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【気象病】低気圧が原因のめまい・頭痛の治し方を専門医が解説!

【気象病】低気圧が原因のめまい・頭痛の治し方を専門医が解説!

私は、「歪んだ体が血行不良を起こし、めまいを招いているのでは」と考えました。そこで私が注目したのが、ズレた骨の位置を整え、体の歪みを正す、カイロプラクティックという手技療法でした。【解説】久手堅司(せたがや内科・神経内科クリニック院長・神経内科専門医)

天気が悪いときにめまいが悪化していた

 めまいは、大きく分けると3つのタイプがあります。

❶目の前がグルグルと回るめまい
 →耳に問題がある可能性が高いため、耳鼻科の受診をお勧めします。
❷体がフワフワと浮くようなめまい
 →脳に腫瘍ができるなど、脳機能の異常が原因です。速やかに脳外科を受診しましょう。
❸地面がグラッと揺れるめまい
 →❶❷に該当しないかたに最も多く、たびたび頭痛を併発します。

 私は、神経内科医として病院勤務していた時代から、タイプ❸の患者さんを診てきました。耳鼻科でも、脳外科でも原因不明の患者さんが、最後に訪れるのが神経内科です。

 タイプ❸の患者さんを診ていくうちに共通点に気づきました。患者さんの姿勢の悪さです。背骨や骨盤など、体を支える骨が曲がっています。
 姿勢が悪くなれば、血行が悪くなり、めまいに関わる器官にも血液が行き渡りません。私は、「歪んだ体が血行不良を起こし、めまいを招いているのでは」と考えました。
 そこで私が注目したのが、ズレた骨の位置を整え、体の歪みを正す、カイロプラクティック(以下、カイロ)(※1)という手技療法でした。

 カイロを勉強し、効果を感じた私は、めまいの患者さんにもカイロを勧めるようになりました。すると、めまいの頻度が減るなど、症状の大きな改善が続いたのです。
 ただ、カイロで症状が改善しても、まだ、めまいに襲われる患者さんもいました。
 こうした患者さんには「天気が悪くなると、めまいが悪化する」という共通点がありました。
 調べると、こうした症状を「気象病」と呼ぶようです。雨天・台風など、気圧が下がると調子が悪くなる病気で、めまい、頭痛、肩こり、だるさ、関節痛などが主な症状です。

※1 主に脊椎やその他の身体部位を調整することにより、歪みの矯正、痛みの軽減、機能改善、身体の自然治癒力を高めることを目的とする。世界85ヵ国以上に広まり、アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアなど44の国と地域で法制化され、WHO(世界保健機関)でも国際的ヘルスケアとして認められている。

姿勢が悪いと気象病になりやすい

私たちの耳の奥に、内耳という器官があります。内耳は、気圧変化を察知するセンサーでもあります。気圧が下がると、内耳のセンサーが察知して脳に知らせ、気圧低下に対応するよう体に命令を出します。気象病の人は、内耳のセンサーが敏感なため、気圧が少し下がるだけで、センサーが過剰に反応します。

過剰な反応が脳に伝わると、脳から指令を受ける自律神経(※2)の働きが不安定になります。その結果、めまいが起きると考えられます。 その後、多くの気象病患者さんを診て気づいたのは、姿勢の悪い人ほど、気象病にもなりやすいことです。
これは、頸椎(首の骨)の歪みが原因の1つでしょう。頸椎が歪むと、内耳の位置がズレます。それが内耳のセンサーにも影響し、気象病に罹りやすくなると考えられます。

クリニックでは、気象病外来を設けていますが、実際に患者さんの9割は、頸椎が歪んでいます。最近、頸椎の歪んだ気象病患者さんが増えています。原因は、スマートフォン使用時の、前かがみの姿勢にあるとみて間違いないでしょう。

※2 意志とは関係なく、体温や発汗、血液循環などの生命維持に欠かせない機能を調節している神経。活動時に活性化する交感神経と、休息時に活性化する副交感神経がある

気象病のめまいの改善には、体の歪みを整えることがたいせつです。
 しかし、歪んだ体を元に戻すには、それなりに時間がかかります。
 まずは、体の歪みのせいで起こる血行不良を、こまめにリセットする癖をつけましょう。

 患者さんに勧めているのが「耳回し」です。耳回しをすると、首や耳周りの筋肉がゆるみ、血行がよくなります。
 緊張した筋肉がゆるめば、それを合図に、緊張モードの交感神経から、リラックスモードの副交感神経へと、自律神経が切り替わります。つまり、耳回しをすれば、血行をよくしたり、気圧低下で乱れた自律神経の働きを整えたりできるので、めまいを予防できるわけです。

 そして、頸椎の歪みを整える「あご押し」も、一緒にやりましょう。あご押しを続ければ、首と頭のつなぎ目の関節がストレッチされ、めまいの根本原因である、頸椎の歪みが改善されていくはずです。

耳回し・あご押しのやり方

【症例報告】耳回しを2週間続けたら気象病によるめまい・頭痛が解消

 
 最後に、耳回しで、気象病によるめまいが改善した例を紹介します。
 Aさんは20代女性で、めまいや頭痛に悩み、当院を訪れました。
 Aさんは、デスクワークと、1日3〜4時間のスマートフォン使用のために、背骨が歪んでいました。めまいに効く漢方薬を処方し、天気が悪くなる前に飲んでもらう他、耳回しをこまめに行うよう指導しました。
 すると、2週間後には、めまいと頭痛がほぼ解消。今では、天気が悪くなりそうなときに、薬を飲むだけでよくなっています。

解説者のプロフィール

久手堅司(くでけん・つかさ)
せたがや内科・神経内科クリニック院長。
神経内科専門医、総合内科専門医、頭痛専門医、脳卒中専門医。医学博士。2013年8月、東京・二子玉川に「せたがや内科・神経内科クリニック」を開院。2016年9月から、全国的にも珍しい「気象病外来」を開設している。

●せたがや内科・神経内科クリニック
東京都世田谷区玉川3-39-12
TEL 03-6805-6418
https://setagayanaika.com/

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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