解説者のプロフィール

穂園秀一
ほぞの鍼灸整骨院院長。
北里大学獣医畜産学部中退、1989年、明治東洋医学院柔道整復科卒業。上海中医学院(現上海中医薬大学)留学等を経て、1991年より現職。柔道整復師、中医師。
●ほぞの鍼灸整骨院
大阪府寝屋川市萱島本町20-8グランフォルム彩都1F
TEL 072-825-0304
http://www.tubo.ne.jp/
耳鳴りの患者さんはほぼミネラル不足
耳鳴りや難聴、めまいは原因が特定しにくく、西洋医学では治療が難しい症状です。
私は12回、上海の大学で中国伝統医学を学びました。
その経験を基に、耳鳴り・難聴・めまいの患者さんに対し、食習慣や生活習慣の改善を含めた、東洋医学的な治療を行っています。
耳鳴りや難聴、めまいの原因は、さまざまあります。
しかし、私の鍼灸整骨院に来られる、それらの症状の患者さんに共通するのは、カルシウムやマグネシウム、亜鉛などの「ミネラル不足」です。
ミネラルが不足すると、耳で音をキャッチしても、その伝達がうまくいかないのです。
また、内耳にある耳石がはがれることでめまいが起こるのも、耳石を作り出すミネラルが不足しているのが、そもそもの原因といえます。
そこで、症状が出にくい体質になるために、普段から食事の中でミネラルを摂取することが重要なのです。
実際、中国では耳鳴りの患者さんに、漢方薬の処方とともに、豚の「ゲンコツ」(太ももの骨)のスープを飲むように勧めます。
ゲンコツには、カルシウムをはじめとした、ミネラルが豊富だからです。
もし、日本で作るのであれば、手に入りやすい鶏ガラで代用するとよいでしょう。
鍋に水と鶏ガラを入れて、グツグツと煮込みます。
さらにお手軽で、お勧めなのは、「あごだし」です。
ぜひ、毎日の食事にミネラルたっぷりのあごだしを取り入れていただきたいと思います。
耳には耳鳴りや難聴に有効なツボが集中
ミネラルの補給とともに、耳鳴りや難聴の予防・改善のために行っていただきたいのが、「耳輪ゴム」です。
これは、鍼灸師の松岡佳余子先生が考案した方法で、家庭で簡単にできるセルフケアです。
中医学では、体のエネルギーが通るルートである経絡の流れをみますが、耳鳴りや難聴の場合は、腎経や膀胱経という経絡にあるツボ療法が有効です。
耳は、それらの経絡とツボが集中する重要な部分です。
耳輪ゴムであれば、それらのツボを誰でも効果的に、いっぺんに刺激することができるのです。
全身の血流もよくなるので、耳鳴りや難聴、めまいのほか、首や肩のコリ、頭痛、眼精疲労、高血圧、冷え症など、さまざまな不調の改善が期待できます。
やり方は簡単です。
はるタイプの小さいカイロを、耳を包み込むようにはり付けて、上から2本の輪ゴムを巻き付けて固定するだけ。10分ほどそのままの状態で置いておきます。
熱過ぎたり、痛みがある場合は、10分たたなくても構いません。
両方の耳を同時に行っても構いませんが、片側ずつ行うと一つのカイロだけで済みます。
やり終えると、耳の辺りから顔全体が温かくなるはずです。
目も、はっきりと見えるようになるでしょう。
耳輪ゴムのやり方

効果が出る目安は1~2週間の継続
ちなみに、以前はカイロを使わずに耳に輪ゴムだけを巻き付けていました。
しかし、痛くてできない!という声が多かったので、やりやすいように、また温熱効果を期待してカイロを使うように改良しました。
大切なのは、カイロの上から輪ゴムをしっかりと巻くことです。
温熱に加えて、ツボを刺激することが重要だからです。
私の経験では、輪ゴムを巻かないと、あまり効果が得られませんでした。
なお、耳輪ゴムがうまくできない場合は、耳を手で強めにこすってもよいでしょう。
両手を両耳に対して横に当て、耳を前方に倒すようにさすります。
強めに10往復くらい、くり返すとよいでしょう。
すでに難聴が進行して長い場合は難しいのですが、ミネラルを取るようにし、耳輪ゴムを行えば、1~2週間の継続で効果が出てくると思います。
低温の耳鳴りと高音の耳鳴り、どちらにも有効です。
ぜひ、お試しください。