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【尿が臭い・においの原因】慢性膀胱炎の可能性 予防には温水便座を避けると良い

【尿が臭い・においの原因】慢性膀胱炎の可能性 予防には温水便座を避けると良い

尿がにおうのは、尿の成分である尿素が、排尿後に皮膚や空気中にいる細菌に触れて分解され、アンモニアを発生させるからです。ですから、健康な人では、排尿直後の尿はほとんどにおいません。60歳代という年齢から考えると、最も可能性が高いのは「慢性膀胱炎」です。【解説】二宮典子(女性医療クリニックLUNA心斎橋院長)

解説者のプロフィール

二宮典子
大阪府出身。2005年、香川大学医学部卒業。研修医期間を経て、大阪市立大学医学部泌尿器科入局。泌尿器科専門医。透析専門医。ガン治療認定医。一般的な泌尿器科医として大学病院および関連施設にて従事するなかで、女性患者の排尿トラブルに対応をする機会が多く、そのニーズに答えるべく女性泌尿器科・骨盤底疾患について研鑽することを決意。15年11月より現職。

~今回の悩み~
ここ数日なのですが、尿のにおいが普段に比べてキツくなりました。
特別体調に変化はないのですが、何か病気が隠れていることはあるのでしょうか?(60代女性)

閉経をきっかけに膀胱炎が起こりやすい

尿がにおうのは、尿の成分である尿素が、排尿後に皮膚や空気中にいる細菌に触れて分解され、アンモニアを発生させるからです。
ですから、健康な人では、排尿直後の尿はほとんどにおいません。

ただし、ビタミンB剤などのサプリメントや栄養ドリンク、ニンニクやコーヒーなど、においの強い食品を取った後は、それらのにおいが尿に出ます。
そのほか、点滴を受けた直後の尿も、独特のにおいがします。

これらのケースは、いずれも一過性のものです。
ご相談では、においが数日続いているということですので、なんらかの病気が原因になっていると考えられます。

60歳代という年齢から考えると、最も可能性が高いのは「慢性膀胱炎」です。
閉経によって女性ホルモンが不足すると、細菌に対する腟内の抵抗力が弱まります。

その結果、大腸菌などが増殖して膀胱炎になりやすくなります。
加えて、女性ホルモンの分泌が減ると、尿道や腟の粘膜が薄くなり、炎症を起こしやすくなって膀胱炎を発症します。

このときの尿のにおいは、増殖した菌の種類によっても変わります。
大腸菌の場合、ツーンとした嫌なにおいになります。

慢性膀胱炎のほかに、腎臓から尿管に落ちてきた結石が排出されず、膀胱内にとどまって起こる「膀胱結石」でも、膀胱に炎症が起こり尿のにおいが変わります。
ただ、膀胱結石の場合は、血尿などの自覚症状が現れるので、相談者のかたは可能性が低いと思われます。

ところで、尿のにおいの変化といえば、まっさきに糖尿病を思い浮かべるかたも多いでしょう。
実際、糖尿病になると尿が甘酸っぱいにおいを発します。

しかし、糖尿病で尿ににおいが出るのは、糖尿病がかなり進行した状態です。
その場合は、全身状態もかなり悪くなっており、さまざまな自覚症状が現れているはずです。

自覚症状がなくて尿のにおいだけが気になる場合は、糖尿病の可能性も低いといえます。

日ごろから尿をしっかりチェックしよう

慢性膀胱炎かどうかは、尿のにおいだけでなく、色もチェックしてみてください。
色をはっきり見るために、透明なプラスチックの使い捨てコップに採尿してみるといいでしょう。

尿の色は、透明〜黄色まであり、時間や体内の水分量でも変化します。
朝一番の尿や、脱水傾向が強くなると尿の色が濃くなり、水分をたくさん取ると透明に近づいていきます。

慢性膀胱炎になると、透明な尿ではやや白く濁り、黄色の尿ではレモン色が濁ったように見えます。
膀胱炎の治療は抗生剤や漢方薬による薬物療法になります。

慢性膀胱炎の場合、急性膀胱炎より治療に時間がかかり、再発する人も少なくありません。
その場合、抗生剤をくり返し使うと、抗生剤が効かない耐性菌ができる恐れがあるので、薬は使わずに経過観察になります。

慢性膀胱炎の再発を防ぐには、生活習慣の見直しが必要です。
以下の点を心がけてみてください。

①温水式便座の使用はなるべく控える
腟周囲の免疫力が低下しているので、温水に混ざっている雑菌で膀胱炎が起こる可能性があります。

②入浴時は石けんを使わない
腟周辺への刺激を避けるため、入浴時にはぬるめのお湯で優しく洗ってください。

③尿もれパッドの多用に注意
時間がたった尿もれパッドは、雑菌の温床になります。
下着につけたままにするのはやめましょう。

④排尿時に深呼吸
尿が出しにくい、残尿感があるなどの場合、トイレで力まず、3回ほど深呼吸してリラックスして排尿しましょう。
力むと膀胱に負担がかかり、再発につながります。

先に述べたように、一過性の原因でにおいが変わることがあります。
その場合は問題ありませんが、においや色など、尿がいつもと違うと感じ、それが続くときは、内科か泌尿器科を受診して、尿の検査をしてください。

膀胱ガンの可能性を否定するためにも、検査を受けることが大切です。
尿に異常が見られず、においが気になる場合、精神的なトラブルでにおいに過敏になっている可能性があります。

においがずっと気になってしかたないというときは、心療内科で相談することをお勧めします。

慢性膀胱炎を防ぐ生活のコツ

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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