MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【エッセイスト・岸本葉子】食事療法「野菜スープ」続けられるのは美味しいから

【エッセイスト・岸本葉子】食事療法「野菜スープ」続けられるのは美味しいから

この野菜スープをとり始めてから3カ月ほどたつころ、いつもお世話になっているメイクさんから「肌の透明度が上がりましたね」と言われました。そのかたがおっしゃるには、皮膚のすぐ下に流れている血液が、サラサラできれいに流れていると肌の透明度が上がるそうです。【解説】岸本葉子(エッセイスト)

野菜スープを冷蔵庫に常備

15年前から、我が家の冷蔵庫には「野菜スープ」が常備してあります。
常備するようになったきっかけは、40歳のときに虫垂がんがみつかったことでした。

虫垂は大腸の一部で、盲腸の端にある小さな部分です。
症例数の少ないがんで、5年生存率の統計はみつけられませんでしたが、手術で治る可能性は約30%と、術後、医師から告げられました。

術後の抗がん剤も、治癒の確率を高めるかどうかは、先生によって考え方が分かれるそうでした。
そこで、いろいろと模索して漢方治療を受け始めたのですが、その先生は食事療法も指導されており、「日々の食事は、薬以上にクスリですよ」と食事の重要性を言われました。

「ほんとうにそうだ」と納得できたので、私は食事療法を始めました。
その中の大きなものが「野菜スープ」だったのです。

漢方の先生の食事療法では、肉類や大型魚、添加物入りの調味料などはとりません。
野菜、海藻、キノコ、アジのような小型魚などを、岩塩などの天然のもの、伝統的製法で作った調味料で味つけします。

最初は少し苦労しましたが、もともと料理が好きなので、慣れてくると工夫して作るのが楽しくなってきました。
同時に、素材のもち味がとてもおいしく感じられるようになってきました。

なかでも、それを味わえるのが、毎日とる具だくさんの野菜スープです。

しみじみおいしく体にスーッと入る

食事療法を始めたときから、自分に許したことがあります。
それは、続けるためには、「作りおき」などの手抜きもするということ。

野菜スープも、次のようなやり方で作りおきすることにしました。
材料として、必ず使うのがタマネギとニンジン。

そこにキャベツかハクサイと、夏ならカボチャ、冬ならダイコンを加えます。
作り方はいたって簡単で、各材料を適当な大きさに切って鍋に入れ、浸るくらいの水を入れてじっくり煮込むだけです。

大きめの鍋にたっぷり作って冷蔵庫で保存し、私は4日くらいで食べています。
味はつけずに、食べるつど温めて調味料や食材を加えると、飽きずにおいしく食べられます。

タマネギをはじめとした根菜は、煮込むほど深い味が出るので、そのままでもじゅうぶんおいしくいただけます。
特に、朝一番にこのスープを飲むと、しみじみおいしく、体にスーッと入っていきます。

また、夜におなかが空いたけれど、「ここでごはんを食べると寝られなくなる」というときにも、このスープを飲んで温まり、小腹を満足させて寝ます。
この作りおきスープがあるだけで、手間をかけずに食卓が豊かになります。

始めたのは病気がきっかけでしたが、「おいしくて便利だから」という理由で自然に続けてきました。

肌の透明度が上がり血液サラサラ度が抜群

この野菜スープをとり始めてから3カ月ほどたつころ、いつもお世話になっているメイクさんから「肌の透明度が上がりましたね」と言われました。
そのかたがおっしゃるには、皮膚のすぐ下に流れている血液が、サラサラできれいに流れていると肌の透明度が上がるそうです。

野菜スープの常食などで、どうやら血液のサラサラ度が上がったようです。
野菜スープをとり始めて3年目頃、取材で血液ドックを受けたとき、そのことがさらにはっきり証明されました。

血液のサラサラ度を調べたところ、検査員さんが驚くほど抜群だったのです。
検査員さんから「動脈硬化には間違ってもなりません」というお墨付きまでいただきました。

がんの手術を受けてから15年が過ぎましたが、おかげさまで再発はなく、体調もいたって良好です。
私は野菜スープをはじめとする食事療法を、「していればがんが再発しないはず」と思って取り入れたわけではありません。

そんなふうに思い込むと、望ましい結果にならなかったとき、「あんなに我慢したのに裏切られた」という感じになってしまいます。
それはつらいので、「保証は求めず、食事自体を楽においしく味わおう」という気持ちでした。

その気持ちに、おおいにこたえてくれたのが野菜スープです。
今では、私の体がこの野菜スープを欲しているのがわかります。

「野菜不足を感じているけれど、なかなかじゅうぶんにとれない」という人や、「野菜スープを常食したいけどめんどう」という人に、作りおき野菜スープはぴったりです。
ベーコンや肉類を入れたくなるかもしれませんが、野菜だけのシンプルなスープを作ることをお勧めします。

