
頭痛専門整体が考案した「首ユラユラ体操」とは
私の治療院では、昨年の秋から、「頭痛専門整体」のコースを設けました。さまざまな症状の患者さんがいらっしゃるなかで、頭痛の訴えが多いことに気がついたのが、きっかけです。
実は私自身も、小学生のころから頭痛持ちでした。2~3ヵ月に1度、めまいを伴うひどい頭痛に悩まされていたのです。
原因は不明のままでしたが、治療家を目指すようになってから、仲間どうしで施術を試し合うようになり、自然と治りました。そうした経緯があるので、頭痛持ちの患者さんのつらさはよくわかります。
幸い私どもの施術は好評で、皆さん晴れ晴れとした表情でお帰りになられます。ただ、しばらくすると、また頭痛が起こってしまうのです。
そこで、施術内容を患者さんが再現できるようアレンジした簡単なセルフケア法を考案しました。それが、今回ご紹介する「首ユラユラ体操」です。やり方は、下の図のとおりです。
「今すぐこの頭痛をなんとかしたい、というときに実践すると症状が軽くなる」と、多くの患者さんに喜んでいただいています。また、毎日行うことで、頭痛が起こりにくくなる、予防効果もあります。
首ユラユラ体操では、あおむけになった状態で、頭をゆっくりと左右に倒します。実際の施術でも、ベッドに寝た患者さんの後頭部に治療者が両手を差し入れ、同様の動きをします。
この体操を行うことで、首や肩周りの、かたくなった筋肉がほぐれます。すると、頭部への血流や神経の流れがよくなり、痛みが治まるのです。
首ユラユラ体操が効果を発揮するのは、筋肉の緊張により起こる緊張型頭痛だけではありません。吐き気を伴い光や音に敏感になる片頭痛がよくなった患者さんも、おおぜいいらっしゃいます。
10年来毎日悩まされた頭痛がすっかり解消!
頭痛を訴える患者さんは、たいてい、首や肩周りの筋肉がひどくこっています。
これは、元をたどれば、首が前に出て肩や背中が丸まった、悪い姿勢が原因です。こうした姿勢が習慣化すると、筋肉が緊張し、頭部へと通じる血管や神経が圧迫されてしまうのです。
脳が正常に機能するためには、大量の酸素と新鮮な血液が必要です。これは個人的な見解ですが、重大な病気が隠れている一部の頭痛を除けば、慢性頭痛の原因は、脳への酸素と血流の不足ではないかと思います。
だからこそ、緊張型頭痛にも片頭痛にも、首ユラユラ体操が有効なのでしょう。
実践に当たり、いくつか注意点があります。
体操を行う間、両手の指を首の横に添えますが、これは首の筋肉がきちんと動いていることを確認するためです。指圧が目的ではないので、指先で首を押す必要はありません。軽く触れる程度で十分です。
また、首の筋肉を伸ばすためのストレッチでもないので、頭を無理に倒さないようにしてください。初めは、頭の倒れ方に左右差を感じるかもしれません。続けるうちに、どちらの側も同じようにスムーズに、大きく倒れるようになるはずです。
首ユラユラ体操で、実際に頭痛がよくなった患者さんの例をご紹介しましょう。
50代の男性は、10年前に自律神経失調症を患って以来、頭痛に悩まされてきました。仕事はデスクワークで、一日中パソコンの前に座っています。
毎日頭痛があり、毎日市販の鎮痛薬を飲むのが、もはやあたりまえ。週に1度マッサージに通い、痛みを紛らわしてきましたが、頭痛が悪化して、吐き気を生じるようになりました。
今から4ヵ月前、初めて来院された際は、相当姿勢が悪く、肩こりもひどい状態でした。
週に1回、施術を受けてもらい、自宅でも首ユラユラ体操を行ってもらったところ、3回めの施術のときに、「薬を飲まなくて済む日が出てきた」と報告がありました。さらに、4回めの施術では、「今週は1日も薬を飲まなかった」と、大変喜んでいらっしゃいました。
その後、施術のペースは月に1回となり、姿勢も肩こりも改善。今では頭痛はすっかり解消し、マッサージに通うこともなくなったそうです。
頭痛に悩む人は、最低でも1ヵ月、首ユラユラ体操を続けてみてください。きっと、いい効果が実感できると思います。
首ユラユラ体操のやり方

解説者のプロフィール

たてばやしこうた
徳永接骨院・淵野辺院院長。柔道整復師。姿勢を矯正することで自律神経のバランスを整え、自然治癒力の向上を目指す。薬に頼らず根本的に症状を改善する施術に定評がある。頸椎ヘルニア、交通事故後のムチ打ち症や骨盤のゆがみ調整、頭痛治療を中心に豊富な実績を持つ。