【ストレス対策】幸せホルモン「オキシトシン」 分泌を高める「お祈り」の効果

【ストレス対策】幸せホルモン「オキシトシン」 分泌を高める「お祈り」の効果

オキシトシンは以前から幸福感や愛情と深い関わりがあること、母乳の分泌を促す作用があることがわかっていました。近年の研究からストレスを抑えたり自律神経を調整したり、免疫力が高まったり、体の痛みを抑えたりといった効果があることが次々と証明されてきたのです。【解説】高橋徳(ウィスコンシン医科大学教授・統合医療クリニック院長)


思いやりと感謝で幸せホルモンが増える

今、「オキシトシン」という脳内ホルモンが注目を集めています。

オキシトシンは以前から、幸福感や愛情と深い関わりがあること、母乳の分泌を促す作用があることがわかっており、「幸せホルモン」「愛のホルモン」と呼ばれていました。
さらに近年の研究から、ストレスを抑えたり、自律神経を調整したり、免疫力が高まったり、体の痛みを抑えたりといった効果があることが次々と証明されてきたのです。

実際に私のクリニックで、オキシトシンの分泌を増やすと考えられる生活習慣や方法を患者さんに実践していただいたところ、
「しつこい肩こりから開放された」
「うつ病が改善して自殺願望が消えた」
「不眠が改善して眠れるようになった」
「体を動かすことも苦痛だった関節炎の症状が軽くなった」などの声が聞かれています。


オキシトシンの分泌を高めるポイントは、実はたった2つだけです。

1つは「五感に気持ちいい刺激を与えること」。

例えば、おいしいものを食べる、美しい景色を見る、心地いい音楽を聴く、好きな香りをかぐ……など。
要は、あなたが楽しいと感じることをすればいいのです。

もう1つは「人を思いやること」です。

もともとオキシトシンは、スキンシップで分泌されることがわかっていました。
例えば、母親が赤ちゃんを抱っこする、恋人同士が手をつなぐ、マッサージを受ける……など。
また、セックスは最もオキシトシンが分泌される行為です。

ですが最近になり、肉体的なふれあいのみならず、精神的な交流によってもオキシトシンが出ることがわかってきました。

人に思いやりや感謝、共感の気持ちを持つだけでもオキシトシンが出るのです。
オキシトシンが出ると、他者への共感能力や信頼感が高まります。
その結果、相手に対してやさしくなる行動が強化されます。

すると、それを感じた相手にもオキシトシンが出て、両者が幸せな気分になります。
人との交流で分泌されるオキシトシンは、自分だけでなく、周りも幸せになるホルモンなのです。

人の幸せを願って祈ると自分の苦痛が消える

「お祈り」もまたオキシトシンを出すのに、たいへん有効な習慣だと考えられます。

お祈りとは「神」を信じ、その愛を感じ、感謝する行為です。
言うなれば、人と神との交流のための儀式です。
「信じる」「愛する」「感謝する」という心のあり方が、そのままオキシトシンの分泌につながるでしょう。

宗教には、中には排他的な要素もありますが、原則として他者への愛や慈悲の心、思いやりを持つことを教えます。

チベット仏教の「慈悲の瞑想」を応用して欧米の心理学者が開発した「LKM」という瞑想法があります。
自分だけではなく、他人の幸せを願って祈るのが特徴です。

最近の研究報告からLKMが怒りや不安の軽減、さらに慢性の痛みに有効であることがわかっています。
他者への思いやりによってオキシトシン分泌が誘発されること、オキシトシン自体が個人のストレス反応を抑え、痛みを減少させる作用があることなどを考え合わせれば、LKMの効果はオキシトシンを介した現象だと推測できます。

世界には古来、無数の宗教があって、それぞれが「祈りと癒し」の伝統を受け継いできました。
お祈りの習慣に、オキシトシンの分泌を通じて心身の癒し効果があることが経験的に知られていたのでしょう。
ところが、しだいにその長い伝統は忘れられ、人間を「物質」と見なす現代医学ばかりが正しいと考えられるようになりました。

宗教が担ってきた癒しと、現代医学との橋渡しが必要な時代になってきたように、私は感じています。

高橋徳
1977年、神戸大学医学部卒業。兵庫医科大学病院勤務後、88年渡米。ミシガン大学助手、デューク大学教授を経て、2008年よりウィスコンシン医科大学教授。滞米中に研究テーマとして「オキシトシン」に出合い、現在にいたるまで研究を続け、米国で医学論文も発表している。2013年、郷里の岐阜県に統合医療クリニック高橋医院を開業。16年には名古屋市に分院、クリニック徳をオープン。著書に『自律神経を整えてストレスをなくす オキシトシン健康法』(アスコム)などがある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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