最初は少しもの足りなくても、続けるうちに、野菜の深い滋味が感じられるでしょう。

野菜スープの作り方

岸本葉子
エッセイスト。
1961年、神奈川県生まれ。東京大学教養学部卒。会社勤務、中国留学を経て執筆活動に入る。食や暮らしのスタイルの提案を含む生活エッセイや、旅を題材にしたエッセイを多く発表。同世代の女性を中心に支持を得ている。著書に『がんから始まる』『がんから5年』(文芸春秋)、『テーブルに何もない日気持ちいい暮らしのスタイルブック』(ミスター・パートナー)、『週末介護』(晶文社)、『いのちの養生ごはん』『捨てきらなくてもいいじゃない?』(中央公論社)など多数。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
必ずしも4つの野菜だけで作る必要はありません。どんな野菜にもファイトケミカルが含まれていますから、そのときどきに応じて、他の野菜を加えるといいでしょう。【回答】髙橋弘(麻布医院院長・医学博士 ハーバード大学医学部元准教授)
更新: 2019-05-10 18:00:00
ファイトケミカルは、植物が作り出す天然の成分で、従来から知られている5大栄養素にはない、抗酸化作用や抗がん作用、免疫の増強・調整作用があります。ファイトケミカルは野菜スープにすることによって、有効成分をムダなく摂取することがでます。【解説】高橋弘(麻布医院院長・医学博士・ハーバード大学医学部元准教)
更新: 2019-05-15 10:04:46
食事療法は、内科の病気だけに有効なわけではありません。耳鳴りや難聴といった耳の症状に対しても、食事は大きな影響を与えます。ふだんの食生活を見直すだけでも、症状の緩和につながるでしょう。【監修】北西剛(きたにし耳鼻咽喉科院長)【料理・スタイリング】結城寿美江(料理研究家)
更新: 2018-10-31 14:06:43
日本人は欧米と比較して食物繊維の摂取が少ない傾向にあります。加えて、その摂取量は年々減少しているのです。私は、ダイズやアズキなどの豆類や、玄米や麦・雑穀などの穀類を特に意識してとることを指導しています。【監修】岩瀬正典(白十字病院副院長・糖尿病センター・臨床研究センター長)【料理】金丸絵里加(管理栄養士・料理研究家)
更新: 2018-08-31 12:00:00
私は18年前からバナナに注目して、さまざまな実験や研究を続け、病気の予防や改善に役立つ多くの健康作用があることを確認してきました。私自身、毎日バナナを食べていますが、10年ほど前からは、私のクリニックにいらっしゃる患者さんの食事療法としても、バナナを取り入れています。【解説】水谷剛(東浦和内科・外科クリニック院長)
更新: 2018-09-10 15:26:52
最新記事
「腰が痛い!」幅広い年齢層に蔓延する腰痛。しかし、病院に駆け込んで、骨や神経に異常が見つからない場合は「非特異的腰痛症」と診断されます。非特異的、つまり、原因不明の腰痛という意味。なんとも不思議な病名です。「腰が痛い」という異常があるから病院に来ているのに……。【解説】戸田佳孝(戸田リウマチ科クリニック院長)
更新: 2019-05-24 18:00:00
これまで、疲労が起きるのは、「エネルギーがなくなるから」「疲労物質が筋肉にたまるから」と考えられてきました。しかし、最新の研究によって、疲労が起きるほんとうの理由は、「自律神経の中枢である、脳がサビつくから」ということが、わかっています。【解説】梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック院長)
更新: 2019-05-23 18:00:00
私は、これまで40年以上、タマネギをはじめとする、ネギ属の機能性成分を研究してきました。そこでタマネギには、確かに血液をサラサラにする働きがあるということが明らかになったのです。【解説】西村弘行(北翔大学・北翔大学短期大学部学長/東海大学名誉教授)
更新: 2019-05-22 18:00:00
見たいものにピントを合わせる「目の調節力」は25歳を過ぎる頃からどんどん低下し、30代後半から近くが見えづらくなる老眼になってきます。目の疲れや調節力の低下を改善するためにお勧めなのが、目の周囲を温める「温熱療法」です。私は、温熱療法の効果を多くの実験で確認しています。【解説】高橋洋子(みたにアイクリニック院長)
更新: 2019-05-21 18:00:00
「脊柱管狭窄症」「椎間板ヘルニア」などの改善のために行われる従来の脊椎手術は体への負担が大きく、後遺症が生じることもあります。そうした中、後遺症をほとんど残さない、新たな手術法が注目されています。【解説】白石健(東京歯科大学市川総合病院整形外科教授)【取材】山本太郎(医療ジャーナリスト)
更新: 2019-05-20 18:00:00

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt