解説者のプロフィール

小山浩子
ミルクを使ったレシピの研究・開発に20年以上取り組んでいる。
和食と牛乳を組み合わせた「乳和食」は新しい減塩料理として注目され、2015年より高血圧協会理事に就任。
年間100会場以上の講演と出張料理教室、企業のメニュー開発、雑誌へのレシピ提供、著作やテレビ出演など幅広く活動しながら「ミルクのある暮らし」を提唱している。
●小山浩子オフィシャルサイト | Studio165
http://koyama165.com/
塩分を減らしてもまったく薄味にならない
塩分の取り過ぎが血管によくないことは、周知の事実です。高血圧の最大の原因は、塩分の取り過ぎといわれています。
高血圧は、日本人がなる生活習慣病の中で最も多い疾患で、今や日本人の3人に1人が高血圧です。それだけ、塩分を過剰摂取している人が多いということでしょう。
でも、これは見方を変えれば、減塩が高血圧の改善と予防につながるということです。実際、血圧に悩む人は、減塩や薄味を医師や家族から言われた経験があるでしょう。でも、上手に減塩できていますか?
人生において食事は大きな楽しみであるのに、薄味で「おいしくないな」と思いながら食べるのは、残念なことですよね。それで減塩を続けられない人も多いのではないでしょうか。
そんな経験をお持ちの人に、ぜひ試していただきたいのが、「乳和食」です。
乳和食とは、私が20年以上前から、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を使ったオリジナル料理の開発に取り組んできた経験から生まれた減塩料理です。
実は私も、昔は「減塩」=「薄味」と考えていました。
でも、数年前に、乳製品を和食に使えば、料理の味が濃くなって、塩分を減らしてもまったく薄味にならないことに気付いたのです。
例えば、牛乳にはうま味成分があるので、加えることでうま味が増し、味が濃くなるため、塩分が少ないほうがおいしく仕上がるのです。牛乳の栄養も加わります。
さらに、乳製品そのものにも降圧作用があります。牛乳やヨーグルトに含まれるたんぱく質に降圧作用があることはよく知られています。実際、牛乳の摂取量が多い人ほど、血圧が低いという調査報告もあるのです。ですから乳和食は、まさに一石で二鳥も三鳥も狙える減塩料理といえます。
病院食としても取り入れられている
乳製品を足して塩分を減らす「ちょい足し」が基本なので、調理方法は、これまでのものとほとんど変わりません。
現在は病院食として取り入れている病院もあり、「味がちゃんとするおいしい食事」と入院患者さんたちにも好評です。乳和食のメニューを取り入れた日は残食(病院食の残り)が少ないと、病院の栄養士さんに聞いたこともあります。
もちろん、乳和食はご家庭でも簡単に作れます。最も簡単で、講演会などでも入門編として私が必ず紹介するのが、「ミルク納豆」です。
ミルク納豆と聞くと「まずそう」と思われる人がいらっしゃるでしょう。ただ、どちらも家にある素材ですし、添付のたれやからしの量を半分にして、牛乳を足すだけです。だまされたと思って挑戦してみてください。意外なおいしさに驚かれるはずです。
納豆のネバネバがふわっとして、納豆の独特なにおいも和らぎます。そして、味わいはそのまま、減塩したとは思えないうまみが残っています。
もともとのたれの量にもよりますが、このミルク納豆で、0.5g程度の減塩が可能になります。減塩は日々の積み重ねです。以前、テレビ出演したとき、番組の終わりに視聴者からのFAXを紹介するコーナーで「このミルク納豆を続けていたら、夫の血圧が下がった」という投稿が読み上げられました。
ミルク納豆と合わせてお勧めしたい「ヨーグルトみそ汁」の作り方

また、ミルク納豆と合わせてお勧めしたいのが、「ヨーグルトみそ汁」です。普段作るみそ汁の大さじ1分のみそを減らして、大さじ1のプレーンヨーグルトを加えます。インスタントみそ汁なら、みそを半量減らし、減らした分と同量のヨーグルトを加えて混ぜましょう。
みそとヨーグルトはどちらも発酵食品なので、実は相性がいい取り合わせなのです。ヨーグルトのさわやかな酸味がみそに溶け合い、絶妙なおいしさを作ります。
乳和食は素材を選びません。
納豆、みそ汁と並んだら、次に欲しいのが漬け物でしょう。
一般的な漬け物は、減塩といっても食べる前に軽く水ですすぐくらいしかなく、食べる量を減らすしかないのですが、それでも塩分がかなり残ります。そこでヨーグルトの上澄みである乳清(ホエイ)を使ったピクルスに変えてみましょう。
さらに、そうめんやそばのつけつゆなら、市販の濃縮めんつゆを水ではなくミルクで割ります。これだけで、めんつゆの量をいつもの半量に減らすことができます。
乳製品を使ったオリジナル料理の作り方
