まだ若いから大丈夫ということもありません。悪いくせはすぐに直さないと手遅れになってしまいます。【解説】高山かおる(済生会川口総合病院皮膚科主任部長)


めまいの原因にヘアカラーも!めまいの対処法「予防・改善の12の生活習慣」

めまいの原因にヘアカラーも!めまいの対処法「予防・改善の12の生活習慣」

どんなによい薬を飲んでいても、生活が乱れ自己節制ができていないと、めまいを治すことはできません。ライフスタイルを見直し、ふだんの過ごし方を少し工夫するだけで、めまいは起こりにくくなります。今日から実践できる予防・対策をご紹介します。【解説】坂田英明(川越耳科学研究所クリニック院長)


【オクラ水】余ったオクラでおつまみからメインまで!ネバネバ健康レシピBEST12

【オクラ水】余ったオクラでおつまみからメインまで!ネバネバ健康レシピBEST12

オクラを一晩水に漬けた水を飲む「オクラ水」。オクラのネバネバ成分が、血液中の糖分や脂肪分を包み込んで排出し、血流が改善するためと考えられます。水に漬けたあとのオクラのネバネバを最大限に生かした料理をご紹介します。【料理】森崎繭香(フードコーディネーター/お菓子・料理研究家)【栄養計算】緑川鮎香(管理栄養士) 


鎮痛剤が効かない痛みの原因は神経の誤作動!耳さすりで正常な状態に戻すとよい

鎮痛剤が効かない痛みの原因は神経の誤作動!耳さすりで正常な状態に戻すとよい

私のクリニックには1日に100人以上の患者さんがいらっしゃいます。患者さんの中には、「消炎鎮痛剤を飲んでも痛みが引かない」「手術を受けたのに痛みがずっと続いている」と訴える人が少なくありません。骨や筋肉の器質的な異常や炎症ではなく、神経が誤作動を起こしている場合が多いのです。【解説】小田博(おだ整形外科クリニック院長)