【頭痛の種類と改善方法】痛みを自分でコントロールする“頭痛日記”のつけ方

【頭痛の種類と改善方法】痛みを自分でコントロールする“頭痛日記”のつけ方

頭痛が起こると、なかなか我慢できずに鎮痛剤に頼ってしまいがちです。しかし、薬で病気は根治できません。どうして自分の頭痛が起こっているのか、原因を把握し、起こらないように対処することが大事です。【解説】山田洋司(梅ノ辻クリニック院長)


適切に対処すれば頭痛は必ずよくなる!

 近年の調査によると、国民の3~4人に1人が、慢性的な頭痛に悩まされています。症状を抱える人の多さから考えると、まさに国民病ともいえます。

 それにもかかわらず、頭痛は社会的に「病気」とは認知されていません。そのつらさはなかなか理解してもらえず、患者さんは市販の鎮痛薬を飲んで、痛みが治まるまで耐えるしかないのです。読者の皆さんにも、こうした状況が、当てはまるのではないでしょうか。

 しかし、それは一昔前までの話です。今は、全国に頭痛外来が存在し、頭痛専門医による的確な診断と治療が受けられるのです。ところがこうした医学の進歩を知らないまま、あきらめている人も少なくありません。
 頭痛は、適切に対処すれば必ずよくなります。私は常に、患者さんにそう説明し、問診票や診察時の聞き取りによって頭痛の原因を探り、個々のケースに最も効果的な治療法を選択するよう努めています。

 習慣性頭痛は、一般的には、
❶片頭痛
❷緊張型頭痛
❸群発頭痛
の3タイプに大別されます。

 ①は、片頭痛といっても、頭の片側が痛いとは限りません。薬を飲まないと、数時間から数日間、ズキズキとする拍動性の痛みが続きます。頭を振ったり体を動かしたりすると痛みが増し、光や音に過敏になり、吐き気を伴うこともあります。
 こうした頭痛を、おおむね5回以上くり返している場合、片頭痛と診断されます。比較的、女性に多く見られます。片頭痛には、トリプタン製剤がよく効きますが、これは医師の処方なしには入手できません。

 ②の緊張型は、筋肉が持続的に緊張することで起こる頭痛です。「頭の両側が締めつけられるような痛み」と形容されますが、症状は比較的軽度。筋肉を緩める体操や姿勢の改善も有効ですが、心因性のストレスによるケースも多くあります。

 ③の群発頭痛は、頭痛のなかでも痛みの強さは横綱級。ある一定期間、例えば1~2ヵ月、ほぼ連日、片目の奥をキリでもまれるような激烈な痛みが続きます。しかし、この群発期が過ぎると、1~2年は発症しないという、特殊な頭痛です。男性に多く見られますが、群発頭痛の患者数は、片頭痛の10分の1にも満たないほど少数です。このタイプにも、トリプタン製剤の注射が、痛みの緩和に効果を発揮します。

 こうした頭痛のタイプは、国際頭痛分類という基準に照らして診断されます。この分類法は長年にわたる頭痛の知見が蓄積された結実であり、治療にも結びつく重要な診断基準です。

 しかし、この基準は、頭痛を二百種類以上に細かく分類しています。実際の臨床現場では、片頭痛と緊張型頭痛の鑑別が難しい患者さんや、発症する回数の多い患者さんの診断に迷うこともあります。

 そこで、これまでの基準を大切にしながらも、診断の正確さはひとまず横におき、臨床上の治療のしやすさという観点から頭痛を大まかに分類する方法があればよいと考えてきました。

重症度を知るためにダイアリーが役立つ

 一般に、頭痛の重症度は発生頻度の高さに比例するといえます。つまり、同じ「片頭痛」という診断でも、その発生回数が年に数回程度の人と、月の半分以上起こる人を比べたら、後者のほうが、圧倒的に重症です。

 この点を重視して考えた結果たどりついたのが、頭痛を頻度によって第1層から第4層までに分ける、新しい分類です。

 第1層には、習慣性ではない一時的な頭痛が入ります。ここにはさまざまな頭痛が含まれ、ときには脳や神経の重大な病気が発見される場合もあるので、注意が必要です。
 第2層以上は、慢性頭痛を、発症日数に応じて区分しています。1ヵ月に発症する日数が多いほど重症というわけです。

 これにより、患者さんは、自分の頭痛がどの程度なのか、理解しやすくなります。例えば、月に20日も頭痛が起こっていたのが、5日に減ったとしたら、第4層から第3層に改善したことが、客観視できます。

 一方、医師の側からしても、この基準は有用です。頭痛の頻度が高い第3層以上の患者さんには予防薬を処方するなど、治療方針の検討材料になります。

 患者さんの頭痛について詳しい情報を得て、4層のうちのどこに当てはまるかを私が診断するうえで、重要なのが、「頭痛ダイアリー(日記)」です。
 頭痛ダイアリーは、日本頭痛学会が推奨する様式がよく使われており、学会のホームページからダウンロードできます。
 私はこれに、より使いやすくなるよう工夫を加え、1ヵ月単位のカレンダー形式を考案しました。実際の治療に、大いに活用しています。

重症者ほど日記による生活の振り返りが不可欠

 初診の患者さんには、この頭痛ダイアリーを6ヵ月分綴った冊子を、1部お渡しして、頭痛の記録をつけていただきます。
 すると、ご自身が思っていた以上に頭痛の回数が多かったり、市販の鎮痛薬を飲み過ぎていたりといった、意外な実態が明らかになります。

 また、記録をつけることで、どういったときにどんな頭痛が起こるのか、傾向を知ることができます。寝不足や悪天候、生理など、頭痛の原因がわかれば予防が可能になり、頭痛を回避できるのです。

 ダイアリーへの記入を数ヵ月続けたら、自分の頭痛はどの程度のものなのか、分類区分に照らしてみてください。
 私のクリニックでは、第3層以上の患者さんには、トリプタン製剤などの治療薬と、予防薬の併用を検討し始めます。頭痛の予防には、抗てんかん薬や、高血圧の治療に使われるカルシウム拮抗薬の一種などが有効です。保険も適用されます。
 第4層になると、薬による治療に加え、生活全般の振り返りが欠かせません。市販の鎮痛薬の使い過ぎ、職場や家庭でのストレス、嗜好品を含めた食事など、さまざまな要因が複雑に絡んでくるためです。

 記入した頭痛ダイアリーは、病院を受診する際に持参すると正確な診断と治療に、大変役立ちます。ぜひコピーしてお使いください。

山田洋司
梅ノ辻クリニック院長(高知市)。日本頭痛学会専門医。日本脳神経外科学会専門医。1981年、神戸大学医学部卒業後、複数の病院に勤務し数多くの手術を手がける。90年、梅ノ辻クリニックの前身の長尾病院に脳神経外科医長として着任。2001年より現職、04年に頭痛外来を開設。著書に『頭痛が治る、未来が変わる!』(三宝出版)がある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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