体の硬化は足から始まる
足助次朗先生が考案した「足助体操」は、全部で約200種類あり、そのうち15種類が基本の体操とされています。
その中で必ず最初に行うのが、足首をそろえて、両足で円を描く「足首回し」です。
試しに、あお向けに寝て両足をそろえ、足首を中心に、両足をゆっくり右に回してみてください。
ひざ、太もも、さらに骨盤が連動して動いているのがわかりますか?さらに意識すれば、骨盤の動きが、背中から首に伝わって、全身が連動していることを感じてもらえるはずです。
つまり、足首の状態が、体全体に影響を与えているということ。
足首の筋肉が硬くなり、動きが悪くなれば、骨盤や上半身の動きまで悪くなりかねないのです。
次朗先生が万病の元であるとした退行性変化(動かさなくなった筋肉や臓器が硬くなる現象)も、足から始まると言われます。
そのため足助体操では、最初に足首回しを行い、足首をゆるめてから、他の体操を行います。
まずは、体の土台である足首にアプローチするというわけです。
また、私たちの全体重を日々支えている足首には、想像以上にストレスがかかっています。
足首をゆるめることは、ストレスを解消し、精神的にも落ち着くのです。
硬くなった腸が病気を作る
そして、次朗先生は、腸の硬化を改善することも重視していました。
日常生活で、下腹部を動かすことがなければ、腸など下腹部の臓器も、硬くなっていきます。
腸が硬くなり動きが悪くなると、腸内の老廃物が排出されにくくなります。
体にたまった老廃物は、生命エネルギーの源である血液を汚します。
次朗先生は治療院で指圧も行っていましたが、ガンや糖尿病の患者さんの多くは、下腹部が硬化していたそうです。
逆に言えば、腸が柔軟なら、血液はきれいなままで、エネルギーが不足することもありません。
そのため、足首回しはもちろん、足助体操のすべてに、腸を活性化する動きが取り入れられています。
足首をゆるめ全身の力みをとり、腸を活性化し、きれいな血液が生まれる土台を整えれば、新陳代謝が活発になります。
そうなれば免疫力が上がって、体が元気になるのです。
体操の効果には個人差がありますが、体操教室に来ている人からは、「体が温かくなった」「肩こりや腰痛が軽減した」「目が見えやすくなった」といった声が聞かれます。
ただし、足助体操は続けてこそ効果が感じられるもの。
まずは布団の中でもできる、足首回しだけで構いません。
1週間も続ければ、自分の体に起こる変化に気づくはずです。

足助式「足首回し」の基本のやり方
200種類以上ある足助体操の中から、寝ながらできる4つの基本体操を紹介します。
体操①から体操④まで、順番に行うことをお勧めしますが、忙しいときは、体操①だけでも構いません。
すべての体操を、力まずに自然体で行います。痛みを感じるときは、無理をせず休んでください。



足首体操~応用編~
全身に振動を伝えるための基本姿勢

足首の緊張をゆるめ骨盤を調整 足首回し(横8の字)

両足首を回して、1回「横8の字(∞無限大のマーク)」を描くのに、目安となる秒数は6~10秒です。速く回す必要はありません。
たいせつなのは、あなたが楽に感じるように動かすこと、そして同じ速さを保ったまま、回し続けることです。
ゆっくり正しく、できるだけ大きく「横8の字(∞)」をつま先で描けるように、最初は型を覚えてください。
続ける回数の目安は10回程度ですが、できない人はそれより少なくてもかまいません。
「しんどいな」と思ったら休み、それ以上は決して無理をしないでください。
背骨の歪みを矯正 背伸びの運動

応用編 腸をさらに活性化する足助体操
腸の硬さを改善するのに適した2つの足助体操を紹介します。
時間に余裕があるとき、「足首回し」と「背伸びの運動」の間に行ってください。
なお、2つの足助体操は、必ずセットで行ってください。

解説者のプロフィール

畑田愁次
足助式医療體操協会登録指導講師。
大阪芸術大学工芸学部卒。2000年、NGOグリーンハートを通して足助照子氏と出会い、足助体操を習い始め、2009年より指導を行う。
●足助式医療體操協会
http://www.kanpoos.com/asuke/