肌つまみの基本的なやり方
つまんだ肌の先端が丸くなるように持ち上げる
肌つまみは、体の各部分の肌を軽くつまんで、気血の流れをよくする健康法で、誰でも簡単に行うことができます。
基本的には、親指と人さし指の2本の指で、肌をつまみます。
指の形は、机の上のボールペンを2本の指で持ち上げるときの形が理想です。
この形だと痛みが出にくく、効果も高くなります。
肌をつまむ際には、つまんだ肌の先端が三角形にならないように注意してください。
三角形につまむと痛みを感じるので、ストレスとなり、リラックス効果が得られないからです。
つまんだ肌の先端が丸くなるように、持ち上げましょう。
肌つまみを行っていると、つまんで気持ちよい部分とそうでない部分があるのがわかるはずです。
気持ちいいと感じる場所を重点的に行いましょう。
傷があったり、つまむと痛みを強く感じたりする部分は触らないようにしてください。
また、場所によっては筋肉が硬くて肌をつまみにくい部分もあるはずです。
その場合は、その周囲の肌が伸びやすい部分からつまんでいくうちに、筋肉も軟らかくなり、肌がつまみやすくなってきます。
親指と人さし指でつまむのが基本ですが、腹や腰などは中指や薬指も使ったほうがつまみやすければ、適宜、指を増やしても構いません。
また、頭皮などつまみにくい場所は、両手の指の腹を頭皮に当てて、肌を寄せるという手法もあります。
それでは、次の項から、症状別の肌つまみのやり方をご紹介していきましょう。
肌つまみのコツ
*爪は短く切っておく
*肌を引っ張るときの力加減は、食パンをつぶさずつまみ上げるときをイメージして行う。強過ぎる力は陽圧を発生させて逆効果。特に顔の肌つまみはブドウの皮をむくときのように繊細に
*肌を引っ張り上げた状態で指を離さず、必ず指を元の位置に戻してから離す
*肌つまみをして一時的に肌が赤みを帯びるのは血流が改善した証あかしなので心配はいらないが、いつまでも指の跡が残っている場合はつまむ力が強過ぎる。あくまでもやさしくソフトに行う

【耳鳴り】に効く肌つまみ
横向きで寝る癖が耳の血流を悪くする
耳鳴りの種類は、人によってさまざまです。
「キーンと甲高い音」「ジージーとセミが鳴くような音」「ボワンボワンと低温がこもるような音」などいろいろありますが、どんな耳鳴りであっても大きな原因となっているのが、耳周辺の血流の悪化です。
特に横向きに寝る癖がある人は、知らず知らずのうちに耳を圧迫して、血流を悪化させてしまっていることがよくあります。
耳をつまんで、いろいろな方向に引っ張ってみましょう。
すると、すぐに耳がポカポカと温かくなるのが実感できるはずです。
これを行うことにより、耳周辺の血流が改善し、耳鳴りの音が気にならなくなるだけでなく、聞きづらかった音の聞こえもよくなってきます。


①耳の後ろ側の付け根のくぼみに沿って、親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。
*つまみにくいので寄せるイメージで行うとよい

②耳の穴に人さし指を入れ、親指で耳珠を挟み、耳介のへりに向かって軽く引っ張る。
1~2分くり返す。

③耳介のへりを親指と人さし指でつまみ、放射状に軽く引っ張る。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。
【めまい】に効く肌つまみ
平衡機能をつかさどる内耳の血流を改善する
布団から起き上がったときにクラッとしたり、顔を洗っていたらフラッとしたり、振り向いたときにグワーンとしたり、めまいの症状に悩んでいる人は多いものです。
めまいが起こると、「立てない」「歩けない」「気分が悪くなっておう吐する」といった状態に陥り、自分では身動きすらできなくなるため、大きな恐怖に駆られます。
めまいにもいろいろな種類がありますが、その多くは、体の平衡機能の働きが悪くなるのが原因です。
体の平衡機能を担っているのは、耳の奥にある内耳なので、耳への血流を向上させるように耳から首、肩にかけて肌つまみをしましょう。
耳から首にかけてはめまいに効くとされるツボも分布しており、つらい症状の改善に効果的です。


