【腸内フローラ】"長寿菌"と"やせ酸" を増やし肥満やガンを防ぐ玉ねぎヨーグルト

【腸内フローラ】"長寿菌"と"やせ酸" を増やし肥満やガンを防ぐ玉ねぎヨーグルト

健康長寿の人生を歩めるかどうかは、あなたのおなか(大腸)に住む腸内細菌によって決まる――。これは長年、健康と腸内細菌の関わりについて研究してきた私の結論です。【解説】辨野義己(理化学研究所特別招聘研究員・農学博士)


腸内細菌こそ健康長寿の鍵!

 健康長寿の人生を歩めるかどうかは、あなたのおなか(大腸)に住む腸内細菌によって決まる――。
これは長年、健康と腸内細菌の関わりについて研究してきた私の結論です。

 私は日本全国の健康長寿地域を訪れ、健康な高齢者の食生活と腸内細菌の特徴を調査してきました。すると、90歳、100歳といった高齢でもかくしゃくとした皆さんは、おしなべて腸内に「長寿菌」が多く存在することが判明しました。長寿菌の比率は通常20~30%程度ですが、長寿地域のお元気な高齢者では、平均で50~60%ほどいたのです。

 私たちの大腸には、600兆個以上、重さにして約1・5㎏もの腸内細菌が生息しています。腸内細菌の種類は無数で、私たちの健康に有益な働きをするものもあれば、有害な働きをするものもあります。
 その中で、私が「長寿菌」と名づけた菌のグループがあります。「大便菌」「ラクノスピラ」「ビフィズス菌」の3菌種のグループです。
 なお大便菌とは、「フィーカリバクテリウム」や「コプロコッカス」という学名の菌のグループですが、それを一般にわかりやすいように私が直訳したネーミングです。

長寿菌の作る短鎖脂肪酸がガンや炎症を抑える

 これら長寿菌に共通する特徴は、酪酸や酢酸、プロピオン酸などの「短鎖脂肪酸」を作り出すことです。

 中でも特に重要なのが「酪酸」です。腸内細菌が作る酪酸は腸管から吸収され、大腸の重要なエネルギー源となります。それによって腸の運動が活発になり、腸の粘膜を健康に保つことで免疫力を高めます。

 さらに免疫のしくみに働きかけ、制御性T細胞という免疫細胞を増やして、花粉症などの炎症やアレルギー症状を抑えたり、ガンの発症を防いだりすることもわかっています。
 この酪酸を腸内で作り出す代表的な菌が、大便菌グループなのです。

 従来、体に有益な善玉菌としてはビフィズス菌が有名でした。ビフィズス菌が作り出すのは、主に酢酸です。酢酸も腸内環境を酸性に保ち、悪玉菌の増殖を防ぐうえで大事な働きを担いますが、実はあまり腸管で吸収利用はされません。
 ビフィズス菌にさまざまなよい働きがあるのは間違いないですが、ほかの菌にも未知なる力があるに違いないと、私は以前から考えていました。そこで、酪酸を作る大便菌やラクノスピラにも注目したわけです。

 そして、長寿地域の食生活と腸内細菌の分布を調べると、これらの長寿菌の比率が多いことがわかりました。しかもどの地域も、長寿菌のうち大便菌の比率が総じて高く、「大便菌こそが長寿菌の主役」と言えることが、改めて明らかになりました。

肥満防止にも効果を発揮

 長寿菌たちが作り出す「短鎖脂肪酸」は近年、「やせ酸」として注目されています。
 3年ほど前、東京農工大学の木村郁夫氏の研究により、「短鎖脂肪酸には、体内に脂肪が蓄積されるのを抑える効果がある」ということがわかりました。

 腸内で作られた短鎖脂肪酸は、腸粘膜を通じて全身へと送り込まれ、エネルギー源として利用されます。それだけでなく、ブドウ糖や脂肪酸が供給過剰になったときには、それらが脂肪として蓄積されないように働くというのです。

 人が太るのは、脂肪細胞が脂肪を蓄えるためですが、脂肪細胞についている受容体(センサー)に短鎖脂肪酸が結合すると、脂肪の取り込みが抑制されます。
 さらに、自律神経の交感神経細胞の受容体に短鎖脂肪酸が結合すると交感神経の働きが活発になり、エネルギー代謝率が高くなると考えられています。つまり、体脂肪が燃焼されやすくなるというわけです。

食物繊維が長寿菌を増やす

 長寿菌を増やすために最も重要なのは「食物繊維」です。大便菌やラクノスピラは、食物繊維をエサに酪酸をつくります。食物繊維の多い食事をとると、これらの菌が増え、酪酸の産生が促されるのです。
 加えて、乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトなど「発酵食品」は腸内環境を整えるのに役立ちます。

 長寿菌を増やすには、まず食物繊維を多く取り、かつ腸内環境を整える発酵食品も加えるのがポイント。「玉ねぎヨーグルト」は、それを自然に実践できるメニューです。
 食物繊維にはいくつか種類があり、腸内細菌が分解できるのは「水溶性食物繊維」だけ。玉ねぎにはこの水溶性食物繊維が多いので、長寿菌が短鎖脂肪酸をつくる元になってくれます。

 また、玉ねぎは「フラクトオリゴ糖」を多く含んでいますが、これはビフィズス菌や乳酸菌のエサとなり、これらの菌を増やします。ヨーグルトといっしょに食べるわけですから、腸内環境を整える効果はとても高いと考えられます。
 腸内細菌が分解できるのは水溶性食物繊維だけと述べましたが、分解できない不溶性食物繊維もたいせつです。不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収してふくらみ、腸を刺激して、蠕動運動を活発にするとともに、便のかさを増やし、排便を促す面でも重要です。

 私はいつも、次のように言っています。「腸が健康である」とは、「快便である」こととイコールです。玉ねぎヨーグルトには、確実に便通をよくする効果があるでしょう。実際に、『ゆほびか』モニターのうちの6割以上のかたが、快便効果を実感されています。
 ぜひ、腸から健康長寿を実現してください。

べんの よしみ
1948年、大阪府生まれ。腸内細菌の世界的権威。国立研究開発法人理化学研究所イノベーション推進センター辨野特別研究室特別招聘研究員。DNA解析により腸内細菌を多数発見。腸内細菌と健康の関係を40年以上にわたり研究し、健康寿命を左右する「長寿菌」の存在を解明する。近年は、全国の長寿地域を訪れ、「健康寿命を延ばす食習慣」の研究にも従事。著書に『100歳まで元気な人は何を食べているか?』(三笠書房)など。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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