【自律神経を整える運動】便秘、肥満、めまい、冷え症を撃退する「手首揺らし」とは

【自律神経を整える運動】便秘、肥満、めまい、冷え症を撃退する「手首揺らし」とは

自律神経のバランスが乱れた状態を放置していると、便秘や不眠、耳鳴り、肥満、腰痛などさまざまな不調が現れます。ですから、できるだけ早く、副交感神経を活性化させて、自律神経のバランスを整える必要があります。【解説】末武信宏(さかえクリニック院長)


末武信宏
医学博士。1962年生まれ。96年、名古屋市にを開業。日本美容外科学会認定専門医として全身のアンチエイジング診療を行うかたわら、順天堂大学医学部非常勤講師として、スポーツ医学の研究も行う。JBC認定プロボクシングトレーナーの資格を有し、オリンピック日本代表選手、プロスポーツ選手、格闘家、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にかかわる。一般向けの著書、監修書に『ゆっくり呼吸のレッスン』(日本文芸社)、『全身の細胞がめざめるセル・エクササイズ』(ポプラ社)などがある。

副交感神経は意識的に活性化できる!

 人が生きていくうえで、最も大切なのが「健康」です。
 その、健康とはどういう状態をさすのか。私が定義する健康とは、「一つ一つの細胞に、良質な血液が行き渡っていること」。つまりは「全身の血流がよいこと」です。

 では、どうすればそのような状態になれるのでしょう。答えは簡単です。自律神経のバランスを整えればよいのです。

 自律神経は、呼吸や食べ物の消化・吸収・排せつなど、無意識のうちに行っている身体機能のすべてをつかさどる神経です。もちろん、血液の流れも自律神経が支配しています。

 自律神経には、心身の働きを活発にする交感神経と、心身の働きをリラックスさせる副交感神経の2種類があります。この二つの神経が交互に入れ替わってうまくバランスを保つことで健康を維持しているのです。

 しかし、自律神経のバランスは、過剰なストレスを筆頭に、生活リズムの乱れ、疲労、環境の変化など、さまざまな要因で乱れます。結果、多くの人の自律神経は、交感神経優位の状態で乱れているのです。

 また、加齢とともに副交感神経は活動レベルが下がるため、高齢になるほど交感神経が優位になりやすくなります。

 自律神経のバランスが乱れた状態を放置していると、便秘や不眠、耳鳴り、肥満、腰痛などさまざまな不調が現れます。ですから、できるだけ早く、副交感神経を活性化させて、自律神経のバランスを整える必要があります。

 これまで、自律神経は意志とは無関係に働く神経で、意識して調節することはできないとされていました。

 しかし近年、やり方によっては自律神経の働きやバランスを操ることができるとわかってきました。特に、現代人が衰えがちな副交感神経も、自分の意志で優位な状態に導けると判明しているのです。

自律神経を整える「セル・エクササイズ」とは

 その方法の一つが、私たちが考案した自律神経エクササイズ、その名も「セル・エクササイズ」という体操です。

 セル・エクササイズは、自律神経を整えることに特化して、医学的根拠を基に考案されました。実際にエクササイズを行った後に専用の機器で自律神経や血流の状態を測定し、副交感神経が活性化する、血流がよくなるといった効果が実証された体操だけを厳選しています。

 セル・エクササイズは、現在100以上の種類がありますが、いずれも大きな負荷が伴わず、体力のない人や高齢者でも無理なく継続できます。

 その中から、今回は、日常的に取り組みやすい手首の体操を二つ、「手首揺らしエクササイズ」としてご紹介します。

 一つは、手首をブラブラと揺らす動きで、もう一つは両手首を交差させて固定しながら上体を大きく回します(いずれも詳しいやり方は下記参照)。

 この二つの体操には、副交感神経を優位にすることに加え、共通の効果があります。それは「肩甲骨をゆるませる」というものです。

 肩甲骨とは、腕を支えている大きな骨です。近年、骨盤の重要性をよく耳にしますが、肩甲骨は、上半身における骨盤のようなものと私は考えています。つまり、人体にそれだけ重要な意味合いを持っているのです。

 肩甲骨は、腕の重さを支えることで、日々大きな負担がかかっています。手首をブラブラと揺らすと、その振動は上肢帯(肩甲骨と鎖骨の総称。腕と手を支える骨格)といった上半身の骨格に即座に伝わります。

 振動を与えられることで肩甲骨はゆるみ、負担から解放されます。また、上肢帯への振動は脊髄から脳に揺らぎの刺激として伝わり、その結果、脳や全身の血流がよくなります。

 さらに、肩甲骨の周囲の筋肉がゆるむと胸郭の動きがよくなり、らくに呼吸できるようになります。その結果、呼吸が深くなり、疲れにくくなります。

セル・エクササイズは万病に効き、まさに効果絶大

 私のクリニックでは、不調を訴える患者さんの治療と並行し、セルフケアとして、手首揺らしエクササイズをはじめとしたセル・エクササイズを指導しています。
 その効果は、まさに絶大。万病に効くといえるでしょう。

・3~4日出ない便通が毎日になり、便秘薬が不要になった
・すぐに寝付けるようになった
・めまいやのぼせが治まった
・ダイエット効果が得られた
・血圧や血糖値が下がった
・肩こりや腰痛が解消した
など、自律神経のバランスが整った結果、さまざまな症状が改善した例は、枚挙にいとまがありません。

 皆さんも、真の意味での健康を得るために、ぜひこの手首揺らしエクササイズを役立ててください。

心地よさを必ず体感できる2つのセル・エクササイズ

 今回紹介する二つのセル・エクササイズ(手首揺らしエクササイズ)は、すべて行っても2~3分程度で終わります。これを、朝昼晩に各1セットずつ行うのが基本です。

 具体的には、朝は起床後や朝食前に、昼は昼食前、あるいは昼の家事や仕事などが一段落したとき、夜は入浴後や就寝前に行うとよいでしょう。 

 朝昼晩の三つの時間帯をお勧めするのは、朝や昼は交感神経(心身を覚醒の方向へ導く自律神経)が優位になり過ぎるのを防ぎ、夜は体が休息に向けて副交感神経が優位になっていくのを促すためです。

 これ以外でも、緊張しているときや不安なとき、疲れているときなど、心身にストレスを感じたらぜひ行ってください。

 また、「ゆるさ」も大切です。
 手首揺らしで手首を支えるときには、手首を強く握るのではなく、手を添える程度の力加減で支えます。

 力を入れて踏ん張った状態では、血液は筋肉に送られてしまいます。末端の血管まで血液を送るためには、力を入れないゆるい状態で行わなければなりません。

 ゆるさにも通じるものがありますが、行うさいの「やりやすさ」「心地よさ」も重要です。
 例えば、2の手首を押さえて上体回しでは、手首を重ねて行います。このとき、やりやすいほうを上にして重ねます。

 やりにくいことをすれば、副交感神経の大敵であるストレスが生じてしまいます。ストレスがかかった状態で行っても、よい結果にはつながりません。

 手首揺らしエクササイズを行えば、この心地よさは必ず体感できるはず。さあ、早速試してみましょう。

手首揺らしエクササイズのやり方

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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