①耳たぶの付け根から鎖骨に向かって首を走る胸鎖乳突筋に沿って、親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。

②耳たぶの付け根から肩先に向かって首の横のラインを、親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。
肩先近くはつまみにくくなってくるので、中指・薬指も加えて、肌を寄せるようにつまむとやりやすい。
【糖尿病】に効く肌つまみ
膵臓の機能を高めてインスリン分泌を促す
生活習慣病の代表格である糖尿病は、現代日本では患者さんが急増していて、国民病ともいわれています。
糖尿病とは、血糖値が高い状態が長く続く病気のことですが、血液がしだいにドロドロになって血流が滞り、脳梗塞や心筋梗塞の引き金にもなることが多いので、早めの予防・改善が大切です。
そんな糖尿病の改善にお勧めなのは、臓器の上の皮膚をつまむ肌つまみです。
胃(左肋骨の下)、肝(右肋骨の下)、腸(へその下)の3ヵ所を重点的につまむことで、血糖値コントロールに重要な膵臓の機能が高められ、インスリンの分泌が促されます。
停滞していた毛細血管の血流もよくなり、糖尿病の合併症の予防にもたいへん役立ちます。


①左の上腹部にある胃のゾーンを親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。

②右の上腹部にある肝のゾーンを親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。

③下腹部にある腸のゾーンを親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。
※つまみにくければ、中指・薬指を加えるとやりやすい。
※服の上からつまんでもよいが、できれば直接肌をつまむほうが効果が高い
【高血圧】に効く肌つまみ
ストレスと緊張を緩和する顔の肌つまみ
食生活を改善しても、降圧剤を飲んでも血圧が下がらないという人は、ストレスや緊張が関係しているのかもしれません。
ストレスや緊張があると、自律神経の交感神経が優位に働き、血管を収縮させて血圧が上がってしまうのです。
そんな高血圧の改善には、顔にある七つの穴(目二つ、鼻二つ、耳二つ、口一つ)周辺の肌をつまむのがお勧めです。
これらの七つの穴の周辺は気き(体内のエネルギー)が現れ出るところであり、その部分をつまむと気が充実して、全身にリラックス効果をもたらします。
すると、自律神経の副交感神経が優位に働くようになり、血液の流れも改善されて、高血圧が改善します。
最大血圧なら10〜20㎜Hgくらいはすぐに下がったという人がたくさんいます。


①眉と眼球の膨らみの際のくぼみを、親指と人さし指の腹で5回つまむ。
皮膚の薄い部分なので、ブドウの皮をむくときのように力を入れずにそっとつまむこと。
左右のまぶたとも行う。

②鼻すじを親指と人さし指の腹でつまむ。
眉間から鼻先まで、少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。

③人中(鼻の下と上くちびるをつなぐくぼみ)を親指と人さし指の腹で10回つまむ。

④左右の口角を左右に広げるように親指と人さし指の腹で左右同時に10回つまむ。

⑤耳介のへりを親指と人さし指でつまみ、放射状に軽く引っ張る。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。
左右の耳を同時につまんでもよい。
解説者のプロフィール

徐堅
整膚考案者。世界整膚連盟総裁。1951年、北京体育大学を卒業後来日し、愛知教育大学大学院修了。愛知医科大学第一生理学教室で研究にいそしむかたわら、企業の陸上競技部のトレーナーを務める。選手のケガの手当の際に肌を引っ張ることで痛みが和らぎ、腫れも早く引くことに着目し、肌を引っ張る手技と理論を「整膚」として1992年に確立する。1994年から日本を拠点に世界各国に整膚の普及に努める。著書に『整膚論』『整膚学』(ともに整膚学園刊)をはじめ約50種類。
①指の腹で刺激したい部位の肌をつまみ、肌に対して垂直に軽く引き上げ、元に戻してから指を離すという一連の動作を、少しずつつまむ位置をずらしながら、リズミカルにくり返す。
②腹やお尻など、つまむ場所によっては、中指、薬指を加えた3~4指、または5指全部を使って引っ張るとやりやすい。